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「広島菜」を育ててみよう

ネットで知り合った方が、ご家族が「広島菜」を食べたいと言うので購入したと言うお話をしていました。

小松菜は漬物にしたことがないが、広島菜は漬物にするのだそうです。

一般的に、小松菜や広島菜のようなアブラナ科の葉物類を「漬け菜」と呼びます。

元々、アブラナ科の葉物を漬物にして食べていた名残なのでしょう。

戦国時代にやってきた吉利支丹宣教師フロイスは日本の食べ物について、「塩辛い魚と野菜」と言う言い方をしています。塩辛い魚は干物、塩辛い野菜は漬物を指すと思われます。

おそらく、冷凍・冷蔵の設備がなかった時代、干物や漬物にして保存する以外、手立てがなかったのだと思います。

江戸時代になって、「小松菜=江戸の小松川付近で品種改良された葉物」が登場するわけです。

当時もまだ冷凍・冷蔵の技術はありませんが、「近郊で採れた新鮮な野菜」を「おひたし」にして食べると言うのは、かなり衝撃的な新しい文化だったのかもしれません。

ただ、落語の「青菜」には「あなたは菜をおあがりか」と言うセリフがでてきます。
つまり、おひたしの青くささを嫌う人もいて、だから、相手に「おひたしを食べますか?」と聞いているんだと思います。

この話は1778年に当世世間噺に収録されているそうですが、その前に広まっていたとすると、1750-1770年代頃に成立している可能性があります。
「小松菜」を命名した徳川吉宗さんは1745年にお亡くなりになっているので、その後に成立した落語と考えることができます。

さて、「広島菜」ですが、見た感じ、小松菜によく似ています。「漬け菜」の中では白菜に近いものなのだそうです。(白菜もアブラナ科ですが、漬け菜ではなく、「白菜」と言うジャンルの中に分類されるようです。)

白菜に近いと言えば、台湾小白菜や山東菜もあります。
山東菜は、非結球性白菜に分類されるようですが、台湾小白菜はどちらに入るのでしょうか?

実際に菜園教室や地元野菜宅配サービス・野菜のマイクロマーケットのお客さんに提供してみると、若どりした小松菜サイズの山東菜は「おひたし」、「浅漬」で美味しいと評判でした。
つまり、山東菜の小さいうちは、「漬け菜」的な食べ方でいけると言う評価なのです。

台湾小白菜の方は、大きく育ってくると、小松菜サイズから白菜サイズに近づきます。こちらは、炒めもの、おひたし、浅漬、お鍋など、多様な味わい方が出来るようです。

山東菜、台湾小白菜とも小松菜的な青くささはありません。

「うちの子は葉物は嫌いだからセットに入れないでほしい」と言うお客さんにも受け入れられています。

こういうことをツラツラ考えてみて、思ったのは、
1)江戸時代以前、アブラナ科葉物を「漬物」にする文化があった。
2)江戸時代になって近郊で採れた小松菜のような新鮮野菜をおひたしにする文化が登場した。
3)青菜をおひたしにする文化は、かなり衝撃的だったと思われるが、当時から、青くささを嫌う人はいた
4)現在、かなり中華や洋食文化が浸透し、日本人の食の好みは変わっている。
5)青臭くない「山東菜」、「台湾小白菜」は消費者に「おひたし」、「漬物」用としても受け入れられる

こういう歴史と現代の食生活を考えた時、白菜に近い漬け菜である「広島菜」はどこに位置づくでしょうか?

現代の消費者は、「広島菜」をどう捉えるでしょうか?

とても、興味が湧いてきます。
今年は「広島菜」を育ててみたいと思います。


2週間予報は、松の内明けから寒波が少し弱まるが、1/12-15頃、最低気温-2℃~-4℃になるとしています。

「第二次寒波」がありそうです。


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