博物館は必要なのです
何年も前に三重県の博物館を存続するか如何かで議論が有った。
建物が老朽化して、新しくする必要があるのに、予算が無いという話をしていたと記憶している。
自民や維新系の知事は、何しろ予算を減らしたがる。(その辺は私の私見になりますので、間違っているかも知れません。)
『博物館を閉鎖して、予算が無いから建てられないって、その予算が間違っていますから。』
三重県民である私はそう考えてしまった。
最終的には博物館を存続することになって、新しい博物館が出来たのが10年程前になる。
博物館って、ただ単に資料を展示して見せて、他人に見せて拝観料を貰う物では無い。
博物館法における「博物館」は、歴史資料や美術品や自然史資料、動植物など、資料の種類に関わらず、資料の収集・保管(育成)、展示、資料についての調査研究、教育普及活動やレクリエーションに資するために必要な事業等を行うことを目的とする機関であり、法の規定による「登録を受けたもの」と定義されています。
調べてみると、こう書いて有って、展示して有る資料を見る人が少ないから、予算を使うだけのものだというのは、大きな間違いなのです。
少し前に、三重県総合博物館に次女と行ったのだが、学芸員さんの能力を凄さ見た気がしている。
ああ、こんなに研究されていて、こんなに良く展示してくれているんだな、なんて感じていた。
いやー凄い物なのですよね、博物館って(美術館もね)。
もっとマメに行きたいけど、三重県総合博物館や美術館は、駅からある程度歩く位置にあって、ヘイリーヘイリー病の私は行くだけで肌荒れするし、入館料もバカにならないので、偶にしかいけない。
残念だが、主に私側の都合なので、仕方が無いと思っている。
若い頃も美術館や博物館は好きで行きたかった、その頃は皮膚病も無くて、使う予算もちゃんとあったのに、忙しくて行けなかった。
行ける条件が揃っている時には、時間が無くて、時間がある時には、条件が揃わないのは、人生の不条理なのか??
兎も角、三重県には博物館も美術館も有って、四日市にも博物館も有って、考えてみると恵まれた地域なのかも知れない。
1年前くらいに、次女が休みを如何するかで悩んでいた。
何処でも行く所は有るのだが、ショッピングする程の予算を持っていない、美術館も良いがその時に良い展示も無い、映画館はずっと座っていなければならない。(ずっと座るのは私がキツイ)
「何処行くのが良いんかな??」と言いながら、携帯を見ていて、気付いたらしく声を出す。
「県の博物館行こうか??」博物館に行くのは余り無かったので、珍しいなと考えて、聞いてみた。
「何かいい展示してるの??」
「若冲展してるんよ、絶対にええわ行こ行こ。」
そんな訳で、若冲展に行ってみた事が有る。
私は絵はネットで見る事が多いので、本物を見るといつも感激する質だが、若冲展は特に驚いた。
あの時代に、こんなに大胆な絵を描く人が居たんやな。
「展示が凄いね、学芸員さんの力量が感じられる。」その方面の勉強を学んでいた次女が唸っている。
そうなんや、私は展示の仕方とか解らんから、力量って言われても知らんけど。
横で説明してくれる次女の言葉を聞きながら、言葉では表せない迫力に圧倒されていた。
ヤッパリ博物館が有って良かったな、なんて再度考えていたりする。
その博物館なのだが、物価高騰やコロナ禍の影響で閉館する博物館や美術館が少なくないらしい。
誰にも注目されずひっそりと閉館が進む状況」が水面下で進行していることを、一般社団法人、路上博物館は「サイレント閉館」と呼び危惧しているという事だ。
この一般社団法人路上博物館は「博物館はもっと面白い」をビジョンに掲げる非営利法人だそうです、私は知らなかったのですが。
路上博物館が行った調査では、2023年に閉館が報道された博物館の閉館数は22件、2024年は9月時点ですでに14件を数え、急激に増えていることがわかったらしい。
これはサイレント閉館は含まれていない。
要するに、もっとたくさんの博物館が閉館の危機または、閉館に追い込まれているらしい。
博物館には、1館平均で約3万2000点の資料があるという事で、閉館という事態はその資料が公開されずに埋もれる、または廃棄の危機になっていると考えられる。
人間には生活をするだけでは無く、心を豊かにするものが必要になる。
その拠り所になるのが、図書館、博物館(美術館も水族館も動物園も)などの生活を続ける事とは離れた所に有る文化やそれを展示する施設になる。
毎日の生活で困窮しているのに、そんな物にお金を使うな、等という方も居られましょうが、だからこそ必要なのです。
だって、困窮してそれが見れなくても、人間には文化が必要だし、それを後世に残す義務がある。
文化に使う予算は最終的には、人類に残す遺産なのだと考えているのは私だけじゃ無いだろう。
路上博物館が、サイレント閉館の実態調査と公表、展示物のデジタル化と公開、それらを支える寄付の募集(クラウドファンディング)を進めるという試みをしているのは、有難いことなのかも知れない。
自分には出来ない事を、密かに応援したりしている。
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