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【勘】美的センス皆無だけど合同誌の表紙を作る

文学フリマ東京38、それは5月19日(日)に東京流通センターにて開催される、文学作品の展示即売会です。

大変魅力的なイベントで、出展者も来場者も多数。私たち作業通話堂も厳正なる抽選の結果、なんとか出店出来ることになりました。

毎度毎度『〇〇合同』という、名前で何をするのか直ぐに分かる合同を作り続けている我々ですが、今回の合同はこちら

死ぬおじさん合同


となっております。
かつてなくシリアスなテーマで、製作は難航しました。「みんなで同人誌をつくってみよう!」と集まって作った記念すべき最初の同人誌が『異世界チェスボクシング合同』とかいう頭のネジが緩みまくった合同誌だったことからわかる通り、ライト文芸サークル作業通話堂は頭がライトな人の集まりなので、さもありなんといったところでしょうか。

とにかく、製作は難航しました。
その結果起きた問題がこちら。

イラストレーターさんに表紙を発注するの忘れてて、もう間に合わない。


というわけで、急いで表紙をつくりたいと思います。


表紙を作る人たち

湯野正:いつも頼れるサークルの主宰。今回のポカの九割はこいつの責任。
つくもゆ:バランス感に優れた人物。ショタが好きだがおじさんも書く。
シアン:TSを愛してやまない男。愛してやまないものはTS。
太田千莉:日夜野山から人里に降り、人間の重い感情を好んで食べる。



締め切り三週間前


湯野:というわけで、急いで表紙を作ろう!
シアン:誰かおじさんの絵、描ける?
つくもゆ:描けない!
太田:描けないかぁ。じゃあ駄目ですね。
湯野:写真にしよう。おじさんが死んでるっぽい写真を撮ろう。
太田:サークルメンバー(ほぼおじさん)の胸に剣とか突き立てて死んでるっぽく撮る?
つくもゆ:なるほど!
湯野:なしではないけど、今回ファンタジー系誰もいないのよね。
つくもゆ:たしかに!
シアン:じゃあ――
太田:それなら――

太田:では、
・ガードレールの根元に酒瓶や煙草、花などを配置して『おじさんが死んだ』っぽい写真を一枚以上必ず撮る
・プラスアルファで表紙に使えそうな写真を撮っても良い
というルールで各自写真を撮って来ましょう。
湯野:マジで時間がないので、なるはやでお願いします。
シアン:お前のせいでな?

一週間後

太田:撮ってきました。

太田撮影

太田:デジャヴ感じてたんだけどやっと分かった、ピクミンのお宝図鑑だ。
湯野:お宝のチョイスが成人男性すぎる。
つくもゆ:ワンカップ大関が良い味だしてる!
シアン:撮ってきたけど、手ごろなガードレールって意外にないね。

シアン撮影

シアン:二枚目、墓みたいでお気に入り。
太田:オシャだ。(※恐らくオシャレの略)
湯野:ワンカップ大関の写真集? ちょっと撮るの夜になりそう。
太田:それはそれで別アプローチとしておもろそう。
湯野:めちゃくちゃ雨降ってきたわ。

湯野撮影

シアン:小汚い。
太田:すごい灰色。
湯野:しょうがないじゃん、夜で雨だったんだから。

友人の結婚式の帰りに、雨に濡れながらガードレールに酒と煙草を添えて撮影を行った変人

湯野:ちなみにこれは濡れたおじさん。
シアン:死んでから自撮りしてくれますか?
つくもゆ:ちょっと遅れた!

つくもゆ撮影

湯野:わざわざ花買ったの!?
つくもゆ:お祝いでもらった花束をそのまま放置してただけ。めっちゃ枯れてて良い感じでしょ!
太田:祝いで送られた花を献花として再利用するの、ヤバくて最高ですね(褒め言葉)
つくもゆ:☺

そんなこんなで素材が出そろいました。つくもゆだけは「ちょっと納得いかないから撮りなおしてくる」と言い残して消えてしまいましたが、さっそく編集していきましょう。
ちなみに、各々適当に編集して一番よさそうなのを選ぶということに決まりました。大丈夫か?

