『世界の食卓から社会が見える』岡根谷実里 著を読みました

P194より
 自国内の資源でやりくりするキューバ式オーガニック農業と、資源大量投入型の中国式農業。片や安心安全だけれど限られたものしか食べられず、もう一方は安全性の疑問はありつつ選択肢が多く飢えの心配がない。選ばないといけないとしたら、自分はどちらの社会で生きたいだろうか。

『世界の食卓から社会が見える』大和書房 2023年 岡根谷実里 著

 元クックパッド社にいて、現在は世界の台所探検家。
世界中の食卓に直接お邪魔してご飯を作ってその国や社会の置かれている状況、ブルガリアのヨーグルト消費が世界一なのは旧ソ連の効率の良いたんぱく質取得の意味もあったとか、アボカドを生産している産地のメキシコでは水資源を使い過ぎ問題が起こっているし大きな良いアボカドが輸出用になっていて現地では食べられないようになっているとか、アメリカが50年の借款をつけて売り出した余剰小麦がアフリカスーダンの主食にパンを増やして現地の伝統的な主食が食べられなくなってきているとか、キューバではとうもろこし・黒インゲン豆・サツマイモやイネと飼料を輪作して完全オーガニックの野菜を作成しているとか、さまざまな社会問題が食卓から見えてくるというエッセイでした。
とてもとても面白かったです。

 引用は何を良い農業とするかのお話。
趣味の園芸を見ていると化成肥料を大量に使って野菜を作っているようなので、なくなったらどうなるのかしらと思っていたのですが、単純に食べられる種類が減るって方向がありました。
納得。
そんなにいっぱい色々食べないで生きられるなら、それはそれでいい気がします。

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