リンゴ大国アメリカで楽しむリンゴの晩餐会
一番好きなフルーツは?
と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
私は間違いなく「リンゴ」と答えるだろう。
秋になると、スーパーには沢山のリンゴが並び出す。
そしてリンゴを見ると、幼少期の母親と過ごした日々が頭の中に蘇り、暖かい気持ちになってくる。
リンゴと私と母と
あれは、私が小学2年生だった頃。ある秋晴れの日だった。
私は友達と鬼ごっこをして遊んでいた。
私はとにかく負けず嫌いだった。
捕まってたまるか!そんな思いで鬼から必死に逃げていた。
「鬼が近付いてくる!逃げろ!鬼との距離はどれくらい?」
背後から迫ってくる鬼を気にしながら全速力で走った結果、目の前にある鉄柱に激突した。
馬鹿としか言いようがない。なぜそこまで必死になる?目の前の鉄柱に気付かない?
今の私ならこのように思うが、その時はとにかく必死だったのだ。馬鹿だったのだ。
激突の衝撃で歯が抜けた。地面に目をやると真っ赤な血の海の中に白い歯が浮いていた。
なぜか私はとても冷静で、抜けた歯を拾って家に帰った。
母親は血だらけの私を見て絶叫し、救急病院に連れて行った。
奇跡的に抜けた歯は付いたが、しばらく食事をすることはできなかった。
そんな私に、母は「すりおろしリンゴ」を食べさせてくれた。
「あのね、鬼につかまっても大丈夫だからね」とため息をつきながら。
風邪を引いた時や、嫌なことがあって食欲がない時など、母はいつも「すりおろしリンゴ」を作ってくれた。
今、私がちゃんとした大人に成長できたのは、いつも母親が愛情がたっぷり入ったリンゴを食べさせてくれたからだと思う。
そんなわけで、今でもリンゴを見ると、自分のおてんばさと母親の優しさを思い出し、暖かい気持ちになるのだ。
秋にしたいこと「リンゴの晩餐会」
私が秋になってしたいこと。それは、母親をリンゴの晩餐会に招待すること。
ここまで私を育ててくれた母親に感謝の意をこめて、リンゴ尽くしの手料理をふるまうのだ。
だが、私は今ボストンにいて母親は日本にいる。
なのでとりあえず一人でリンゴの晩餐会を開催して、母親には写真を送ることにした。
リンゴ大国アメリカ
「An apple a day keeps the doctor away(1日1個リンゴを食べていれば病気にはならない)」
という諺が浸透しているだけあって、アメリカ人はリンゴが大好きだ。
ランチやおやつに、皮付きのリンゴに被りついている姿をよく見る。
スーパーでは大量のリンゴジュースが売り出されているし、
見たことも聞いたこともないような種類のリンゴが沢山販売されている。
しかも1個69セント(70円)ととても安い。
こんなに沢山のリンゴを見たことはなかった私は、興奮してスーパーで片っ端から購入してしまった。
そして一人ムシャムシャとリンゴにかぶりつきながら、せっせとリンゴのチャート図を作ってみた。
※私調べなので異論は受け付けない。
ちなみに、歯ごたえがある食感のリンゴが好きな私のお気に入りは、FUJIとHoney Crispだ。
リンゴの晩餐会(予行演習)のお品書き
いつか母を招待する「リンゴの晩餐会」の予行演習として、今回私が作った料理はこちら。
・リンゴのチョップドサラダ
リンゴ、キヌア、ひよこ豆、ケール、パプリカ、キュウリ、クルミ、ひまわりの種を小さくカットし、オリーブオイルとレモンで味付けした、素材の味が楽しめる一品。
サラダだが、クルミやリンゴなど噛み応えがある食材を使用しているので、満腹感もある。
【使用したリンゴ】FUJI
日本でもお馴染みのFUJI。アメリカでも人気の高いリンゴ。
とても甘味が強く、食感も良いので生で食べるのがおすすめ。
・鶏肉のアップルソテー
パサつきが気になる鶏むね肉だが、リンゴの汁に付けることでしっとり柔らかに。
鶏むね肉にかかった、リンゴの香りがする甘酸っぱいソースが食欲をそそる。
【使用したリンゴ】Honey Crisp
アメリカのスーパーで販売されているリンゴの価格は1個約70セント(約80円)だが、Honey Crispは1個1.8ドル(約200円)と、なかなかの高級リンゴ。
加熱しても甘いままなので、パイやソースなどの加熱料理に使用するのがおすすめ。
・アップルパイ
砂糖とシナモンとラム酒とレモン汁で柔らかく煮たリンゴをパイにした、シンプルなアップルパイ。
パイは焼きすぎたかな?というくらい焼いた方がサクサク感が出るので、私は好き。
※なぜ食べかけの写真なのかは、ご想像にお任せする。
【使用したリンゴ】Granny Smith
日本でも「グラニースミス」というアップルパイ専門店が人気だが、酸味がきいているこのリンゴはアップルパイに最適。
グラニースミスは他のリンゴと比較して、食物繊維やカリウムの量が多いのだとか。
ハードサイダー
そしてドリンクは、「ハードサイダー」を。
ハードサイダーとは、フランスでいう「シードル」で、リンゴを使ったお酒のこと。
アメリカでは、クラフトビールブームに続き、ハードサイダーブームが起きたこともあり、様々な種類のハードサイダーをスーパーやブルワリーで購入できる。
ビールが苦手な私だが、りんごの甘味が効いたハードサイダーはゴクゴクと飲めてしまう。
リンゴ職人の修行は続く
全てのメニューにリンゴを使用した、リンゴまみれの晩餐会。
今までリンゴはスイーツにしか調理していなかったけれど、サラダやソテーにしても美味しいという発見。
どれもこれも美味しくて、あっという間に平らげてしまった。
他にもリンゴを使った様々なレシピがあるので、帰国時に母に最高の料理を振る舞えるよう、リンゴ職人として腕を磨いていこう。