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【一日一捨】 ペンケース

初めて文学フリマに出店したとき、このペンケースに釣り銭を入れて持って行った。お札と小銭が同時に入るし、チャックがついてて出し入れもしやすいだろうと思ったのだ。一冊700円のを20冊。仮に10人が千円札を出したとして百円玉の釣り銭は30枚は必要だ。ひとりくらい一万円札を出してくる人もいるかもしれない。でもまあ千円札で買う人も多いだろうので、それをお釣りに回せばーーーとかいろいろ計算して、結果、千円札15枚、百円玉40枚。釣り銭でペンケースをパンパンにして準備万端で挑んだ。

が、しかし。
結果、3冊しか売れなかった。しかもみんな釣り銭なしのちょうどのお金を出してくれたので、むしろ帰りのペンケースの中はお札も百円玉も増えてた。まあ、現実はそんなものだ。初めてだったのでいろいろ夢を見ていた。20冊、売り切れたらどうしよう。30冊にしようかとか。時間テーマの少し不思議系のSFで、大人になっていまだ実家暮らしの主人公が、ひょんなことから高校2年の文化祭の日にタイムリープし、あの日うまくいかなかったの演劇部のステージをやり直そうとする話。ヒロインの演劇部部長の名前は小学生のとき好きだった女の子の名前にした。キモい。あのとき売れた3冊は今も誰かの家の本棚にあるんだろうか。それとも捨てられてしまったか。とりあえず、ペンケースは捨てる。

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