🍺てんしばオクトーバーフェスト2023年９月　～失われたものと、変わらぬもの

2023年9月10日 17:11

ゴールデンウィークにも行こうとして人混みに面食らい、もう当分寄り付くまいと思っていたイベント、日本版のオクトーバーフェストに、性懲りもなくまた行ってしまいました😅（今もまだ、「オクトーバー」ではないけれど💧　Septemberですやん(^_^;)）

今回は幸い連休ではない普通の週末だったため、GWほどダダ混みにはならず、程よい賑わいでした。天候にも恵まれましたしね。つい前日まで体調不良でダウンしていたため、エナジー全快とはいかず、多少頭痛も残っていましたが、がっつりとデカいジョッキで呑んできましたよ～🍺笑

ただね、今回は病み上がりのせいもあってか、あるいは秋の兆しを感じられる夕暮れどきの時間帯（16時過ぎ）だからか、目の前で展開されるどんちゃん騒ぎのシチュエーションに似合わず、頭の中では、ちょっと感傷的な考えが巡っていました。複雑な造形で流れていく象牙色の雲や、息ぴったりの動きで飛翔するツガイのカラスたちを見上げながら。

そんなわけで、珍しくフィクション小説ではない現実の話の中で、キャラに似合わない心情吐露を添えてみます。私の頭の中の本音なんて、たぶん誰も興味がないだろうけど😅🙇

ビアフェス系のイベントは、姉や友人と参加することもありますが、今回は相方と二人で行きました。

好奇心に任せて未踏の領域へ踏み入り、普段とは違うことを色々やりたがる私とは違い、うちの相方は、何かと色々パターン化して、ルーティンとして同じことを繰り返したり、「これが俺たちの定番コースで、お決まりのスタイル」ということにしたいタイプ。毎年同じ時期に同じイベントに参加し、特定の店に通い詰めて、同じ席でお決まりのものをオーダーする。「いつもの」の一言で通じるやつだ。

年中行事に疎くて無頓着だった私が、毎クリスマスにシュトーレンを食べるようになったのも、年末年始に年越し蕎麦や御節を食べるようになったのも、全部この相方の影響というか、相方の望みに合わせてのことだ。

別に飽きっぽい性格というわけではないのだが、相方と出会うまでの二十数年間は、ひとところに留まらず転々と引っ越しや転職を繰り返す根なし草だったので、そんな、変化の絶えない生活に慣れすぎていた私からすると、ちょっと理解しがたい趣向だった。パターン化して決めてしまうこと、一定のやり方に執着することは、いわば自分の世界に境界線を引いて広がりをなくしてしまう行為であり、時間の流れを止めてしまう行為。そんな風にしか思えなかった。せっかく世界はこんなにも広いんだから、もっと色々他のところも見たい、いつもと違うイベントにも参加して、これまでやったことのないことをしてみたい。世界は刻々と移り変わり、与えられた時間は限られているのだから、同じ景色ばかりで済ませては勿体ない、と……。

でもこの日、向かい側に腰掛けて、いつも通りの仕草でジョッキを傾け、すでに何度も参加したことのある恒例のイベントで、またいつも通りにビールを呑むという、お決まりの行動に安心感を覚えている様子の相方を見ながら、ふと思った。

───私たちはあと何度、
これを繰り返すことができるのだろう、と。

なるべく考えないようにしてきたことだが、相方は私よりも16も歳上だ。順番通りなら、いずれ私がおいていかれることになる。たとえ同い年であったとしても、また出会い初めは互いに若く健康であったとしても、急な事故や病気などでパートナーを失い、予想外に短い時間しか共有できない可能性は充分にある。だからこそますます、16年の開きは大きいのだ。

疫病問題を機に、僅か数年で世界は変わり果てた。残念ながら、醜く浅ましくキナ臭い方向に。風の時代などではない。ケダモノの時代だ。そしてそんな世界で、人と人との間に隔たりが生じ、私たちはあまりに多くのものを失ってきたと思う。

私たち……。
そう。私一人の身に起きたことだけを指しているのではない。今これを読んでいる皆さんも、思い当たるところがあるはずだ。

今日もこのイベントへと向かう道すがら、とてもじゃないが正気とは言えない精神状態にある中高年男性が、20代半ばぐらいと見られる若い女性に罵声を浴びせ、オラオラ口調で絡んでいるのを見かけた。GWのときにも、似たような行動を取る輩を見かけた。道行く人たちに手当たり次第に怒鳴り散らして、今にも掴みかかりそうな勢いで絡んでいた。数年前までなら、『ああ、いるいる、ああいう意気がってるゲスなオッサン。でも威嚇して自分を大きく見せようとしているだけの単なる輩だから』という感じで、相手にせずひたすら無視していれば収まるケースが大半だった。

