倣 宮脇綾子
アップリケ作家宮脇綾子氏の作風に傾倒し、磁器絵付けにその手法を取り入れたいと考えていました。上は1988年5月にお訪ねした際ポピーの咲くご自宅の庭での写真です。左から広瀬典丈・宮脇綾子氏・広瀬さちよ。持っていった私の作に好意的なご批評と模倣の許可を頂きました。「いつか作陶展案内DMに推薦文を」などと厚かましいお願いを考えていましたが、その後のご病気でかないませんでした。
左 1988年 弟6回岐阜近鉄二人展の案内DMのタイトルです。織部の手法でタタラの打ち込みで作る皿があります。その方法で作った皿の笹の絵中に骨描きで小紋を描き、宮脇綾子氏のアップリケのように「描く笹と布が持っ風合い」その二つの世界がもたらす効果を真似ました。
右 1991年福岡ニック二人展 DMタイトル。釉裏彩二十日大根図鉢・赤絵銀彩釉裏彩葱坊主図壺。画中に小紋などはありませんが、色彩処理や描く対象を横に並べたのは宮脇綾子氏のオマージュ。赤絵は上絵の一つ。細かくした赤錆(紅柄)を低火度釉に大量に混ぜて、薄く塗って焼く手法。
左 蓮根図の中に釉裏紅と染付で卍つなぎ文を描いています。
右 1997 第11回大坂梅田阪急二人展 DMタイトル。赤蕪に釉裏紅で小紋、葉に染付流水文様を使いました。釉裏紅の赤の発色が素晴らしく、窯から出たときには思わず声を上げました。
上 2001 第5回名古屋松坂屋DMタイトル。流水文様の中に亀を泳がせ、甲羅には小紋(亀甲文)。
下左 第4回豊橋丸栄DM。ロクロ成形の後、土型に打ち込んだ輪花皿。片身替わり右部は象眼で渦巻き模様 、左部は染付の吹墨に釉裏彩。蓋ものの一部を仕切って片身替わり、蓋を取った見込みには藍の象眼で丸紋。宮脇綾子氏に学んだ「世界の二重化」は「視点の切り分け」につながる長い系譜とわかりました。「象眼」は彫りを入れた溝に呉須を入れる手法です。
下右 絵の部分は釉裏彩で筍、上絵銀を加えた部分には渦巻き文の地もようを浮き出させています。筍の絵の地部分は染付吹墨で仕上げました。