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父の日と鯨肉 2024

◆2024年6月16日(日)は昼呑みフリー営業です

思い付きのような形になりましたが、フリーで開ける予定です。12時頃から17時頃まで、アラカルトでお寿司を出すBAR営業となります。きっかけはクジラ肉を全世代に!というイベントに参画したことですが土曜日の営業もありますので他の寿司ネタもご用意しております。本ムツ、どんちっちアジ、赤ヤガラあたりがお勧めネタです。年齢制限は取っ払いますが、ワンドリンク制でお願いします。

◆クジラ肉を全世代に!というイベントについて

いつもお世話になっている天満の鮮魚店「かぎや」さんに声を掛けていただき、イベントに参画させていただきました。父の日は毎年クジラ肉をテーマにされているのですが、今年は父=壮年男性というイメージの強いクジラ肉をもっと女性や若い人、全世代に食べてもらいたいという思いをテーマにしたそうです。

個人的にクジラ肉には思い入れがあり、小学校の給食メニューでした。1年に2回あるか無いかのレアメニューで、その名も「クジラのノルウェー風」。かったいクジラの竜田揚げにオーロラソースのような調味料が絡めてある。竜田揚げの衣でソースを食べているようなものでも、子供的にはテンションの上がるメニューだったと記憶しています。

◆クジラ赤肉を使ったメニューの試作

寿司屋としてのアイデンティティは持ちつつ、という条件で考えるとやはり最初に思いつくのはマグロ赤身との置き換え。タルタルなんかいいのでは?とはご近所の「ぽん」さんのマスター。なるほど参考になる。いつもネタ出しに困るとランチがてら相談に行ったりしています。あとはタタキとか、というところでローストビーフが思いつく。ローストビーフならぬローストホエール。タタキとの違いは低温で火を通すか中が生のままかの違いらしい。この時点で肉寿司にもしたいと思ったため、火を通したローストホエールを試作してみようと決めました。

個人的に肉寿司って美味しいものに出会ったことが無い。焼肉とご飯は合うのにレアの牛肉とご飯は合わない。見た目的にも寿司という縛りからも何故かレアの牛肉を使おうとするから美味しくない。出オチみたいな肉寿司がのさばって、そこまで美味しくないから観光地くらいでしか続かない。レア系の丼で過去唯一美味しくて驚いたのは武蔵小山のがぶ丼。あれは肉とご飯を繋ぐタレが秀逸なのか、見た目も味も非常に好みだった。肉寿司としての完成形はキンパで、握り寿司は正直無理、というのが現時点での個人的な結論となってしまっている。

前置きが長くなりましたが、クジラは海にいる哺乳類なので、レアっぽい見た目の握り寿司として可能性があるのでは、という個人的なチャレンジも兼ねています。生だと独特の風味があり、火入れをすると獣肉っぽさが出てくる。中間くらいの温度で独特の風味を抑えつつ旨味のあるレアな肉感を求めていきます。試作はミンククジラの赤肉600gを使用。井内水産さんにあったので注文し、豊中の魚まちさんで受け取る。これは非常に便利なのでまた買わせていただきます。

ミンククジラ赤肉
180gの柵に分ける
umoriで下味と脱水

マグロにならって2日間乾燥熟成、マグロと違いたっぷり血が出てきます。ほどよく血が抜けたあと180gの柵3つに分けてから、UMORIというイタリアの発酵調味料をつけて2時間ほど休ませる。これは下味付けるのと臭みを抑える工程です。そこから3つの柵を順に低温調理していきます。そもそも生食可能なクジラ肉ですので、あまり火入れし過ぎたくないというのが正直なところ。低温調理の基準としてざっくりと魚なら40℃以上、獣肉なら60℃以上なアテ感がありますので、45℃、50℃、55℃という魚と獣肉の中間温度設定で3パターンを試します。それぞれ芯まで火入れした後、クセのない米油で周りを焼いて完成です。メイラード反応を付けるとより一層肉感が増します。

45℃の断面
50℃の断面
50℃の肉寿司
55℃の断面
55℃の肉寿司
アルファさんで試食

いつものようにワインショップアルファさんで試食。勝手にカウンターでワインと合わせる迷惑客です。温度設定は我ながら絶妙だったかなーと思います。45℃はレアな血の肉感が溢れ、55℃はかなり加熱された獣肉感に支配されます。まさに魚と肉の中間、温度による食感と味の変化に驚かされます。握り寿司としてのバランスを見ると50℃が良いでしょうか、見た目はレアな肉寿司なのに、ちゃんとシャリに馴染みます。シャリや調味料にも少し工夫をしていますがそれは食べてのお楽しみということで。

イワシクジラ赤肉

イベント当日のクジラはかぎやさんから仕入れるため、イワシクジラの赤肉になりました。少し肉質や血の量が異なるので微調整します。かぎやさんからも少し寝かせた方が良いとのことでしたので、6/13(木)からマグロの隣で寝かせています。600gほどありますのでおじさん世代だけでなく、若い方や女性にも試していただけたら嬉しいです。

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