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来る者は拒まない

オレは、インフルエンサーになりたかった。30歳だ。ウイルス騒動を逆手にとり、飛躍してやろうとワクワクしてた。なのに──

『こんにちは、フジミドリです』
「よろしくお願いしまっす」
『早速ですが、大丈夫ですか』
「ええまぁ。わりとタフなんで」

ウソだな。ちっと堪えた。いやかなり。いやいや。メッチャしんどいぜ。なんでこんな目に合わなくちゃいけない。やってらんねえ。

『それならよかった』
「あ。いや、でも、総括はしたいかなと」
『エライですね。忘れる方、多いから』
「ええまぁ、忘れちゃいますね」

 🌋 🌋 🌋

ウソだウソだ。忘れらんない。なんだあのヤロウ。さんざん世話になったくせに。掌返しやがって。恩を仇で返すとはこのことだぜ。まず、人としてどうかと思うよ。

『ざっくり、トラブルの経緯は呑み込めたつもりです。記事やコメント、読ませて頂きました。ご当人さまとして、あれこれ付け加えたいこと、おありとは存知ますが』

「む。いや、まぁ、済んだことなので」

言ってるそばから、思いが浮かぶぜ。やれやれ。違うだろ。済んだことなら、それでいいと思うなら、忘れられるなら、セッションなんて、誰が受けるかって話。

「ウソです。今のはなしで。ごめんなさい」

 🙏 🙏 🙏

「オレ、スッゲエ気にしてます。もう夜も寝れないです。胃がもやもやで、ハラ下すし、コメントだとか声だとか、頭ん中をチラついて、仕事はミスばっかりっす」

『わかります。お気持ち』

「マジすか。フジミドリさんでも、あるんすか。なんか超然とした感じっすけど」

『まぁ正確に言えば、私はフジミドリの後継者ですが、もちろんありますよ。というか、経験ないと、ご相談お受けできません。経験してないことは、疑似体験します』

 🐙 🐙 🐙

なるほどね。疑似体験か。バーチャルだな。ゲームのアバターに成り切るみたい。そういや、他でバトルやってた。あん時、カンケーねえってバカにしてたオレだ。

「疑似体験してませんでした。だから、自分がやるハメになった。そっかぁ。疑似体験で済んでりゃな。今さら後悔しても遅いって。切り替えるしかないっすね」

『切り替えられます❓』
「参ったなぁ。ウソつけませんね」
『ええ。よくそう言われます』
「やっぱ心理学とかですか」

『あはは~まぁ、面白い学問ですから、興味がおありなら、勉強なさればよいでしょう。とはいえ、心理学でも、人の心が完全にわかるわけではございません』

 🐰 🐰 🐰

「え。そうなんですか」
『心は、人が創ったものじゃないですから』
「確かに。やっぱ、すかね」
『私たちには、わかりませんよ』

「じゃあ、心理学なんてムダっすね❓」
『いやいや。だからこそ楽しめるのです』
「え。スビバセン。オレ、頭悪いもんで」

『科学が、全てを解明することはございません。だから、安心して探求できるのです。何もかも解明したら、そこで終わりますから。絶望しちゃいますでしょ』

あ。そういうこと。なるほど。答えは出なくていいのか。え。マジ。ちょっと待て。なんか、スゲ~気分がいいぞ。もしかしてもしかして、オレ、このままでいいのか。

 🌈 🌈 🌈

『私たちは、解明できなくてよいのです。なんで裏切ったのか。どうして冷たくするだろう。ワケがわからなくて構わない。ただ、味わえばよいのですよ。ご安心下さい』

「ううう。なんかラクになれました。ありがとうございます。そっか。人を裏切るより、信じて騙された方が、まだマシっすね」

『いや。それはちょっと違います』

あれ。そんなこと言わないか。言うよね。うんうん。信頼を裏切るより、信じて騙された方が誠実っていうか。歌の文句であったよ。う──どうしよう。この間。焦る。

『人を信じるのは、失礼に当たります』

 😲 😲 😲

は。なんですと。え。今、この人、なんつったかね。オレの聞き違いだ。いやいやいや。ハッキリと耳に響きましたとも。人を信じたら、失礼だって(゜o゜;)

『あなたを信じてる。よく言いますね。それって一体、何を信じているのか。相手の変わらぬ態度です。つまり、自分に対する忠誠でしょ。そうではありませんか❓』

「う。いや。なんと言うか」

『あなたを信じると伝えた時、イコール自分に対する態度を変えないでくれという強要になるのです。ちょっと強いかな。まぁ一歩譲って、要請ではあります』

 😱 😱 😱

「スビバセン。よくわからないんですけど。相手を信じるのって、例えば、オレと仲が良いままでいてくれって、押しつけてることになるわけですか。うーん。いや。でも」

『心変わりを、許さないのですから』
「フジミドリさんは、相手を信じない❓」
『どんな態度でも、そのままでよいのです』
「たとえ攻撃されても、ですか」

『あはは~皆さん、そうお訊きになりますねぇ。よほど、攻撃されることを怖がっていらっしゃるのかな。ところが、意識の世界には攻撃という概念がございません』

「ないんですか❓」

 👿 👿 👿

『ええ。では、この私たちが、ゲームのアバターと仮定してみましょう。さぁ、今ちょっとね。ゲーム画面からログアウトしました。ここはもう、意識の世界です』

ズーム画面が、光で溢れた。スッと変わる。柔らかな金色の世界だ。キラキラと輝いている。静かな音楽が流れてきた。フルートだろうか。妙に懐かしい感じがする。

『意識の私たちには、色も形もありません。イメージしやすいよう、金色の画面にしてみました。私たちって、心地よい波動の、エネルギー体なのです。想像して下さい』

なんだろう。不思議だな。自分の意識がフワッと大きくなる。意識が体の外へ出ていく。部屋いっぱいに広がる。そして、その外へまでも、ス~っと拡張されていく感じだ。

 🌃 🌃 🌃

『意識は一つです。切れ目がございません。境界はないのですよ。無限に広がる光のエネルギーが、ありとあらゆるものに浸透しています。私もあなたも一つなのです』

そっかぁ。オレもあいつらも一つなんだ。オレを無視することは、自分を無視することになる。何やってんだろ。バカみてえ。いや。オレもか。あいつらにハラを立てて──

「自分を責めてるのか」
『喜びと悲しみは、表裏一体です』
「なんか、呼吸みたいっすね」
『互いに必要なんです』

「互いに必要、ですか」
『コインは、表だけで存在しません』
「あ。自動的に裏ができちゃう」

『発した思いは、必ず返ってきます。あなたであったり、仲間やパートナーや子供さん、あるいはペットに。返るというより、創り出すと言った方が的確かな』

 🐱 👦 🐶

人を呪わば穴二つ、ですね」
『おや。よくご存知で』
「じっちゃんが、よく言ってます」

『道術でゼロになるのです。相手の想念が素通りして、地球は丸いですから、ぐるっと回って相手の背後へ到達します。あなたも、中心を意識なさるだけで、そうなります』

「オレも、道術、できるんすか」
『道術そのものは、標準装備されてます』
「ゼロになると、相手の想念は素通りする」
相手の背後へ到達するのです』

「ゼロになれば、いいんすね」
そのままでよいのです』
「オレは、このままでいい」
『おっしゃる通りです』


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この意識学ラボには、エロスのオマージュがございます。道にあるラブです。タイトルも韻を踏んで頂きました。さすがマスター☆


次回・5月23日・午前10時頃💗

マスターといえばダンシングベイビー。有料部分では、揺さんにイラストが降りて参りました。無料部分はこの動画を💃

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