自分にバフをかける目標設定のコツ
僕たちは2つ以上の目標に焦点が定まると、能力にバフがかかります。
いままでにこんな経験はなかったでしょうか。
「ふだんは仕事が忙しくて残業続きだけど、友達から週末に遊びに誘ってもらったら急に仕事がサクサク捗り始めた」
週末に楽しみな予定が入っただけで、「目の前の仕事を終わらせるんだ」と急にやる気が湧いてきたことはありませんでしたか?
今回は、結界という技法を用いて、上記と同じバフ状態を意図して起こしてみましょう。
ゴールの条件についての確認
さて、この記事を読んでいる方に質問です。
「あなたにはやりたいことや達成したいことはありますか?」
「それは自分の行動や考え方など、何かを変えないと達成できないことですか?」
2つ目が特に重要な質問です。
「今の自分のままでも達成できそう」と考えられる目標は、「現状の内側の目標」です。
自分の生き方や考え方を改めたり、見直す必要がないので、待っていれば時間の経過とともに達成できる目標です。
しかし、なかなか達成できない場合は、上記の質問の2つめをもう一度自分に投げかけてみると良いでしょう。
「このゴールを達成するためには、自分の何かを変える必要があるんじゃないか?」
その「何か」を見つけるために結界を利用して突破口を開いてみましょう。
さて、現状の外側に向かうためには、「今までの自分の過ごし方」をすべて見直す必要がある。
仮にそうだとしても、そもそも「ゴールのために何をしたらよいか」が分からないかもしれませんね。
そこで「抽象度を上げる」というアイデアが役に立ちます。
冒頭の「友達との約束」の例も、知らないうちに抽象度が上がったことで能力にバフがかかっていたのです。
問題はその抽象度の上げ方ですが、情報の並列処理がカギとなります。
目標は最低でも2つあればバフはかかる
「ふだんは仕事が忙しくて残業続きだけど、友達から週末に遊びに誘ってもらったら急に仕事がサクサク捗り始めた」
記事冒頭の続きです。
素直に本心から「友達に会いたい」と思っている場合に限りますが、下記のような考えが自然と浮かんでくるようになります。
「今週は友達との予定があるし、休日出勤絶対NG」
「金曜日も残業したら当日は疲れて楽しめないよな…」
「金曜日の定時までには必ず仕事を片付けよう」
ちなみに、「友達」のところは「恋人」とか「交際したい相手」に置き換えてもかまいませんし、「息子」「娘」でも同じことが起こせます。
対象が誰であっても、未来の予定が本心から望んでいることならバフがかかります。
・2つの視点が維持できたときバフがかかる
冒頭から用いている例ですが、「今の自分」の視点に加えて「未来の自分」の視点でも思考をしています。
「週末の自分のために仕事を片付ける」と言い換えることもできます。
能力にバフがかかるヒントはここにあります。
僕らの脳が上手いやり方を見つけるときは、以下の条件が揃っています。
2つ以上の目標が設定される
2つ以上の視点を持つことができた
もし週末に友人との予定などが入らず、今の自分の視点だけで過ごしていたら、仕事が捗る方法はきっと見つからなかったでしょう。
「あー、仕事終わんねー」
「残業すればいいやー…」
このような独り言が出てくるうえに仕事もなかなか終わりません。
必要以上にがんばる理由など誰にも見つけられませんし、必要に感じられないことをやる意味など見つけられないでしょう。
・バフの持続にはゴールの更新が必要
週末に楽しみな予定が入ったら、急激に仕事が捗った…
よくあるモチベーションアップの例ですが、ゴール設定の視点で分析すると再現性の糸口が掴めます。
今、目の前でやっている仕事 → 「仕事のゴールや目標」
頭の中で待機しているゴール → 「週末の余暇」「友人との関係」
「今、目の前でやっていること+その他のゴールの設定」が能力にバフをかけてくれるのです。
