響絆
ミュージカルや歌などを演り始めるまで
わたしは専ら吹奏楽に打ち込んでいた。
はじまりは小学4年生の頃。
幼い頃から音楽が好きだった私は何の迷いもなく、
学校で唯一音楽ができる部活であった"音楽部"という名の吹奏楽部を自分の居場所として選んだ。
その後も中学・高校と吹奏楽部を選び続け、9年のあいだ、吹奏楽をやっていた。
9年間飽きることなく私は"吹奏楽"に没頭していたのである。
その間には数々の思い出があるが、
特筆すべきは高校時代。
当時中学3年生だった私は或る高校のオープンキャンパスで、"どんなに厳しい日々が待っていようとこのサウンドの中に入りたい"と思うほどの吹奏楽部に出会ってしまった。
あの日の衝撃は今でも鮮明に憶えている。
そして
後先考えずそこに飛び込んだ。
始まった怒涛の日々は、
毎朝4時半に起床し
5時半の電車に乗り
授業以外はほぼ部活
そんな毎日。
100人を超える部員全員が同じような生活をして
それを日常としている。
そりゃあもう
毎日毎日
ここにはとても書ききれないほど
3年間で色んな出来事が起こるわけだが、
気がつくと
"このサウンドの中にいられれば十分だ"
という思いで入り込んだ場所で
私は音楽だけでなく、
沢山の大切なものを学び得ていた。
音楽をする上でどんな人間で在るか。
今考えると
部活というその小さな社会での生活は、
人間力をつけるある種のトレーニングだったようにも思える。
怒涛の日々の中
早朝に現れる睡魔と共存することで、眠りながら歩く技を身につけ
早弁してお昼休みを練習時間にあてることで、高速でご飯を掻き込む技を身につけ
楽器運搬や階段の駆け登り・駆け降りをすることで、筋肉を身につけ…
音楽の能力以外に身についたものはこの他にもいろいろある。
肝心な音楽のほうはというと
年間通して多数の多種多様な演奏の場があり
それ故常に何かしら目指すところがあり
日々それに向かって練習を重ねるといった感じ。
ああでもないこうでもないと音楽を深く突き詰められる時間は、何にも代えられない正に幸せそのものであった。
また、吹奏楽を通して"みんなでやる"ということの楽しさ素晴らしさを感じる時間がとても愛おしかった。
高校時代、家族との時間よりも長い時間を共にしたであろう部活の仲間たちは、今尚とても大切な存在である。
共に国内の色々な場所に行ったし、
共に海外へ演奏旅行にも行った。
因みにこの記事に掲載した写真、
スイスへ演奏旅行に行った時の写真なのだが…
誰かにコレを見せると大抵、合成写真かと疑われる。
しかしもちろん合成ではない。
ザ・サウンドオブミュージックな山々があまりにも美しくて、きっとその美しさにマッチしないジャージ姿の私が浮いて見えるのだろう。
実際、スイスの光景はどれもとても感動的だった。
その地での人との交流も、もちろん演奏も、
忘れられないし、忘れたくない。
他にもエピソードはまだまだ山のようにあるがとにかく!
最後に、確かな事をここに書き留めておく。
この吹奏楽部という場所で得たものは、人生におけるかけがえのないタカラモノの一つとして今のわたしを支えている。
【the end】
パンパカパーン!
ここでお知らせ。今回この記事で取り上げた母校
(愛知工業大学名電高等学校吹奏楽部)
のコンクール映像等をまとめたDVD『響絆』が、 本日5月15日(金)ブレーン社より販売開始との事。
吹奏楽ファンの方や音楽好きの方
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ご興味を持っていただけたら
もう御の字。
❤︎最後まで読んで下さりありがとうございます。
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