ダイバーシティ、ジェンダーレス、ウェルビーイングを運動の視点から見てみると見えてくるもの。
進化論と幸福論について
トレーナーの迫慶太です。人類の進化と文明の発達は、二足歩行を選択したからだと言われている。あなたは、いつから今みたいに歩けたか覚えているだろうか?僕は記憶すら無い。そう、人類は誰に習うこともなく二足歩行を選択肢している。30年、40年、50年と自己流で歩き続ける結果が、カラダの痛みや変形を引き起こす。何不自由なく歩けることは本当に幸せなことだと思います。
歩く前に知っておくこと
私たちは何故、二足歩行なのだろう?諸説は沢山あるが、道具を使用したかった説がある。人類の文化形成に、道具を使用することは欠かせない。人が家を建てる、狩りをする、作業をする際には、必ず道具を使用している。猿人と人類の差は肩甲骨の可動域と言われ、四足歩行の時は肩甲骨を安定させる為に、より肩を上げる猿のようなフォームになる。また人類は手を挙げる動作が多かった為、肩甲骨の可動が大きい可動性をとったと考えられている。猿の歩き方と人の歩き方は、見た目からして違いがあるのはわかる。運動の強度は安定から不安定になれば高くなる。歩く事も同様に、四足よりも二足になれば不安定になる。幼児期に歩き始めは、肩甲骨を内旋して寄せるように歩くと言われている。これは体幹の安定感を出す為であり、そもそも運動量が少ないと加齢と共に、体感を安定ささて歩くことができなくなる。体幹をコントロールできる事が鍵となる。
体幹のコントロール
ヒトは、呼吸運動(breeding)から始まり、伸展運動(reaching)、回転運動(rolling)、屈伸運動(squat)、歩行運動(walking)の準備で運動を行う。これは成長過程である。運動をするとなると、走る、重りを持つなどの強度の高い運動をイメージするが、そもそも一番の体幹能力を高める運動であり、姿勢制御能力を高めるreachingやrollingを行う事自体を、大人になってやれていない事が、歩行の際の体幹が使えていない状態へと繋がる。クライアントのレベルに合わせて提案するトレーニングは、まず呼吸や伸展ができるかの確認作業は欠かせない。
肩こり、腰痛、姿勢不良はさようなら
クライアントの多くは、はじめ肩こりを持っている。日本人の80%は肩こりを感じた事があるというデータもある。現代社会がもたらした悪病だ。筆者のクライアントに、まず肩こりだった方が多い。いつのまにか肩こりを忘れることになる。何故か?それは前述した、肩甲骨の可動性を取り戻したからだ。そもそも二足歩行の為、道具を使う為、高いところに登る為、肩甲骨の可動性を求めた私たちだこそ、手を上げる事、登ること、引っ張ることなど様々な方向に手を動かす事を習慣とすることで、肩こりというワードすら忘れることとなる。また同様に歩く中で肩甲骨と股関節を連動させれば、整えなぎら歩くことになる。歩けることは幸せに繋が理ます。
ウェルビーイングの考え方
日本ではどのように考えられているのでしょうか。厚生労働省はウェルビーイングを次のように定義しています。「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。(引用:厚生労働省「雇用政策研究会報告書概要(案)」)WHOと日本、それぞれ表現が異なるものの、いずれもウェルビーイングの概念である「身体的、精神的、社会的に満たされた状態にあること」と説明しています。では、ウェルビーイングとは具体的にどのような幸福を指すのでしょうか。
今、なぜウェルビーイングが注目を集めているのか?
多様性を認める社会
近頃、「ダイバーシティ」という言葉を聞くようになった人もいるはずです。ダイバーシティとは、「多様性」という意味があり、人種や宗教、性別、ワークスタイルなどにとらわれない考え方をいいます。グローバル化が進む今後は、さまざまな考え方やバックグラウンドを持った人とコミュニケーションをとる機会が増えていくはずです。その際に、それぞれの能力をフルに発揮させ、コミュニケーションを円滑にとるには、多様性を認めることとウェルビーイングが必要だと考えられています。
人材確保
「みずほ総合研究所」が実施した調査では、少子高齢化が進み、今から約45年後の日本における労働力人口は、2016年のときと比べると約4割減少するという結果がでました。さらに労働力率は50%ほどまで低下すると見られており、2016年と同等の数値にするには、女性の労働力を男性並みに引き上げる必要があるといわれています。また、労働力率をアップさせるには、「病気治療と仕事の両立」「育児と仕事の両立」「働き方改革」が必要であるという結果になりました。ここでも、ウェルビーイングの考え方が求められるようになるでしょう。
SDGsの一部に組み込まれる
「SDGs(エスディージーズ)」とは、持続可能な開発目標のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継にあたるものです。2015年9月の国連サミットの採択内容に記載され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標として掲げられています。SDGsは全部で17項目あり、3つ目に「すべての人に健康と福祉を」という項目が設けられ、ウェルビーイングについて考える必要があることがわかるはずです。
働き方改革
2019年4月からおこなわれるようになった「働き方改革」では、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方ができるように改革していく必要性があることなどを唱えています。また、2020年に問題となった新型コロナウイルス感染症も1つのきっかけとなり、リモートワークが拡大していますが、それに伴って精神面の不調やストレスを抱える事例も多発。コミュニケーション不足によるこれらの弊害は、リモートワークをする社員だけでなく家族にも影響を与えます。働き方に対しても、ウェルビーイングが深く関係してくることがわかるはずです。
幸福を測る指標としてのウェルビーイングの5つの要素
毎年発表される世界幸福度調査にデータを提供しているギャラップ社(アメリカの世論調査研究所)は、ウェルビーイングとは何かについて5つの要素を提示しています。これは、国や文化を超えて共通した幸福の要素を統計的に調査したものです。早速見ていきましょう。
ビジネス的側面でのウェルビーイング
ウェルビーイングではギャラップ社の調査が有名で、幸福度をはかる調査軸に体験と評価があります。そのうち評価の項目は、世界幸福度ランキングの指標の1つにもなっているほどです。こういった調査をもとにギャラップ社が導き出した5つの要素について、ビジネス的側面とともに、詳しく見ていきましょう。
Career well-being(キャリア ウェルビーイング)