さて、友人関係についてのゴール・目標を設定するというと、少し違和感を覚えるかもしれません。
これは「どういう人間関係の状態が望ましいかを決めておく」という意味で捉えてください。
友人がいた方が良いのか、いない方が良いのか、どんな付き合い方が良いかを考えるといった程度の簡単な話です。
さて、この能力のバフは週末の予定を迎えると切れます。
仕事と平行して、並列して認識できていたゴールを一つ失うからです。
今週末の余暇のゴールはすでに達成されてしまったので、新しく未来にゴールや目標を用意しないと新たなバフを獲得できないのです。
短期的な目標ばかりだと、すぐにゴールを失うことになるので並列認識のレベルも下がってしまいます。
次々とゴールを更新できる場合は問題になりませんが、更新を怠るとバーンアウトの可能性が高くなるのでリスキーです。
長期的なゴールを持っておいた方が安全だと思ってください。
結界とバランスホイールの親和性
長期的な能力のバフを用意したい場合、長期的な目標・ゴールを作ればよいということになります。
結界の話題になかなか踏み込めていませんが、下準備だと思ってお付き合いください。
さて、結界では「複数のことを同時に認識する」ということをやります。
上記のように、3か所、あるいは4か所を同時に意識することになります。
部屋に結界を張る場合なら、「部屋の四隅を同時に意識する」と考えるといいでしょう。
自分の周囲の複数の場所を「まんべんなく意識する」という頭の使い方をするのですが、これがコーチングのバランスホイールとも似ているのです。
バランスホイールについては書籍から引用して紹介したいと思います。
ゴールや目標の話となると、つい仕事のことばかり考えがちです。
しかし、能力にバフをかけたいと思ったら仕事以外にもゴールや目標があった方が効果的です。
それは「友達との約束」が仕事にもたらしたバフの例でもお分かりいただけるでしょう。
引用文をチャート図に置き換えてみると上記のようなものになります。
先に紹介した結界は3角形と4角形でしたが、バランスホイールは10角形の結界ともとらえることができそうです。
ひとつのことに集中するのは簡単ですが、結界を機能させるためには複数の位置に意識を振り分ける必要があります。
並列処理に脳を慣らすためです。
多少、慣れるまでに期間は必要ですが、並列処理に慣れていくにつれて同時に認識できる情報の数は増えていきます。
その先には「抽象度を上げる」というステージが待っていますが、まずは並列処理に脳を慣れさせることが先決です。
そのためにも「自分がやりたいこと」をたくさん抱えておきましょう。
・待機しているゴール、目標はあるほどよい
ゴールを数多く持った方が良い理由は、「友達との約束」の例からもお分かりいただけたと思います。
次に覚えておいて欲しいことがあります。
身体でできることはひとつ
思考でできることはたくさん
実際に手を動かしたり、その場にいないとできないことがある一方で、考えを巡らせるだけで完結することもたくさんあります。
たとえば、余暇でも仕事でも「スケジュールを組む」ことなどは、想像力を働かせることで段取りを組み立てることが可能です。
こういった思考的な作業は意識ではなく無意識にやらせることが可能で、並列処理能力を磨くメリットはここにあります。
以下に羅列した行動は、同時に行うことは難しいものばかりです。
車の運転
料理をする
絵を描く
勉強をする
デスクワークをする
絵を描きながら車の運転をしていたら間違いなく危ないですし、落ち着いて運転できるイメージもわかないでしょう。
面白いことに、意識して「どんな絵を描こうか」と考えなくても、「絵を描くこと」がゴールとして設定されていれば無意識が勝手にアイデアを膨らませてくれます。
ある日突然、長い間解けなかった問題の解決方法がわかったり、仕事のアイデアが浮かんだりした経験はありませんか?
