テレワーク 新たなKPI(重要業績評価指標)策定
労働政策審議会労働条件分科会(第162回)
厚生労働省の労働政策審議会・労働条件分科会(第162回)が、2020年7月30日(木)13:00~15:00、労働委員会会館講堂(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館7階)で開催される予定。
議題は、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等について(報告事項)、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について、労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて。
「経済財政運営と改革の基本方針2020」とテレワーク
「経済財政運営と改革の基本方針2020」は2020年7月17日に閣議決定されたが、「働き方改革」について次のように記載されている。
働き方改革関連法の着実な施行を労働関係法令の適正な運用を図りつつ取り組むとともに、感染症への対応として広まったテレワーク等がもたらした、新たな働き方やワーク・ライフ・バランスの取組の流れを後戻りさせることなく最大限活かし、従業員のやりがいを高めるためのフェーズⅡの働き方改革に向けて取組を加速させる。
労働時間の管理方法のルール整備を通じた兼業・副業の促進など複線的な働き方や、育児や介護など一人一人の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を労働者が自由に選択できるような環境を整備し、RPAの活用を含む更なる生産性向上に向けた好循環を作り出す。あわ せて、不本意非正規雇用の解消を図る。
テレワークの定着・加速を図るため、新たなKPIを策定するとともに、中小企業への導入に向けて、専門家による無料相談対応や全国的な導入支援体制の構築など各種支援策を推進する。さらに、事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する通知内容の明確化や関係ガイドラインの見直しなど、実態を踏まえた就業ルールの整備に取り組む。
ジョブ型正社員の更なる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組む。 こうした中で、労働者が職務の範囲内で裁量的・自律的に業務を遂行でき、企業側に おいても、こうした働き方に即した、成果型の弾力的な労働時間管理や処遇ができるよ う、裁量労働制について、実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行う。
フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、政府として一体的に、保護 ルールの整備を行う。
「経済財政運営と改革の基本方針2020」の項目「働き方改革」の中で「テレワークの定着・加速を図るため、新たなKPIを策定するとともに、中小企業への導入に向けて、専門家による無料相談対応や全国的な導入支援体制の構築など各種支援策を推進する。さらに、事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する通知内容の明確化や関係ガイドラインの見直しなど、実態を踏まえた就業ルールの整備に取り組む」と記載されている。
1 新たなKPI(重要業績評価指標)策定
テレワークの定着・加速のため新たなKPIを策定すること。また、テレワーク導入が遅れている中小企業に対するテレワーク促進策として「専門家による無料相談」や「全国的な導入支援体制」など各種支援策を推進するとしている。この政府方針は、使用者・労働者・公益(学者など有識者)の三者代表で構成される労働政策審議会労働条件分科会で報告され、了承される見込み。
なお、KPI (Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」と訳されるが、「重要業績評価指標は、組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群である」とウィキペディアには記載されている。つまり、「KPIとは目標を達成する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標」(カオナビ)
2 事業場外みなし労働時間制度ガイドライン見直し
また、「経済財政運営と改革の基本方針2020」にはテレワーク定着・加速化のために「事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する通知内容の明確化や関係ガイドラインの見直しなど、実態を踏まえた就業ルールの整備に取り組む」とされている。
テレワークでは労働時間管理については課題が多く、労使トラブルが発生しかねない状況もある。また在宅勤務などのテレワークでは「事業場外みなし労働時間制度」を採用している企業や今後採用しようとしている企業が多くあると推測される。
この労働時間制度については不明確な点も見受けられ、また実態と乖離したような就業ルールになっている企業などもある。テレワーク促進のためには、「事業場外みなし労働時間制度」のガイドライン見直しや就業ルールの改善などが、あらためて必要とされる。
なお、厚生労働省の労働政策審議会(労政審)安全衛生分科会(第131回)が、2020年7月31日(金)10:00~12:00、三田共用会議所・講堂(東京都港区三田2-1-8)で開催される予定。議題は報告事項、じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)、副業・兼業を行う場合の健康確保措置について。
今週開催される労働政策審議会の労働条件分科会と安全衛生分科会において「副業・兼業」に関する事項が議題にされている。この議論についても注視すべきと思う。