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売れっ子スタイリストたちが歩んだ道:新人スタイリストがすべきこと

先日Thredsで

スタイリスト業界って上の人達で仕事を回しまくってるし、定年とかないからずっと一線なんだよな...(以下省略

という嘆きを見かけました。知ってもらうために試行錯誤し、日々勉強してると書いてあったから、これを書いた人を批判するつもりはありません。しかし、何人もの駆け出しスタイリストが引用して同意見だとツイートしていたし、コメント欄にはスタイリストのアシスタントにすらなれなくて、嘆いてる別の親のコメントもありました。


今までの売れっ子スタイリストたちが、新人時代にどんな道を歩んできたのかを考えてみようと思います。スタイリストの仕事は華やかに見えることが多いですが、実際に大事なのは「何の仕事をすれば売れるかではなく、続いていく仕事に起用され続けるか」なのです。新人スタイリストにとって最も大切なことは、どんな仕事でもいいので、同じ媒体で何度も起用されることです。


ファッション誌でも、タレントやアーティストの仕事でも、監督からの指名でも、舞台、映画、ドラマなど、どんな分野でも同じです。最初のチャンスを得ることは重要ですが、もっと難しいのは「もう一度、もう二度、そしてその先もお願いされ続ける」ことなのです。多くの人が、この難しさを理解していません。


新人であろうと、ベテランであろうと、新しいスタイリストが起用されるときには、以下のようなパターンがあります。


1. 気分を変えたい、新しい人を試したい、イメージを変えたい

この場合、「お試し」の意味合いが強く、誰かの席を奪う形で仕事が来ています。次も依頼される可能性はわずかで、よほどのインパクトや強い繋がりがない限り、再度のチャンスは訪れません。また、新しい人を試す際には、少しの失敗でも次のチャンスが消えてしまう可能性があるため、油断は禁物です。


2. 本命のスタイリストが断ったための代替

このケースは不運ですが、よくあります。本命のスタイリストが誰か分かれば対策も立てやすいですが、見えない場合が多く、彼らを超えることは至難の業です。


3. 予算が限られており、新人にチャンスが巡ってきた

予算の少ない仕事は、その仕事が継続するかどうかが不透明です。しかし、この機会を最大限に活かすことができれば、他の仕事につながる可能性があります。


4. 誰かの推薦による起用

推薦での起用は、信頼されている証です。しかし、これもインパクトを与えられなければ、次回の推薦はないでしょう。


この中で最も次に繋がる可能性が高いのは、1の「気分を変えたい、新しい人を試したい、イメージを変えたい」場合です。インパクトのあるスタイリングを提供できれば、次も依頼される確率が上がります。ここで衝撃を与え続ければ、やがてその依頼者にとっての「唯一の選択肢」として認識されることもあるでしょう。


一方で、最初のチャンスに対して気づかず、ただこなしてしまうだけ、あるいは何の印象も残せない、さらには失敗してしまうと、次のチャンスはないと考えるべきです。新しいチャンスを得るために努力を重ねなければならなくなるのです。


仕事をリピートしてくれる依頼者は、成功する確率が高く、最初は小さな仕事でも、やがて大きな仕事や世間に届くプロジェクトに繋がる可能性が高まります。このようなサイクルに入ることが、新人スタイリストとしての成長の鍵です。


ただし、これは誰かの席を奪うような行為です。スタイリスト業界は「上が詰まっている」と嘆く人もいますが、本当にそうでしょうか?確かにそういった面もありますが、依頼者もまた歳をとり、新しい才能を求める傾向があります。嘆く人は、上のスタイリストに挑むだけのガッツや知恵、そしてチャンスを掴む執念が足りないのかもしれません。厳しい言い方をすれば、スタート地点すら立ってない可能性があります。


新人スタイリストがすべきことは、与えられたチャンスをチャンスだと認識し、次に繋げていくこと。そして、以前にその場にいたスタイリストに勝ち続けること。それ以外に成長の道はないのです。


どうやってインパクトを与えるのか、そもそもどうやってチャンスを掴むのか、そして繰り返していった先にある落とし穴については、また機会があれば書こうと思います。

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