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【小説】可愛いの独り言
私の名前は可愛いです。
小さいころから、一緒に住んでいる大きな猫が、そう言っているんだから、間違いない。
ほら聞いて、私の事を呼んでいる。
「可愛いにゃんにゃん、何処入るのおいで。」ほらね。
「可愛いちゃん、こっちおいで。」何だか今日はよく呼ばれるわ、嫌な予感。
「あっ可愛いちゃんいた、今日は身体洗うからね、おいで。」大きな猫の胸の所に体が上がった。
「いい子ねー、,お風呂行こうね。」そのままずんずん歩いていく。
『ヤダ、放して』(ニャーニャー)と言っても聞いてくれない、この大猫たまに、こんなことをするんです。
「可愛いちゃん、今日は身体洗って綺麗になろうね。」言ってたかと思うと、出口がふさがれて、出れない箱の中に。
『助けて、助けて』言ってみても、誰も助けてくれない、大きな猫はいっぱいいるのに、こっち見てもくれないんだもの。
箱の中には変な匂いの水がある、ちょっと温かいその水は丸いブクブクが有って触りたくない。
「可愛いランちゃん、綺麗にしようね、洗うよ、お尻も体もね。」大きな猫が言ってくる。
助けて、ヤダ、箱の出口をカリカリしちゃう、泣いちゃう『助けて、助けて』(ニャーニャーニャー)
いつも優しい大きな猫がアワアワにしてくる、変な匂い、折角いつも自分で舐めているのに、こんな匂いを付けられた。
泣いても誰も助けてくれないなら、噛んじゃう、引掻いちゃう。
「ランちゃん、噛んだり、引掻いたりしない、泡を洗い流さなきゃいけないんだからね。」大猫が言う。
『だって、嫌がっているのに、変なの塗ってくるからよ。』(ニャーニャー)言って、今度は温かいお水を掛けてくる。
もう一度『助けて、助けて。』外に向かって言ってみて、カリカリしちゃう。
「ランちゃん、ちゃんとシャンプー取らないと、舐めると体に悪いからね。」大きな猫が声を掛ける。
舐めると悪いものなんて、付けなきゃいいのに、何で付けたのよ、失礼しちゃうわ。
「誰か、タオル貸して、ランちゃんベチョベチョ。」
「はーい、どうぞ。」ちょっとだけ、入り口が開く。
あんよが出る、よいしょっと。
「駄目だよ、拭いてから出てこないと、そこら中ベチャベチャになっちゃう。」違う大猫が言って、あんよを箱の中に入れてくる。
『助けて、た・す・け・て。』もう一度言ってみると、タオルでしっかりと拭いている。
「やっと、綺麗になったよ、これでフケも冬毛も、あんまり出なくなるんじゃない。」大猫が言った。
失礼しちゃうわ、いつもちゃんと舐めて身繕いしているのに。
今日は災厄な日だった。
今日の星占い調べて見よ。
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