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祖母の遺骨を口に含んだ

祖母の遺骨を口に含んだ。味はしない。

親族の中で唯一カルトに染まらず、私に暴力や暴言を言わない。
唯一私の人権を認めてくれ愛してくれた大切で大好きな祖母が高校卒業の2ヶ月前に亡くなってしまった。

中学生の頃、好きな絵の学校に入る為に必死で1人勉強した。
結果合格したけれど、親の依存する宗教系学校以外認められず、日中働いて夜学ぶ定時制高校に入学した。

持病のリウマチが痛み、仕事は辛い。
15歳が社会に出るのはなかなか早い。
必死で働いて学費と医療費を払い、残りは上京資金として貯めていた。
卒業式の日に上京すると決めていた。

定時制高校は4年間学ぶ。
15歳にとっての4年は長い。
そんな中でも頑張れたのは、理解ある先生達と学校で同じように大変だけど前向きな友達と、そして祖母が居てくれたからだった。

祖母からもらった愛情は、友達とのものとは違う。
大人からみた小さくて純粋な命を愛する、そういった類の愛情で、その類の愛を私は祖母以外からもらったことは無かった。

祖母の家は遠く、なかなか会いに行けなかったが今でもよく覚えている。
いつも笑っている祖母だった。大好きだ。

その祖母が死んだ。癌だった。まだまだ生きて欲しかった。私のエゴかもしれないけれど、素直な気持ちはそうだ。

私は辛い4年間を祖母に卒業証書を見せる為に頑張っていた。おおよそそれがモチベーションだった。

だからあと、あと少しでおばあちゃんに卒業証書を見せることが出来たのに、と
本当に悔しくて、きっと見せたら笑顔で応えてくれる祖母を見たくて見たくて

火葬して遺骨は親族の依存している宗教の墓に入る。その前に分骨してもらった。ほんの少量。

それを口に含んだ。
どうか見守っていてくれないか
この地獄みたいな世界の中で唯一子供の頃の私を愛してくれた祖母が、祖母がくれた愛情に何度も救われてきた私を見守っていてほしい。

亡くなった後も愛情は残る。
本当にありがとう。
大好きな祖母へ。

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