英国のグローバルタレントビザ~申請から取得まで~
私は2019年10月から,日本学術振興会海外特別研究員としてインペリアル・カレッジ・ロンドンで研究活動を行っています。今まで2種類の英国visaを取得した経験があり,ここではGTVを取得するにあたり準備したものなどを書いていこうと思います。
Global Talent visa (GTV) を取得することになった経緯
渡英にあたり最初に取得したvisaはTier5 Government Authorised Exchange (GAE) visaでした。現在はTier制度がなくなっているので,Temporary Work – Government Authorised Exchange visaとなっているようですが,趣旨などは同じのようです。
そして次に取得したvisaがGlobal Talent visa (GTV)でした。海外学振の採用延長に伴いvisa(滞在許可証)も延長する必要があったのですが,Tier5 GAEは最大期間が2年と厳密に決まっていたため延長が認められず,大学のHRに相談したところGTV(exceptional promise)申請を勧められ,2021年9月に取得しました。
最初にGTVのEligibilityを読んだときに「え?ハードル高すぎない?」と思いましたが,ネットで探したところGTVを申請された経験のある方の記事を発見!大変厚かましくもコンタクトを取ったところ,申請のために準備した書類などを大変親切に教えてもらいました。感謝感謝。
その方の記事はこちらです。3種類のvisa申請をご経験されている...!
GTVとは?申請資格は?
私の取得したGlobal Talent visaは旧Tier1 Exceptional talent promiseにあたるもので,sponsorが不要,異動や転職する際にもUKVIに報告する必要がありません。申請にあたりIELTS(英語試験)スコアも不要で,英国内・国外いずれからも申請することができます。また最大5年間滞在でき,その上延長申請することも可能です。さらにGTVで3年間英国滞在後は,永住権の申請権が与えられます。すなわち他のvisaに比べて自由度が高く,英国で長く研究を続けたい人には永住権の次に便利な滞在許可証と言えるでしょう。GTVは配偶者ビザも仕事することが認められています。
それだけにハードルもいくつかあり,visaを取得にはacademia or research,arts and culture,digital technologyのいずれかの領域において,英政府が認可した機関(endorsing body)からleaderもしくはpotential leaderとして才能があると認定してもらう(endorsementを得る)必要があります。
Stage1: Endorsing bodyからEndorsementをもらう【ここがポイント】
Stage2: いわゆる普通のvisa申請【Stage1クリアしていれば問題ない】
ちなみにendorsementが不要な人もいて...いわゆるノーベル賞とったとか...
ちょっとあまりにもレベルが違いすぎるので詳細は割愛します。
私はacademia or researchで申請をしました。また,申請時には既に英国に滞在していたので,Tier5からの切替えという形になります。英国外から申請する場合は,オンライン上で記入する情報が違うかもしれません。
Endorsementの申請方法として以下の4つがあります。
- have an eligible job offer as an academic or researcher
- have an individual fellowship
- have a research grant that is approved by UK Research and Innovation (UKRI)
- are getting your application peer reviewed
私はこの中でPeer reviewedで申請しました。いわゆる通常の審査になるので,提出書類がやや特殊でした。
それ以外の上記3つはfast track endorsementと呼ばれ,証拠の書類が用意出来ればすぐに認可が下りるそうです(早い人は24時間!)。
フェローシップや英国のグラントで雇用してもらう場合など,fast track endorsementに当てはまるケースがあるので,詳細は研究機関のHRに聞いてみると良いです。
残念ながら海外学振がindividual fellowshipに入っていなかったので,fast trackは使えなかったのですが,2021年4月からUKRIが認可するresearch grantの中にJSPS,JST,AMEDが入りました。今後,これらのGrantで滞在する場合(条件が合えば)fast trackが使えるかもしれません。
Peer reviewedのEligibilityを見てみると,PhDを持っている,5年以内にフェローシップを取ったことがある,Early careerである,などなど。海外学振を取っていたので,要件を満たしていそうだということで申請に至りました。
Stage1: 申請にあたり準備したもの
これはあくまでも一例です。書き方とか,正しかったかどうかは分かりません。。。
1. CV summarising your career and publication history
ごく一般的なフォーマット:A4で3ページ以内にまとめる。
冒頭に名前,現在の所属,連絡先,ORCiD IDを記載。
