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久しぶりに遠藤周作氏の本

遠藤周作氏の生誕100年だそうで、青春文庫から記念の本が出ているのを、本屋に行って初めて知って今読んでいる。

『自分をどう愛するか』〈生活編〉幸せの求め方と題されたその本を少しずつ齧ったりしている。

誰だって、もう思い出したくない位恥ずかしい時間が有ったり、生きているのが辛い時間ってあると思う。

それでも自分を信じて生きてみなって書いて在る、これ読んでてハッと気付いたのは、実は遠藤周作氏の小説は読んでも、エッセイは読んでいなかったって云う自分だ。

本は結構読んでたつもりでも、全然読んでなかったね、知らなかったもん、遠藤周作氏のエッセイが語り掛ける様に書いて在るって。

解りやすい文書で書いて在って、これって1982年に出た本の新装版って書いて在るけど、新しいんじゃないって感じた。

子供の頃、沈黙や海と毒薬や白い人黄色い人も読んだ、その時の語り口とは違った語りがそこに在る。

きっとインタビューに答える感じで書くようにしていたんだろう、中学生の頃読んだエッセイはほぼクジラの死滅する日だったので、これには久方ぶりに会った親戚のオジサンが酒に酔って話している感じがする。

よく居たよね、「おいそこに座れって。」と言って子供を座らせて、くどくど言葉を掛けて来るオジサン。

面倒くさくて鬱陶しいけど、何だか憎めないから話を聞いてしまう、後でイヤー面倒だったけど、1つ2つ良い事言ってたよね、ってみんなで話すんだ。

酔っぱらってるから、当然女性に対してちょっと差別的だったり、ダメ男に対しても言ったりする。

反論したいけど笑って眠っちゃったりして、結果的には誰も反論できないんだよね。

この本はそんな昭和で、面倒くさいけど愛すべく男が居たんだなって、微笑ましく読んでいる。

自分を受け入れて好きに為るって、簡単なようで実は途轍もなく難しい、だって自分の事は自分が一番解っていて、知ってるからこそ許せなくなるのだ。

だけどね、自己嫌悪が有るのは人間修行に良いらしいですよ、自己嫌悪の無い人間は思い上がり易いと考えているみたいで、その方が救われると書いて在る。

遠藤周作氏はキリスト教を長い間勉強して、基本的にそれをもとに本を書いていると聞く。

この本はそんな作者が、人間ってもっと自分を愛しても良いんじゃ無いか、人間ってもっとを欠点を好きに為って良いんじゃ無いかって、くどく優しく誇らしく語ってくれる。

ヤッパリ狐狸庵先生は良いね、今の子供たちに言ったら、コリアンって韓国の事って言われそうだけどね。

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内山祥子
文を書くのを芸にしたいと思っています。 頑張って文筆家になります。 もし良かったらサポートお願いします。 サポートしていただいたら本を買うのに使います。 ありがとうございます。