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建設アスベスト訴訟に係る最高裁判決等を踏まえた対応(厚労省労政審分科会)

厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」

厚生労働省「労働政策審議会労働条件分科会」(第141回)が明日(2021年11月1日)開催されるが、議題は「建設アスベスト訴訟に係る最高裁判決等を踏まえた対応について」。

なお、明日の労政審分科会の資料は厚労省サイトで公開されているが、次の資料がある。

議事次第(PDFファイル)
資料1 建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について(PDFファイル)
資料2 建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応に関する業界の意見について(PDFファイル)

建設アスベスト最高裁判決対応に関する委員発言

資料2「建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応に関する業界の意見について」には前回労政審分科会での議論に関する次のような記載がある。

前回の主なご意見
(保護対象者の範囲関係)
○ 保護対象者を細かく分けて議論するのではなく、判決の物や場の危険性という考え方を踏まえて、現場にいる全ての人を対象に、同等の保護措置を求めるべき。
労働者以外の者も、幅広く対象に入れるべき。

(保護措置の内容・措置義務者関係)
○ 誰に措置義務を課すのかという点については議論があるところだが、労働者以外についても、労働者に義務付けられているものと同等の保護措置を行うべき。
○ 保護具の着用について、労使関係のない事業者が、一人親方等に着用を義務付けるのは難しいのではないか。
○ 退避措置について、労使関係のない事業者について、一人親方等の退避という結果についての責任を負わせることについては慎重に検討すべき。
○ 民法第715条(使用者等の責任)や労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)にも留意して議論する必要がある。

(その他)
○ 現場の実態も含めての検討が必要であり、関係業界団体などからヒアリングを行い、その結果を報告頂きたい。(資料1「建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について」より)

前回労政審分科会での委員意見の中で最も重要な発言は「現場にいる全ての人を対象に、同等の保護措置を求めるべき」「 労働者以外の者も、幅広く対象に入れるべき」「労働者以外についても、労働者に義務付けられているものと同等の保護措置を行うべき」との意見。

「労働者以外」とは雇用によらない働き方の者

労働者以外とは建設アスベスト最高裁判決では「一人親方」になるが、一人親方とは言い換えると「個人事業主」「雇用によらない働き方」「雇用類似の働き方」「フリーランス」のことになる。

つまり、労政審分科会委員が「一人親方」「個人事業主」「雇用によらない働き方」「雇用類似の働き方」「フリーランス」といった労働者以外にも労働安全衛生法に規定された保護装置を適用すべきと意見したことにもなる。

第141回「労働政策審議会安全衛生分科会」資料(厚労省サイト)

フリーランス保護に関するアンケート立憲回答

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は「2021総選挙政党アンケート-フリーランスの保護に関するアンケート-」を行っている。

そのアンケートの中での「マニフェストにフリーランスの権利保護やセーフティネットの整備が入っていますか」との問いにに対して、立憲民主党 はマニフェストに入っているとし「雇用類似就業者の命と健康を守るため、労働者と同様に必要な労働関係法などを適用できるようにします」と回答。

この立憲民主党の回答は、労政審分科会委員発言(「労働者以外についても、労働者に義務付けられているものと同等の保護措置を行うべき」)と全く同様の方向性を指し示している。

2021総選挙政党アンケート―フリーランスの保護に関するアンケート調査結果―(PDFファイル)

建設アスベスト最高裁判決と前回労働条件分科会

なお、前回(2021年10月11日開催)厚生労働省「労働政策審議会労働条件分科会」と建設アスベスト最高裁判決についてはnote記事「フリーランス労働安全衛生法適用と建設アスベスト最高裁判決」に記載。

フリーランス労働安全衛生法適用と建設アスベスト最高裁判決|佐伯博正

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*ここまで読んでいただき感謝(佐伯博正)