甥っ子をネオン街へ誘なう。
■ベトナムのカフェラウンジ。
・以前、甥っ子がベトナムで暮らす私に会いにきた事は『甥っ子の本気』でも書き留めた。
・滞在期間中、観光地然り、ベトナム人の日常の暮らしの中へ彼を連れて行った。彼は様々な現地の文化や風土を感じられた事と察している。
・連れて行った場所の一つに『カフェラウンジ』がある。そこには、まるで蝶が求愛飛翔をするように美を競い合った女性キャストがラウンジのお客にコーヒー、ビール、ジュース等をサーブしている。
■「皆さん一体こちらで何をされているのでしょうか」。
・『カフェラウンジ』と言っても、ベトナム人のお客を観察していると、特に隣に座った女性と楽しそうに話すわけでもなく、じっと座り飲物と流れる音楽を楽しんでいる。例えるなら、日本の純喫茶で一息ついたサラリーマンの席に着飾った女性が座り二人ともほぼ無言で時間と音楽の流れに身を任せている状態だ。
・この何とも不思議な空間に昔ある日本人をお連れしたのだが、彼は「皆さん一体こちらで何をされているのでしょうか」と私に聞いてくるほどだった。
・この空間を甥っ子に見てもらうのだが、音楽の音量が大きく話をできる状態ではないので、ラウンジの外にもテーブルがあり、そこへ移動しコーヒーやビールを飲んで一息ついた。
■「Me Oi」。
・外の席に移動した時には既に会計を済ませていたのだが、女性陣が3名私たちの席に座り始め、その中で最年長と思われる女性は甥っ子の年齢を確認してきた、確認後彼女は「私はあなたのお母さんネ」と言って笑った。
・すかさず私は彼に耳打ちで伝えた「Me Oi」と返してごらん、と。間髪入れず彼は「Me Oi」と彼女に伝えると、女性陣3名の表情には一瞬で笑みが溢れドッと笑いが起こった。
・よくスーパーのお菓子売場で子どもが「Me Oi(お母さん)」と呼ぶ声が聞こえてくる、私も小さい頃お店でお母さんにお菓子を買って欲しくて「おかーさん」と意思表示をした時と同じように。
・「Me Oi」と言われた本人も嬉しそうに彼の言葉を受け取って頂き、一瞬にして彼女たちのハートを掴んだ甥っ子は私に言った「ナイスアシスト!」と。この年で甥っ子に褒められるとは、私は少し恥ずかしさを覚えた。