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御徒町エレジー第5話【ラーメン屋のコッテリ炒飯】
炒飯(チャーハン)
炊き上がった白飯を具材と共に油で炒めたもの。
和の具材と合わせた薄味のものは焼飯というのが俺の認識だ。
今日俺が食いたいのは。
しっとりとした、味の濃いヤツ。
何なら化学調味料タップリでラードで炒めた、胸焼けするほどジットリした炒飯が食いたい。
そんな欲求を抱えて今日も電話番を終えた午後13:30。
さて、行くか。
今日はあそこだ。
炒飯単品だと少し寂しい。
餃子とセットにすると腹が膨れすぎて、午後から強烈な睡魔に襲われるに違いない。
俺はそんなに食べられる方ではないのだ。
ここはラーチャー。
ラーメン+半炒飯の事だ。
それを売りにしている店。
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オーダーして間もなく。
来た来た!
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そして、こちらの炒飯。
油シットリ。
食べ終えた唇がテカテカになりそうなオイリー感。
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量も半炒飯にしてはなかなかある。
食の細い俺にはこれくらいのサイズが丁度良い。
そしてスープ代わりにラーメンを啜るのだ。
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壁に貼ってある、この店の歴史を見ながらスープを啜る。
どうやら先代の店主は大島ラーメン出身であるらしい。
昔住んでた西永福の駅前にあった大島ラーメン。
そういや、あそこにもラーチャーセットがあったな。
刻んだ柚子の皮が入った一見サッパリ味と見せかけて表面には油の浮いているラーメン。
まずは炒飯をレンゲではなく、金属のスプーンで一口。
ンマーイ!
これだ、これを求めてた。
俺が好きなのは、こういうシットリとした油に塗れた炒飯だ。
例え夜中に胃酸が上がって来たって構わない。
今はこの瞬間を楽しもう。
炒飯▶︎ラーメンスープ▶︎炒飯
麺をすすり▶︎炒飯▶︎味つけモヤシ
ドラクエの攻撃コマンド入力の如く、効率よく喰らっていく。
ちなみに味つけモヤシは、ヒタヒタにごま油に浸かっておる。
健康とは対極にある料理。
それを喰らう背徳感。
本当はビールも飲みたい。
このまま半休取って飲み散らかしたい。
そんなひと時。
ふぅ。食った。食った。
しばらく炒飯はいいや。
直後はこう思い、そして。
二週間後には、またここに来る。
「炒飯食いてえな」
パラパラではなく、シットリしたヤツを。
第六話へ続く