小説 台風の日
起きると頭痛がしていた、今日はハズレだな、考えながら起き上がっている。
台風が来るのか?携帯で天気予報を見ながら独り言、言ったところでないが変わる訳でも無くても声が出る。
今日もいつものルーティーンが始まる、朝は強いのでそれ自体は嫌ではない、それでも嫌になる時は在って、家人に協力をしてもらえない日がそれだ。
長い間主婦をして、家事を担ってくると、一寸した不調では家事をしない選択肢は無い、しなければ次の日の自分が大変になるだけなのだから。
昔、お祖母ちゃんの妹さんの所に下宿したことが有る、その時に60過ぎても家事をしてちゃんとご飯作っているのを見て、毎日家事をし続けるのは凄いなと思ったりした。
その経験からか、私と言う主婦は自分をおざなりにする、誰かに頼む方が面倒だからとか、結局は自分がしてしまうのだからとか考えると、一寸した不調では休んだりしない。
それが長期間続いて夫との離婚になったのだから、これからはそれは止めようが自分の中の基になっている。
「家事を手伝ってよ。」と強く言うと、もうちょっとしてからだったので、待つことにしてみると、そのまま寝ている。
『もういいわ、自分でしたほうが良い。』そう思って家事に掛かると、「やるっていうたやん。」
外では雨風が強まっている、ゴン、ガラスが風で音を鳴らしている。
あんたがしてないからじゃ、今日はゆっくりしたかったけど、誰もせんからしとるんや。
こっちの気持ちも荒れ果てている、「ええやん、もう家事はしませんって言うたら、その方がこっちは気楽にやれる。」
「そう言って家事マウント取って、私をくず扱いする世界戦なんやね。」言ってることの意味が解りません。
世界戦してるつもりは無いんですからね。
『夫と離婚しても朝5時前に起きて家事やってるのってどうなんだろう?』と考えて頼んでいても、こんな風だ。
私は同じ方向で話をしてると思うけどな、世界戦はしていない、少なくとも。
家庭は協力していくもの、お父さんはそれをせんからいかんと言っていた娘も、立場が変わるとこんなもの。
ほうっと息を吐きながら、あの子を育てた育て方を間違ったのかな、いつまでこんな時間が続くんだろと思う。
強く言うと、毎日しなくても良いとか、放っておいたらとの言葉、ちょっと待て私の為には動いてくれんの?
こりゃあかん、家族は良いときだけとちゃうんや。
中々に頭が痛い上に頭の痛い状況を抱えながら、それでも私は家事をしている。
何時の間にか風も雨も止んで、外には暗い空が広がっている。