チベット便り019　黄昏の言語 サンディヤバーサ

心の性質を知る人、五感の楽しみを味わう

ニグマ

タシデレ―。突然ですが、ヴァジュラヤーナ（金剛乗密教）の伝統において、ムドラとマントラ、マンダラとチャクラ、数字、数秘術、数字の精神性は、サンディヤバーサ（トワイライト ランゲージ/黄昏の言語）の鍵となるそうです。

サンディヤバーサ　黄昏の言語

暗号言語とも訳されるサンディヤバーサは、秘密の言語であり、ヨギが話す偉大な慣習です。視覚、言語、非言語であり、ヴァジュラヤーナとヒンドゥのタントラの伝統に関連した多義言語コミュニケーションシステムです。
初心者には、理解不能で、グルによる具体的な口頭解説がなければ、他者やシュラヴァカ（生徒）には、謎を解くことは出来ません。

@Phewa lake　पोखरा

ニグマには生涯に多くの重要な生徒がいましたが、チベットの瞑想の達人キョンポ・ナルジョルは、資格のある教師からの教えを求めて集中的に旅をしたことと、シャンパ・カギュ派の基礎となる教えの全集をニグマから受け取ったことで傑出しています。キョンポ・ナルジョルは、ニグマを含め、さまざまな教師から教えや伝承を求めてネパールとインドを訪れました。ニグマの知識と指導方法の一部は、キョンポ・ナルジョルがニグマと初めて会ったときの描写に見ることができます。インドでさまざまな教師に師事していたキョンポ・ナルジョルは、出会った人々にヴァジュラダーラ（金剛菩薩）に会ったことがある教師がいるか尋ね、ニグマのことを教えてもらいました。

ヴァジュラダーラ（金剛菩薩）は、アディ・ブッダ（原初の仏陀）。
インドラ（帝釈天）の別名。

そこで、キョンポ・ナルジョルは、ニグマから更に高いレベルの教えをうけるためにニグマを探し、インド東部のソーサ納骨堂でニグマを発見しました。

伝統的に、生徒は、教師から教えを授かるまでに3回要求をします。
キョンポ・ナルジョルが、ニグマに1回目の要求をした時、ニグマはサンディヤバーサで返答しました。ニグマは「私は肉を食べるダキニです。」と暗号言語で答え、人食い人種の女王であると主張しました。

2回目の要求では、ニグマはナルジョルに、金（ゴールド）を要求しました。ナルジョルは、出会った教師たちにお渡しするお供えとして、大量の金を携えて旅をしていました。ナルジョルが、ニグマに金を捧げると、彼女はそれを空中に投げ、森の中にばらまきました。

ナルジョルの3回目の要求で、ニグマは、ギュル（幻想身体）とミラム（夢のヨガ）の入門を授けました。これらは、ニグマの6つのヨガを構成する二つのセクションでした。その後、ニグマは、ナルジョルを黄金の山の頂上に連れていき、完全な6つのヨガを授けました。

ニグマはナルジョルに、ヴァジュラダーラとニグマから始まる最初の7世代は、一人の生徒だけに伝えるように指示しました。1、ヴァジュラダーラ　2、ニグマ　3、キョンポ・ナルジョル　4、モクチョクパ（1110～1170）5、キェルンパ（1143～1216）6、リゴンパ（1175～1247）7、トンパ（1207～1278）と伝わり、ここから血統の流れが開かれ、多くの人に教えと実践が与えられるようになりました。

チベットに戻ったナルジョルは、ツァン州西部のシャン地方に僧院を設立し、商いのラマとして知られるようになりました。

@Nepal

ニグマの歌

ニグマは、歌の形で口頭で教えたことで知られ、ニグマへの歌とニグマの歌があります。ニグマの歌と祈りは、理解度に応じて段階的に学習することが必要です。

時を超越した歓喜。
六感の領域から解放され、考えないことが超越の道である。
絶対的な広がりには概念がありません。
精神活動からの自由は、マハームドラです。
瞑想しないで下さい。瞑想しないで下さい。
頭で瞑想しないで下さい。
心の瞑想は、惑わされた思考になります。
思考は、あなたを循環的な存在に縛り付けます。
マインドから解放されれば、瞑想は存在しません。
意識のない空虚な空間で意識を与えられた心の根を飼い慣らす。
根を撫でてリラックスして下さい。

この教えのあと、ニグマは、キョンポ・ナルジョルに、チャクラサンヴァラ（勝楽金剛）、ヤマンタカ（ヴァジュラバイラヴァ、大威徳）、へーヴァジュラ（呼金剛）など五神すべてを与え、その後、夢の状態でニグマの六つのヨーガを与えました。

ニグマの六つのヨーガを実際の生活の中で行い、七人の血統保持者のために絶対的な秘密で維持するよう予言し、「私は常に将来のシャンパの血統保持者全員を祝福し、一緒に居ます。」と言いました。

ニグマの教え

瞑想から得た理解を日々の生活に取り入れるための3つの方法。
白と赤のダキニを使った開発と完成の実践。
心と体には、不死の性質があるという教え。