意識して考えた時間もたくさんあったと思いますが、「いったんやめるか」と考えるのをやめたあとでも無意識は考え続けてくれます。
その結果、「ある日突然ひらめく」といった現象が起こります。
無意識の力を使うメリットはまさしくこれです。
そのためにも複数のことに強い興味を持っていることが望ましいので、バランスホイールというアイデアを紹介しました。
では、最後に結界の生成で並列処理のトレーニングをやってみましょう。
結界の生成~並列処理トレーニング~
ゴールを達成していくためには抽象度を高くする感覚を持っておく必要があります。
いきなり「抽象度を上げましょう」と言われても、何をどうしていいのか分からない人も多いでしょう。
この記事で出すヒントは大きく分けて2つです。
「今の自分を超えて思考する」
「複数のことを同時に認識して理解する」
1つめのヒントは「週末の自分のため」という短期的な未来でもバフがかかったことでした。
そして、長期的なゴールを設定することができれば、それに応じてバフの期間も長くなるということです。
2つめのヒントはこれから説明します。
合わせてやっておいて欲しいことは以下の2つです。
例えば「年商〇〇〇〇万円の会社オーナー」などのようなゴールを仮で設定しても問題ありません。
そのゴールを実際に達成する自分はどんな要素を持っているのかを考えてみてください。
どんな毎日を過ごし、どんな表情で、どんな気持ちで、どんな相手と接し、どんな服で、どんな場所で、どんな仕事をしているのか…
結界として用いるにあたっては、そのうち3つもあれば十分です。
中心の円は自分の情報を載せた気の玉を入れます。
そして、その周囲を「ゴールを達成するための必須3要素」で囲みます。
例えば、以下の3つの要素を配置したとしましょう。
いつも晴れやかな表情
自社ビルの会議室で会議
着心地の良いスーツ
表情の感覚や、会議室内にいる感覚、スーツが肌に触れる感覚など、3つの要素から感じられる五感情報も大切にしてください。
まずは順番に意識して構いませんが、1つの要素だけに意識を集中するのではなく、3つの要素にまんべんなく意識を向けるよう心掛けてください。
ここまでが準備運動です。
最後に抽象度を上げる方法ですが、3つの要素にまんべんなく意識を向けることに慣れてきたら以下のことを試してみてください。
3つの要素をできるだけ高いところから見下ろす
3つの要素を中心にぎゅっと寄せる
並列して複数のことを認識するトレーニングを充分に積んだあとならば、上記の工程でしっかり抽象度が上げられます。
まず3つの要素をできるだけ高いところから見下ろすでは「複数の情報を同時に認識する」ことを心がけます。
次に、3つの要素を中心にぎゅっと寄せるでは「複数の情報を統合する」ことを心がけます。
まずは、1つのことにしか集中できない脳を、複数のことに集中できるように慣れさせるところから始めましょう。
ここで初めてリラックスの重要性も理解できるでしょう。
頭はフル回転させるけれど、身体が吊られて緊張してはいけないということです。
そして、複数のことに均等に集中を向ける感覚に慣れてきたら、イメージの中で3つの要素を押しつぶすような感覚で1つの存在として統合します。
3つの団子を、1つにまとめるような感覚ですね。
1つにまとめた団子に触れると、ゴール達成に必要な3つの要素のことが同時に感じられるようになったら情報の統合ができたと考えていいでしょう。
おわりに
僕が使っている気功の技術は、伝統的な気功に加えて認知科学の視点の気功、そしてコーチングの分野の考え方が盛り込まれています。
「気功でセルフコーチングと同じことをしている」とも言えます。
気功でできる面白いことは「自分の無意識の選択を変えられる」という点でしょうか。
今日をダラダラすごすか、それとも限られた時間を有効に活用できるかは、無意識が勝手に決めてしまいます。
残念ながら意識に選択権はありません。
なので無意識にいかに介入するかがポイントになるのですね。
むやみに無意識に介入しても、目的がなければ意味がありません。
そのため、ゴールは仮でも良いからたくさん作っておこうというのが僕の気功の教育方針です。
気功には有用な技法がありますが、活かすも殺すもゴール次第だということです。