![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/92988936/rectangle_large_type_2_9936c4e5e3b172de39778536141e288d.png?width=1200)
【小説】恋の幻想
朝はハンバーガーにしよう、気分が落ちている時には、ガツッとしっかりしたものを食べた方が良い。
コンビニとかも有るけど、ハンバーガーって攻撃的になる食べ物に感じるからな。
駅で待ち続ける人間はちょっと攻撃的になった方が良い、人は肉系の食べ物を食べると攻撃的になるという、炭水化物も大切だから、ハンバーガーしか無いな。
自分の考えに悦に入っていて、女の子がハンバーガーが好きか如何かと考えたりしていなかった。
駅前のインターネットカフェで一晩過ごして、身体がちょっと疲れていたのかもしれない。
まあ家で寝ても煎餅布団一枚だから、あんまり変わりはないような気がするけどな。
自分の家を借りてから、外で寝る機会が無かったから、何かあった時にはここも良いなと思った、ホテルじゃ無いからその使い方に問題ありだが。
朝が早いとまだまだ店は開いていない、大手の喫茶店や大手のハンバーガーショップが、営業をしているよ位に電気を点けていて、選択肢無く店に入る。
毎日朝はコーヒーが欲しい方だから、コーヒー付きのセットを3つ頼んだ、考えて選択するのは面倒だからな。
番号で呼ばれると、食欲をそそる匂いが鼻を衝く、普段の朝はハンバーガーなんて贅沢は出来ない。
金額もそうだが、時間的にコーヒーを飲む位しか時間が無い、早起きして朝ご飯を食べるより、眠って居たいのは自分だけじゃない筈だ。
あの子は何が有って如何しようとしているんだろう、袋を下げて今すぐ食べたい欲求と闘いながら、家への道を歩く。
駅から家までは15分くらいある、駅近よりも家賃の問題を最優先したら、歩くのはやむを得ない。
少し坂に成っている道を歩くと、目覚めている人も多いのが解る、あちこちの家に灯りが点って、これから動き出そうとしている。
家々からはそれぞれの朝の匂いが漂う、この家はパンかあそこの家はご飯か、随分前から忘れていた朝の食卓を思い出す。
それでも今日はこっちにはハンバーガーが有る、持って歩く間に冷めてしまわないか心配になって、ここで食べたくなるが、3人で一緒に食べた方が良いだろう。
自分の家が見えてくると、明かりがついていて、2人とも起きているのだろうと考えた。
起きているんなら静かに入っていく必要は無い、片方の手に袋を持ち換えて、ドアを開ける。
「ただいまって、ここ自分の家か。」いつも一人の家に帰って来るのは勝手が違う。
家もいつもと違った人間が寝ているので驚いているだろう、家に感情が有ったらの話だが。
いいなと思ったら応援しよう!
![内山祥子](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/ic3fd94079689.jpg?width=600&crop=1:1,smart)