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読書ログ#1: 娘が母を殺すには?

今年1冊目の読書ログはこちら。

「娘が母を“殺す”方法って?」衝撃のタイトルに心掴まれた1冊です。

『娘が母を殺すには?』
著者:三宅香帆(PLANETS)

「娘が母を殺す…」なんて、物騒なタイトル。思わずクリックしたこの一冊、実は多くの女性が抱える「母の呪縛」からの解放を描いた文芸評論なのでした。

以下、Amazonの書籍説明を引用します。


「母」の呪いに、小説・漫画・ドラマ・映画等のフィクションはどう向き合ってきたのか?
「母」との関係に悩むすべての「娘」たちに贈る、渾身の文芸評論!

「毒母」「呪い」「母がしんどい」「母が重い」――
社会現象となっている「母と娘の葛藤」は、フィクション作品の中でも繰り返し描かれ、その解法が探られてきた。

本書では、注目の若手批評家・三宅香帆の視点をもとに、「母と娘の物語」を描いた作品を分析し、「母娘問題」のひとつの「解」――「母殺し」の具体的方法を提示する


「母殺し」ってどういうこと?


まず安心してください。
「母殺し」は物理的な殺人を意味するものではありません(笑)。
むしろ、これは「母親から受け継いだ価値観や規範」を手放し、自分の人生を主体的に生きるプロセスのこと。本書はフィクションや文化評論を通して、その道筋をわかりやすく解説してくれます。


母との葛藤を感じるのはなぜ?


わたし自身も、「母の規範」に悩む一人です。
「母が許してくれるか?」
「母が悲しまないか?」
幼少期からそんな基準で行動してきた自分に気づきました。

さらに結婚してからも、母の意見は大きな影響力を持っています。
「世間の常識としてこれはやるべき」
「母親としてそれはどうなの?」
母の言葉には、他の誰からの指摘よりも強烈な説得力があります。だからこそ、その「母の価値観」に応えることができない自分に、罪悪感を感じることも。

でも、この本を読んで気づきました。
「母の規範」を持ちながらも、それを優先しなくてもいいんだ。
わたしはわたしの欲望を選んでもいいんだ。


「母殺し」を実現する4ステップ


本書では、「母殺し」を次のプロセスで達成すると提案しています。

1. 母の規範に気づき、それを言葉にする
2. 母の規範よりも自分の欲望を優先した成功体験を得る
3. ①と②を繰り返す
4. 母の規範を手放す



わたし自身も、子育ての中でこのプロセスを実感しました。
第一子の育児では、母の助言をそのまま取り入れていたわたしですが、第二子を育てる中で気づいたのは、「母の価値観が必ずしも正解ではない」ということ。そして、その違和感を大切にしたことで、自分なりの子育てスタイルを見つけられました。
というか、今も模索しているところかもしれません。


母以外の「他者」に目を向ける


本書の中で印象的だった一文があります。

娘たちよ、母ではない他者を求めよ。他者と出会い、欲望を抱えて生きることが『母殺し』の鍵である。


わたしの場合、起業や仕事を通じて多くの人と出会う中で、少しずつ「母の規範」を相対化できるようになりました。そして、夫とのパートナーシップもまた、母以外の価値観を取り入れる大切なプロセスになったと思います。


読後の感想:親からの解放は、子どもの未来にも繋がる


母親としても娘としても生きるわたしにとって、「母殺し」の過程は簡単なものではありません。
正直、少し寂しくもなる内容…

でも、本書を読んで気づいたのは、「母の価値観を手放すこと」は、自分の自由だけでなく、子どもの自由も守ることにつながるということでした。

わたし自身、子育ては幸せなものでもあるけど、同時に呪い・洗脳のように感じています。
親の価値観を子に踏襲させずに、子どもを1人の人間として価値観を育んでいってほしいと思っています。

この本からは、一つの解をもらえたように感じました。


「娘としての葛藤」「母としての不安」であったり、「在るべき姿」に対して悩みを感じたことがあるすべての人に、この一冊をおすすめします。

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