締め切り一週間前


シアン:とりあえず。

シアン作

太田:昭和のホラー映画のポスター?
湯野:フィルムで撮ってそう。そもそもタイトル間違ってるし。
シアン:おじさんは死んでるしいいじゃん。
湯野:殺しゃいいって話じゃないのよ。
太田:とりあえずセピアにしてみたよ。

太田作

湯野:セピアじゃなくてモノクロじゃねぇか。

湯野作

湯野:セピアってこういう感じのでしょ。
シアン:みんなワンカップ大関のやつ使うじゃん。

湯野作 2

湯野:こういうのとかどう?
太田:オシャ(※)じゃん。
湯野:ちなみに、かなり気合で加工と花だけ除外を行っている。
太田:気合があれば何でもできるって本当だったんだな。
湯野:美的センス皆無だからセピア加工の仕方もよくわからなかったから、こう、気合でなんとかした。
シアン:美的センスは関係なくない?
太田:それにしても、本当にワンカップ大関ばっかりだ。
シアン:もうワンカップ大関写真集できそう。

湯野作 3

シアン:ボケがよ。
太田:写真集に寄せるな。

湯野作 4

太田:思い出は色褪せちゃったか。

湯野作 5

太田:化石だ。
シアン:めっちゃ風化してる。

締め切りまで一週間だというのに、表紙より先にワンカップ大関写真集が完成してしまいそうです。
そんな時、写真を撮りなおしに行っていたつくもゆが帰ってきました。

つくもゆ:撮ってきたよ!

つくもゆ作

湯野:おお、写真は良い。
つくもゆ:でしょ!
湯野:でもフォントがほのぼの過ぎるのでは?
つくもゆ:スマホで編集出来るフォントがこれしかなかった。そして、このまま写真に上書き保存されたので、この写真を無の状態から編集できなくなって、おわった。
太田:おわっちゃったか。
シアン:写真が死んじゃった。

つくもゆ作 2

湯野:写真の遺影だ。

つくもゆは「撮りなおしてくる」と言い残して消えてしまいました。

太田:もう、以前のやつでなんとかするしかない。

太田作 2

シアン:すげー遺影っぽい。
湯野:写真の遺影に引っ張られてる。なんとか流れを変えないと。
シアン:前のアレだけどさ。

前のアレ

シアン:死ぬおじさんの死だけ別の色とかはアリなのかもな。
太田:ベタだと赤とか?
湯野:なるほど。
シアン:なんでこんなのでヒント貰えるんだよ。

湯野作 6

湯野:こわい。
シアン:こわくて泣いちゃった。

湯野作 7

シアン:結局こわい。
太田:こわいし、見にくい気がするけどどうなんだろ。
湯野:よく見るために足を止めさせられるから、集客効果はあるかも?
太田:でも、うちの合同ホラーじゃないんだよな。
シアン:たしかに、ホラー系だと誤解されちゃうかもね。
湯野:うーん、それじゃあ――
シアン:そうすると――
太田:とにかく――

行き詰まってしまいました。
作業通話堂はライト文芸サークル。
美的なあれこれの引き出しは無に近いのです。
もう、とっくにアイディアは出尽くしてしまい、話し合いは堂々巡りを始めます。
そんな時。

つくもゆ:撮ってきたよ!
湯野:良いじゃん。
シアン:いい。
太田:いいね。
湯野:じゃあ、こう編集して。
シアン:いい。
太田:いいね。
つくもゆ:いい!

というわけで、とんとん拍子で出来た表紙がこちらです。

死ぬおじさん合同の表紙

今までの苦労はなんだったのでしょうか? これにて表紙完成です。
それでは、5月19日(日)に東京流通センターにて開催される文学フリマ東京38でお会いしましょう。
第二展示場Eホール、きー07作業通話堂でお待ちしています。

※この記事は八割方フィクションです。実際の表紙製作は和気あいあいと行われました。

ライター 湯野正

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