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たくあんポリポリかじりながら

危ない。

気を抜くとキケンなものがそこかしこに溢れている。

今日のスーパーでの買い物。

焼き立てパンコーナーに並ぶメロンパンも,ビールも,オットのエピソードを思い出し,涙腺がゆるみそうになる。

気を取り直して食パン,牛乳をかごに投げ込み,生鮮コーナーへ。

オットは好き嫌いが多かった。特に野菜。嫌いなものが食卓に並ぶと不機嫌になった。それは「え~,それ嫌いだな」「あ,ごめんね」などというかわいいレベルではなかった。だから買い物のときはオットが嫌いなものを買わないように注意が必要だった。そのうちに「食べられるもの」に限定して買うようになった。野菜で買えるものを数えたら10種類にも満たない。

それ以外の食材を,私は家で食べることができない。毎日夫が好きなおかずを出さないと怒りだすというモラハラ夫の話を最近読んだが,これもモラハラだったのかもしれない。

この日は野菜コーナーで,めったに買えなかったきゅうりを2本。同じくひさしぶりに小松菜を1束かごに入れた。

調子に乗ってたくあんも買ってしまえ。

漬物は匂いがするので,食卓で最も避けるべき食べ物だった。

ふんふん,ザマアミロだ。


夕飯でたくあんを食べてみる。

期待したほどおいしくはないな。

機械的に口に運ぶ。

ぽりぽりと音を立てながら思う。


わたしは何でも食べて生きていくんだ。

これからは食べたいものを食べるんだ。

わたしには,育てるべき子どもたちと,見守るべき義理ハハがいるんだもの。好き嫌いなんて言ってられないのよ。

たくあん食べて憎たらしいばあさんになるまで生きてやるんだ。

嫌いなものを出すなと言っても,先に逝った方が悪いのだ。

ザマアミロ,だ。

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冴子
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