「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」(山田真哉)になりたい人生
HAKOMACHI 一日一冊 10/31冊目
あなたには、タイトルを見ただけでついつい買ってしまうそんな本ありますか?
きっかけは、とある番組
日曜日の朝、10時すぎにやっていた本を紹介する番組。
僕はこの番組のおかげでたくさんの素敵な本に出会えました。
今考えて、感謝を伝えたいとすれば、この番組に毎週触れていた事かもしれません。この時間がなければ、こんなにも読書の幅が広がることはなかったな、そう思うのです。
この本を読んだその時の感想は、
公認会計士ってかっこいい、なってみたいな、と言うシンプルなもの。
でも今思うとこの本には、とてもすごい影響力があって、あらゆる人にいろんな可能性を示した本なのではないか、と思ったのです。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』山田真哉
キャッチコピーとしてのタイトル
タイトルだけで読みたくなる本があるとしたら、
その本は最高のマーケティングに成功しているといえるとでしょう。
この本は間違いなくそのうちの一つではないでしょうか。
まず思うのは、「たしかに!なんでだろう?」を生み出していること。
考えてみたことがなかったけど、言われてみると答えが知りたい。
これは、「答え」ではなく「問い」に価値があるのです。
さおだけ屋を持ち出したのも素晴らしいですよね、
みんなどこかでそのメロディーを聞いたことはあるけど。
「さおだけ屋さーん」と追いかけたことはないはず。
「あの人たち、何しているんだろう?」と言われてみて思うわけです。
そして急に気になりだす。
この作品には続編があり、その名を
「万引きされてもバイトは雇うな」
といいます。
これもさまざまな疑問を生む最高のタイトルですよね。
マーケティングとはかくあるべし、存在で示してくれる本でした。
知るって面白い
この本を僕が読んだのは小学生5年生の時。
小学生の僕にも読みやすくて分かりやすい。
学術書や新書は大学生や大人の読み物だと思っていた僕にとって、
「僕にも理解できた」
「知るって面白いな」
と感じさせてくれたのです。
その後すぐ中学校に上がってからも、学校でその本を読んでいると友人に貸して欲しいと声をかけられたり、その当時話題になった本でもありました。
会計士、と言う仕事を知るきっかけ
小学5年生が普通に生活をしていて、会計士というお仕事を知る機会があるだろうか。
当時算数が好きだった僕は、こんな仕事があるのか、かっこいい、と思ったものです。
どんな仕事においても、大事なのは人。
子供たちが目指したくなる仕事かどうか、これはその産業の発展にも影響する大事なファクターです。
「HERO」が放送されてから、検事や弁護士を目指す人が増えた、と言う話は有名ですが、子供たちがなりたいと思うほどかっこいい存在であること。
そのことに、とても価値があると思うのです。
小学生がわかるようなシンプルな文章で、会計の面白さを紹介することで、その紹介している本人がとてもかっこよく見える。
自分も仕事をしている姿、自分が仕事について語る姿で、自分もこんな大人になりたい、と思う子供や後輩たちがいたらどんなにいいか、と思います。
最高のビジネスモデル
今思うと、この書籍自体が最高のビジネスモデルですね。
①目を引くタイトルで多くに人にリーチする
165万部を売り上げる、ミリオンセラー。このテーマでこの部数。
それだけの人に会計の魅力を伝えたことになります。
②「会計」への関心を高める
仕事で関わることがなければ、馴染みのなかった「会計」と言う分野。
そしてそれについて知ること、学ぶこと、考えることの楽しさを表現した本。
まさに啓蒙と言えるでしょう。
③「会計士」のブランディング
会計に携わる人ってかっこいいな、を生み出したところ。
頑張っているな、えらいな、すごいな。ではないところがポイント。
大変そう、自分はやりたくないな、自分にはできないかもな、ではなくて
楽しそう、自分もやってみたい、自分もやればできるかも、を引き出しています。
本として売れることはもちろんそうですが、価値を広め、関心を高める。
僕たち一人一人もそういった存在であれば、自分の好きなもの、好きなこと、大事にしたいことを周りにも伝えていける。
もし、小学生の自己紹介カードがあったら僕は、白飯かこの本みたいな人になりたい、と書くかもしれません。