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noteが6周年をむかえました。
とても多くのみなさんに使っていただいていること、本当に感謝しています。ありがとうございます。
昨年の5周年のあいさつでは、1カ月の利用者数が1000万人を超えたという話を書きましたが、現在では4000万人を超えました。
6年前の今日、noteをはじめた初日に、ぼくが書いた記事がこちらです。
クリエイター側から見たnoteは、日常の活動報告、ファンとのコミュニケーション、作品づくり、そしてビジネスまで、すべてのクリエイティブ活動がワンストップで実行できる場所となります。あらゆる分野のクリエイターの、いちばん基本的な活動の場所となることを目指しています。
「あらゆる分野のクリエイターの、いちばん基本的な活動の場所」という言葉は、その時点ではあきれるくらい壮大な目標でしたが、ほんのすこし、現実に近づいてきているかもしれません(もちろん、まだまだこれから、やることはたくさんあります)。
noteを通じて、多くのひとが発信することで、自分の中のなにかに気がついたり、あるいは仲間をみつけたりしています。また、本を出したり、作品が映像化したり、有名になってテレビなどでデビューしたひともたくさん出ています。こういうことは、ぼくたちにとっていちばんうれしいことです。
また昨年は、note proという法人向けのサービスもはじまりました。キリンや文藝春秋のように、noteのクリエイターとコラボレーションした企画をしてくださる企業も増えてきました。
noteという「街」が大きくなって、多様性を内包しつつ、育ってきています。引き続き、ぼくたちはこの街をもっともっと栄えさせることに力を注いでいきたいと思います。それができる、すばらしいチームも育ってきています。期待してください。
さて、この時期ですから、新型コロナウイルスと関連した話も書きます。
いま「不要不急」という言葉が流行っています。命優先で、不要不急なものは後回しにしようという文脈で語られます。
もちろん、まったく異論はありません。
が、ぼくたちのようなプラットフォームが取り扱うものは、「文化」です。文化というのはまさに不要不急なものなんですよね。
note上に掲載されるようなコンテンツや、それ以外の、演劇とか、音楽とか、旅行とか、レストランとか、バーとか、こういうものは、言ってみれば不要不急なものばかりです。
でもそれは、社会に豊かさと厚みをもたらします。
人間は、ただ生きていればいいということではありません。
たとえば、この世にシェイクスピアがいなかったら、あるいは夏目漱石がいなかったら、私達の世界はずいぶんちがう場所になったでしょう。モーツァルトがいなかったら、ビートルズがいなかったら、世界の風景はいまとちがうものになったはず。そしてこれは、他の分野でも同様でしょう。
クリエイターの創作物を受け取ることは、多くの人の幸福につながります。
また、創作には、もうひとつの側面もあります。それは自分自身がつくる、という側面です。
ひとが作った創作物を受け取ることはとてもすばらしいことなのですが、じつは自分でつくるというのも、それに負けないくらいすばらしい体験です。
たとえばぼくは、仕事柄、何人もの作家と付き合ったことがありますが、小説を書く人のほうが読む人よりも幸福なんだろうなと、肌で実感しています。自分で物語世界を構築するのは、楽しくないはずがありません。
小説を書くのはたいへんですが、そこまでいかなくても、創作的な行為は人に幸福をもたらします。たとえば日記でも、料理でも、DIYでも、鼻歌でも、すべて創作的な行為です。
自分自身でなにかをつくると、不思議な幸福感がわき起こるのは、みなさん生活のなかで体験していると思います。
今回の件、ぼくはけっこう長期戦になることを覚悟しています。
こういうとき、人々の心はささくれがちになります。こういう事態をもたらした犯人を探したくなるし、犯人が見当たらなかったら、無理やりだれかを犯人に仕立て上げて、スッキリしたくなります。
そんなときは、ちょっと立ち止まって、創作に目を向けてみてほしいと思っています。
いま、いちばん大事なのは、健康や家族でしょう。その次はたぶん生活ですかね。しかしその次くらいに、創作について考えてもいいんじゃないかなと思います。
noteでも本でも映画でも、なんでもかまいません。ささくれた心をほぐすものに出会えると思います。
自分で創作をするのもおすすめです。日記を書いてもいいし、楽器を演奏してもいいし、料理をしたっていい。なんでもいいんです。
みんなの心がささくれだったときに、不要不急にも思えたものが、意外な力を発揮するはずです。
ぼくたちの会社のミッションは「だれもが創作をはじめ、それを続けられるようにする」という言葉です。
こんなときに、会社としてなにをしたらいいのかな? とよく考えます。実際、いろんな企画を実行しているのですが、やっぱり最後は「創作を応援する」ということだなと、思い至りました。つまり、これまでやってきたこととまったく変わりません。
本日から、会社名も「株式会社ピースオブケイク」から「note株式会社」になります。こんなときこそ、あらゆるひとの創作を応援するプラットフォームとしての使命を再確認して、がんばってやっていきたいと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。
2020年4月7日 自宅のデスクにて
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