だが今はもう時代が違う。先行き不安や生活苦、コロナ失業などを背景に、かつては口先だけ喚き散らしていれば気の済んだ輩たちが、自暴自棄の果てに突然通行人に切りつけてきたり、「誰でも良かった。一人でも多く道連れにしたいだけ」と車で突っ込んできたりするご時世だ。その手の物騒な事件も今に始まったことではないが、明らかに頻度が違う。右を向いても左を向いても、世界中が大勢の憎しみや苛立ちで澱み、常に張り詰めた空気が漂っている。元の日常恋しさに、たとえ表向きだけは変わらぬ風に装おっていても。

そんな世界では、繊細敏感な人ほど己を保つのが困難になる。結果として、私は、すっかり人が変わり元のアイデンティティーが完全崩壊してしまったような友人（←かつては誰よりも無害で大人しいタイプだったのに、他人に敵意を向けて烈火のごとく怒り散らす嗜虐しぎゃく者と化した）に絶縁宣言をするハメになったり、数年間の自粛生活による視野の狭まりなどで、他者に対して敬意のない井の中の蛙と化してしまった知人に、絶縁とまではいかないが距離をおくほかなくなったり……。

ただやはり、そういうのって、私の周りだけで起きている限定的な事柄ではないと思うんですよね。これだけ世界規模でガラリと状況が変わったのだから、他にも大勢いるはずです。私と似たようなことを経験し、かつては順調だった間柄の人と険悪な関係になってしまったり、身近な人が精神を病んで別人のようになってしまったり、最悪は自ら命を断つ人まで現れて、永遠に相手を失うハメになったという人たちが。

何よりもまず、人の世から平和が失われた。
局部的には、これまでにも常に世界のどこかで争い事があったのだけれど、今はどこもかしこも全体的に不穏な状況にある。

長い年月をかけて、幾人のもの人々が血のにじむ努力でコツコツと積み上げてきた平和の土台が、完膚なきまでに崩されてしまった。歴史が繰り返されることは百も承知していたが、こんな形で、こうも急速に澱んでいく世界を、現在進行形で日々目の当たりにして、心穏やかでいられるわけがない。

壊れて、崩れて、失われて、失われて……。

そんなときだからこそ、ひしと実感したことがある。今も目の前に変わらぬ様子でいてくれる一人、共に変わらぬ行動を続けられているこの瞬間の、なんと貴重なことか、と───。

立ち止まらずに見聞を広げ続けることも勿論大事だが、私の場合、一番の幸運は今目の前にある。多くが失われても残るものは残り、今もこの手の内にある。

だからこれからは、同じ行動の繰り返しを好む相方に、今まで以上にちゃんと付き合って、すぐ隣で噛み締めていようと思う。あと何年続けられるとも知れない、数限られた相手とのお決まりの時間の過ごし方、お決まりのスタイルを。

次第に夕暮れていく空の下、巨大なジョッキで冷えたビールを呑みながら、そんなことを考えていた。行き付けの店や馴染みの場所、恒例だったイベントなども、ここ数年の変化で幕を閉じたり休止になったりトラブルに見舞われたりして、失われることはある。その意味でも、こうして過ごせる今この瞬間は、殆ど奇跡のようなものなのだ。

そんな、らしからぬほど感傷的な思いに耽りながら帰宅すると、横浜の友人の一人から手紙が届いていた。厚みがあるので、また手作りの鮫グッズでも送ってくれたのかな、と思いきや、今回は怪談関連のグッズでした（笑）　イベントのお土産です。この友人も、世界の変化などお構い無しのタイプで、マイペースで変わらない人です。ありがたい存在ですね。

先の一枚とこのカラスの画像は、いずれもピクサベイから拝借してきた著作権フリー画像です📸　害獣扱いされがちですが、カラスは仲間思いの賢い子たちなので、見ていて癒されます💖　最近では、人間に恩返しをしにくるカラスの親子の話もありました。

