野球は確率のスポーツだ! ID野球の申し子が伝授する極意とは? 書籍の仕事まとめ#22 飯田哲也さん著『本番に強くなる野球の実戦力
ノムラの教え
ランナー一塁で、エンドランのサインが出たとします。
あなたが打者なら、どこへ打ちますか?
右方向に転がす?
方向は別にして、とにかくゴロを打つ?
ヤクルト時代に4回の日本一に貢献した飯田哲也さんは、野村克也監督から同じことを問われたとき、「ライト方向です」と答えたそうです。
野村監督は、「じゃあ、そのときショートはどこにいる?」と訊きました。
「セカンドベース寄りですね」
飯田さんが答えると、野村監督は言いました。
「それなら、三遊間は空いているだろう。そこへ打てば、ヒットになるじゃないか」
飯田さんは、「ID野球」の申し子と呼ばれる選手でした。
飯田さんは言います。
「野村さんから教わったことを一言で表すなら、『野球は確率のスポーツ。より確率の高いことをしなさい』ですね」
「確率の高いこと」って?
速い球を投げる。打球を遠くへ飛ばす。速く走る。
これらの能力は、練習すれば必ず上がるとは限りません。
しかし、野村監督の言う「確率の高いことをする」という考え方は、
意識すれば身につけられます。
そして、それを実践すれば、能力の高い選手たちと互角に戦えます。
では、確率の高いプレーとは、何か。
先述した「エンドランで、空いたショートへゴロを打つ」もその一つです。
本書には、「打撃」「走塁」「守備」の基本と、確率を高めるための考え方が書かれています。
打撃であれば
・カウント別の心理
・狙い球を絞る根拠
・球種のクセを見抜く方法
・ピッチャーのタイプ別攻略法
走塁であれば
・ランナー別(打者走者、一塁走者、二塁走者、三塁走者)の走塁
・作戦別の走塁
・けん制のクセを見抜く方法
などです。
「知らない」と「知っている」では大違い
飯田さんの取材では、今まで知らなかった考え方を、たくさん知ることができました。
取材を通して、僕は「プロとアマチュアの最大の違いは、技術そのものではなく、考え方なんじゃないか」と感じました。
特に、走塁の基本と考え方は、アマチュアの選手が身につければ実戦力の向上になると思います。
たとえば、打球判断。
打球を見ながら走り、先の塁へ行くかどうかを判断して、行く(もしくは止まる)ーーという選手が多いのではないでしょうか。
飯田さんの教えでは、次の塁へ行くつもりで走りながら、打球を見る。「行けない」と判断したら、止まる。
急加速はできないけど、急ブレーキはかけられるからです。
つまり、「行かない、行かない、やっぱり行く!」ではなく、
「行く、行く、やっぱり止まる!」
この意識が好走塁を生むのです。
本書に書かれているのは、「プロだからできる」というものではなく、「考え方を知って、意識すればできる」ということばかり。
ぜひ、飯田さんから「確率の高いプレー」を学んで、実戦に強い選手になってください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?