【小説】SNSの悪夢
仕事も家庭も自分の努力だけでは如何にもならないそれは解っている、如何にも成らないものの努力すればある程度までは良くなると思っていた。
その努力も自分のこれまでの業績も(それが有ればだけど)いたずらのようなTwitterですべて失くすのだ。
SNSは仕事には必要だからやっていた、自分を追い込んだ人間と付き合いたいと思ったわけじゃない、何の権利が有って自分を裁こうとするのだ。
何もしてはいないのに。
誰なんだ、俺を追い込んだ奴は、自分は見えないところに居て、人の事をあれこれ言いやがって。
不倫だって言い張った週刊誌にも文句は言う、それだけでは物足りない、奴らは何が問題かが分かっていないんだ。
俺みたいに仕事も愛する人も失って自分の行為を悔いたらいいんだ。
自分がITの仕事をしていたのを知っている人は少ない、社長が見つけてきた新人俳優って触れ込みで売り出したかったからだ。
今はそれに感謝している、社長は仕事を取る気が無いようだし、不倫を否定する記者会見もしてくれない。
会社も問題が出るんじゃないのか?
今の自分には考えることはできない、社会的な全てをなくしてしまったんだから。
この家を出てもっと小さい家で、違う仕事もしながら汚名を濯ぐようにしよう、ここに居ても何もないから。
それにしても自分が仕事をすると何が問題なんだか知らないが、まだ問題視して仕事を辞めさせるように言ってくる人間がいる。
俳優の仕事が戻らなかったら、そいつらも同じところに引き摺っていってやる。
オブザーバー気取りもいい加減にしろ、オブザーバーなんて何もしないで見ているだけなんだから。
ある女性の6月30日の日記
今日も仕事で嫌な客の相手をした、またTwitterで投稿して憂さを晴らそうと思ったら、仕事が忙しくて暇がなかった。
子供も普通に反抗期で、自分も不定愁訴に悩まされている、虐げられている者には表現するしかできない。
誰にも解らないのだから、何を書いても問題ない、悪いのは書かれる側だし、問題はそこにあるんじゃない。
世の中悪いことをしているのに、問題にならない奴が多すぎる、私はそれを言っているだけ。
子供が小さいとき、セーラームーンが、月に代わってお仕置きよって言ってたな、あれよあれ、人に代わってお仕置きよ。
良い人には何も言わないのだから、私は悪くない、悪かったとしても、誰にも解らない、名前もこの中では知られているわけじゃない。
悪いのは非難される側だ。