EDUCATION(大学と大学院,学位論文タイトル)
RESEARCH EXPERIENCE(職歴,研究経歴:学部/修士/博士で研究に従事していた期間も記載,客員研究員歴)
TEACHING & ADVISING(大学での講義,TAなど)
PUBLICATIONS(査読付き論文,Review)
…これで3ページギリギリでした。
AwardやGrantはオンラインで記入したので,CVには書きませんでした。
2. Letter of personal recommendation
英国居住者でかつ申請者を良く知る人からいわゆる推薦状です。
受入れPIに依頼して,かなり具体的にガッツリ書いてもらいました。
記載しなければいけない事項が決まっているので,それに従って項目に抜けがないように書いてもらう必要があります。詳細はUKVIにあります。
私のボスは大学のヘッドレターを用いて,最後にはボスと学科長の連名で署名をしてくれました。
以上の2つはStage 1のオンライン申請後すぐに,GTV専用担当へPDFをメールで送ります。詳細はStage 1の申請完了メールに書かれています。これをしなければ審査が開始されませんので注意が必要です。
Stage1: オンライン申請に必要だった情報
1. パスポートなどの個人情報
聞かれたことを記入していくだけで特に問題はないはず。Stage 1と2を一緒に申請する?という質問があるが,一歩ずつということでNoにしました。値段は変わりません。
2. サポート情報
学歴と職歴をリスト。Words制限あり。
10報までの論文リスト。CVにはこれらも含めて再度書いた。
5つまでのAwardsリスト。ここに書いたのでCVには書かなかった。
獲得フェローシップ(学振と奨学金)のリスト。ここに書いたのでCVには書かなかった。
獲得グラント(資金配分機関,課題名,金額)のリスト。ここに書いたのでCVには書かなかった。
所属学会リスト。日本の学会員とかも書いた。
Personal statementを7000 characters以内で述べる...なんだこれ!!!
一番苦しめられたのは恐らくpersonal statementでした。UKVIには一切書かれていませんでしたが,よくよく考えたら当たり前ですね。A4で3ページ弱くらいの分量で,現地の人にも見てもらってアドバイスをもらいました。
Please provide a personal statement outlining your case for qualifying for Global Talent.
You should outline your research career, the case for you being viewed as a world leader or potential leader in your field and the contribution that you believe you will make to research excellence and the wider UK society over the next five years.
This should include (if applicable) potential economic benefits from exploitation of intellectual capital.
(Max: 7000 characters)
記入内容は変わることがあるので今後必要かどうか分かりませんが,なるべく早めにオンラインフォームを作り始めて,何の情報が必要かなどを知っておくと慌てずに済むでしょう。
あとはStage1の費用もここで支払います。私の時は£456.00でした。Stage2 も合わせると£608.00になります。
結果が出るまで5週間かかると書かれていたので,1か月くらいは気にせずに過ごそうとしていましたが,ちょうど2週間後Endorsementが下りたとメールを受取り,思ったより早くて驚いたと同時に安堵しました。そしてすぐにStage2の申請に取り掛かりました。
Stage2:申請からビザセンターでの生体情報登録
こちらは通常のImmigration申請になるので,記入事項もそんなに頭を悩ますことはありませんでした。IHSの保険料もここで支払います。私はPriority serviceを使ったので追加で費用が掛かりました。
アプロード書類は,パスポートとBRPカードのコピー,endorsementのレター(メールでOK)でした。
次にビザセンターを予約します。住んでいる州にビザセンターがなかったのでお隣の州のセンターを予約しました。。。が、向こう2週間は既に埋まっている!空きがない!!最短で予約できる日を選び,センター予約料が別途かかりました。場所や時間帯/曜日によっても予約料が変わるようなので,いくつか見てみると良いかもしれません。
当日は予約票とパスポート,念のためendorsementレターや申請フォームのコピーなどを持っていきました。センターの人は愛想が良くてとても良かったです。さすが外国人対応に慣れていますね。パスポートはスキャンされてすぐに返却されました。
それから1週間も経たないうちにapproveされたと連絡が来て,BRPカードも郵送されてきました。Tier5終了日に切替えになると思っていたのですが,ビザセンターで生体情報登録した日から切替えになっていました。雇用関係などで後ろの有効期限気にする場合は注意が必要ですね。
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