ところで私は、実生活では、どちらかというと、自分の嫌っている人や苦手な相手にまで、何故だか大いに気に入られ、筋違いな期待や身勝手な甘えで纏まとわりつかれたり、追い回されたりしがちなタイプです。noteの文章でしか私を知らない人たちの多くは、おそらく私のことを、独りよがりで他人を突き放してばかりいる薄情者で、おっかない毒舌家だから人が寄り付かないタイプ、と思われているのではないかと思いますが、これが意外と逆なんですな💧（毒舌家なのは事実だし、20代頃まではそのイメージ通り、周りにビビられる威圧系でしたが😅）

今でも中身はこんなにも性根の腐ったニヒリストで、他者との間に相当な距離を欲する人間なのに、常に誰かに後ろから追い回されて、「あなたなら分かってくれると思った」とか「あなたはあんな連中とは違う。私たちの側（まとも組の一員）でしょう？」とか言われて、窒息しそうなほどベタベタと取りつかれる💧　主にはちょっとメンタルを病んだ面倒臭いタイプ（👈我こそは真っ当な人間の代表だと思い込んでいる、全然まともではない人たち）、つまり招かれざる客たちに💧

私が、繋がりを求めて行動するよりも悪縁切りに全力投球したり、「もう誰も近寄るんじゃねー👊　新しい出会いなぞ要らね～わ💢」と突き放すような言動ばかり取りがちなのは、そのせいです。いっそ嫌われた方がマシ、私に構わず放っておいてくれ、と思わざるを得ないような状況が、常に背後に存在するから。（👈たぶん私は、性格と人相が真逆なのです。ノーと言わずに何でも都合よく許容してくれる人格者タイプに見えるらしい💢）

でも先に述べた友人のように、自分と気の合う相手、つまりこっちも「あなたなら歓迎さっ💖　いつもありがとう👍」と思える相手の場合は、こんな状況下でも残り続けてくれること、変わらぬ付き合いを続けようとしてくれることが素直に嬉しく、ホッと安堵を覚えます。サイコパスの暴力家庭に産み落とされて、人生の出だしは最悪だったが、やはり私はなんだかんだで恵まれていて、幸運だなと。

でもどんな幸運も、永遠ではない。
それだけは忘れてはならんのです。

今日はそんな、変わらぬ関係の尊さ、ありがたみについて、改めてひしと実感することになった１日を、文字に書き起こしておきたかったのです。私には珍しく、茶化さずに（笑）

……え？
充分にふざけて茶化している箇所もあったぞって？

ど、どこにですか？？？😱💦　👈今や、今💧

───まあとにかく、皆さんも、こんなご時世にありながら変わらず接してくれる人が身近にいれば、改めてその関係性について見つめ直してみるといいかもしれません。その上で、自分がクサクサとして、そういう貴重な相手にまで無意識に辛く当たったりしていないか、時おり省みることをお勧めします。眼前の今を、他ならぬ自分自身が壊してしまわないよう、これ以上何かを失わずに済むように。

手放してはならないものは、今一度しっかりと握りしめて歩み出しましょう。人間が次々にケダモノと化していく、この混沌の時代の只中を。

ではでは、長くておセンチな記事に最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました🙇

次回からはおそらく、また処女作『クルイロ～翼～』のつづきを投稿します。ああした続き物の物語は、長く続けば続くほど脱落者が増えて、最終的には誰も読まなくなるかもしれませんが😅、なるべく単発の記事として読んでも楽しめるような区切り方になるよう、試行錯誤しながら投稿していきますので、どうぞ宜しくお願いします🙏

▼本日の１曲🎵
（いつから始めたんだ、こんな企画？笑）

【歌詞はこちら】▼
（注：私の錆びた英語力による意訳なので、明らかに間違っている！という点があれば、ご指摘ください😅🙇）

『Distant Call』

Casey Stratton

幸運や運命の訪れを待つばかりだと
今この場にある眩い輝きは失われていく

だから手を伸ばせ
風はあなたを転落させたりしない
私たちは一つで、私たちはすべてだ
遠くの声に　耳を傾けろ

このままでは私たちは
自らの感性をも失いかねない
暗い日々はあるだろうが
それが私たちのすべてではない

この地に印を付けておこう
輪を描くように一巡して
再びこの地に降り立てば
自分がどこにいるのかが分かる
そして前に歩み出すすべも
身の振り方も───

🍺てんしばオクトーバーフェスト2023年９月 ～失われたものと、変わらぬもの

『Distant Call』

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