ウェルビーイングの5つの要素の中で最も重要なのが、キャリア ウェルビーイングです。キャリアというと、仕事での能力や出世などを考える人がいますが、ここでいうキャリアは、ボランティア活動や家事、育児、勉強なども含みます。仕事や私生活でのキャリア構築の幸福です。自分の1日の過ごし方に満足しているかという意味もあり、ビジネス側面から考えると、ワークライフバランスのことでしょう。私たちは週の大部分を何かをするために費やしています。もしその時間が充実していて意味があると思えるのなら、キャリア ウェルビーイングが高いと言えます。キャリアウェルビーイングが高い人は、人生で2倍以上の豊さを感じているという結果もあります。※[7]
Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)
人生で強力な人間関係や親しい友人を持つことが幸せにつながるというのが、ソーシャル ウェルビーイングです。社会的な幸福と訳せますが、いわゆる人間関係に対する幸福のことです。交友関係の量だけでなく、信頼でき愛情のつながりのある人間関係があるかどうかがチェックポイントでしょう。ビジネスの側面から見ると、上司や部下、同僚などとの関係性を指します。職場や自宅でのコミュニケーション、電話、友人との会話、電子メールなどの社交的な行動を1日1時間でもすると、幸福を感じてストレスが減ることが分かっています。(最大6時間までで、時間が多いほど効果があります。)※[8]
Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)
フィナンシャル ウェルビーイングは、経済的な幸福を指す要素です。これは、収入の多さという尺度だけではありません。人は自分のためよりも、他人のためや慈善団体への寄付にお金を使うと幸福を感じることが分かっています。経済的な幸福のこと。報酬を得る手段があるのか、報酬に納得しているのか、自分の資産管理ができているのか、などが該当します。また、物を購入するよりも、外食や休暇などの体験を買うとフィナンシャル ウェルビーイングが高まります。物は一時的に幸福を感じますが、思い出は一生楽しめると考えられているためです。※[9]
Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)
フィジカル ウェルビーイングは、身体的な幸福を指す要素です。適度な運動を行い、睡眠を十分に取れば、体の健康や幸福につながります。身体的に健康で、毎日思ったように行動できるエネルギーがあるかどうかが基準となります。ビジネスで考えれば、身体的な健康はもちろんのこと、仕事に対するモチベーションも含まれるでしょう。運動を週に2日以上する人は幸せで、ストレスが大幅に少なくなることが分かっています。また、ぐっすり眠れば前日のストレスが解消され、エネルギーが湧いてくるだけでなく、高い幸福度を得られる可能性があります。※[10]
Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)
自身が、他人やグループ、コミュニティーに影響を与えられると、幸福を感じるというのがコミュニティー ウェルビーイングです。自分の周りにあるコミュニティとの幸福についてです。居住地や家族、親戚、友達、学校、職場などがあるでしょう。いわゆる、地域社会での幸福です。ビジネス面で考えれば、会社、部署、取引先などが該当するでしょう。献血をした後に良い気分になったというのも一例で、ある組織に貢献したり参加したりすると幸福が得られます。また、このような行動を通じて自分の能力に自信が持てるようになります。※[11]
まとめ
ウェルビーイングを実現する為にも、カラダのベースを整える運動を習慣化していくことは必要なことだと考えます。(身体的幸福感)その上で、ココロの豊かさがうまれてくる為(精神的幸福感)、ココロとカラダが充実した状態へと導くことが、私たちトレーナーの仕事となります。私が関わるジムや施設では、ウェルビーイングの実現を目指したライフスタイルの提案を軸にサービスやコンテンツ提供をしています。ジェンダーレスであり、ダイバーシティである新しい時代に即した、様々な方へのご提案ができるコーチでありトレーナーであることがこれらかの時代に必要だと筆者は考えています。最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考文献
※[1] WORLD ECONOMIC FORUM「グレート・リセット(The Great Reset)」ツイン・サミット形式で2021年に始動」
※[2] 『日本経済新聞』2020年10月29日「幸せ中心社会への転換(1)『ウェルビーイング』の重要性」
※[3] WELL BEING ECONOMY ALLIANCE “The Wellbeing Economy Alliance (WEAll) is the leading collaboration of changemakers working together to transform the economic system.”
※[4] WELL BEING ECONOMY ALLIANCE “Wellbeing Economy Governments”
※[5] OECD Publications “The OECD Education 2030 project Education” Japanese「2030プロジェクトについて」
※[6] 総務省「第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト」
※[7] GALLUP BUSINESS JOURNAL JULY 22, 2010 “Your Career Well-Being and Your Identity”
※[8] GALLUP BUSINESS JOURNAL AUGUST 19, 2010 “Your Friends and Your Social Well-Being”
※[9] GALLUP BUSINESS JOURNAL SEPTEMBER 16, 2010 “Your Spending and Your Financial Well-Being”
※[10] GALLUP BUSINESS JOURNAL OCTOBER 21, 2010 “Exercise, Sleep, and Physical Well-Being”
※[11] GALLUP BUSINESS JOURNAL NOVEMBER 30, 2010 “Giving and Your Community Well-Being”
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