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AWESOME Choices Issue no.019 「工学部から、関西電力で火力事業の技術系の仕事を経て社内起業家」というキャリア

井上裕子さん

現在、関西電力入社19年目で、2年前にYaala株式会社を設立し、出向して代表をしています。 学生時代は、工学部エネルギー機械工学科で小型のサボニウス型風車の研究をしていました。 Yaalaは、産後のご家族がゆとりをもって育児ができるようにライフスタイルの変化をサポートするため、専門家相談などができる宿泊サービスを提供しています。 Yaalaでの業務は、経営戦略の検討、お客さまへの説明やヒアリング、イベント企画や営業活動といった業務全般を行っています。この仕事の面白さは、仕事内容が多岐に渡り多くのことを自分で実施し決定できることと、実際にお客さまが喜んでもらえることを、直接感じることができるところです。

現在は出向という形で産後のご家族のための長期滞在サービス事業の代表をされているとのことですが、学生時代の進路選択の時のお話や、その後工学部に進まれた背景について聞かせてください

どうしても違うとなったとしても、文系変更はしやすいと聞いていたので、大学進学を考えた時に、理系の方が選択肢が広いということが一番大きな理由です。暗記などが苦手だったので、単純に物理の方が簡単に思えたこともきっかけの1つだったと思います。

元々は、心理学に興味があり精神科医を目指して医学部を志望していたのですが、職業として精神科医は大変そうだと思い進路を変更。インテリアや家などに興味があったので、建築系の学科に進もうと工学部を志望していました。

ところが、希望の建築系学科は全部落ちてしまって…。中期日程ですべり止めと思って受験して受かった機械系の工学部に進みました。

ちなみに中期日程で受験できる大学は、薬学部もありましたが、薬学部からイメージする薬剤師や製薬会社の研究といったことには興味が湧かず、環境問題に関心があったことと、なるべく将来の選択肢が広がりそうであったことから、風車などの研究をしているエネルギー機械工学科を選択しました。すべり止めでの受験ではありましたが、その大学の就職実績がよかったのも、その大学を選んだ理由の一つでしたね。

紆余曲折がありながらも、ご自身の中で進んでいきたい方向を見つけながら、工学部に進まれたのがとてもよくわかりました。

現在までに経験したお仕事を選ばれた理由について教えてください

大学3年生で就職活動時期が迫り、自分は機械系の分野に興味がないことが分かったので、大学院には行かず就職することにしました。どんな仕事をしたいか考えた時に、環境問題、特にエネルギーの効率化に関する仕事と、社会貢献度の高い仕事がしたいと思い、メーカーなどではなく、よりエネルギー上流側のインフラ系の会社を第一志望にし、早めに決まった関西電力に入社を決めました。関西電力へ入社してからYaalaのプロジェクトを検討するまで、私はずっと火力事業に関わる業務をしていました。

最初は発電所の現場に配属され、発電の当直やメンテナンス業務を担当しました。その後本店に異動してからは、各発電所の運用が円滑にいくよう関係各所との調整や発電状況のデータ分析、長期間の発電設備の運用計画の検討、また発電所の運営に関わる法的な手続きや行政との調整、社内ルールの整備なども行っていました。大学で研究していた内容とは全く異なる業務に携わりましたが、入社してから設備についての知識やスキルを勉強する際に、大学で学んだ金属材料や、燃焼工学などの基礎知識が土台となる部分は大きかったです。関西電力の技術系職種の場合、電気系や化学系などさまざまな理系分野出身がいます。そのため、仕事に必要な基礎知識は、会社の業務の中でスキルや知識を習得していきます。私は、大学で機械系を選んだ理由は研究そのものの知的欲求の対象というよりも、あくまでも就職に向けたステップとして捉えていたので、あまり興味は湧かなかった機械系の学科ではあったものの、結果としてより本質的にやりがいを感じられる就職先に行けたことには大変満足しています。

どうしても大学での専攻にこだわって仕事を選択してしまいがちですが、あくまでも「手段」と捉えて仕事を選ばれたという点が非常に参考になりました。

お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じたことや、理系以外の仕事の中で感じたメリットなどもあれば、是非教えてください

仕事上で理系が出ていると感じることは、あまりないかもしれないです。日常生活の中で、自然現象をみて根本的な仕組みが気になるところくらいでしょうか。例えば虹を見た時に、虹がきれいだなと思うのと同時に、虹の仕組みが気になって調べたり、子どもにも虹の原理を説明したりするところが、少し理系っぽいかもしれません。

また世間で流行っていることや、いいとされていることなどは、少し疑いの目をもってエビデンスを調べたりする傾向はあるかもしれないです。

私があまり仕事上で「理系が出ている」と感じることがない理由の一つに、論理的に説明することや、エビデンスを調べて提示する、データで示すといったことは、理系文系関わらず社会人として基本的なことだと認識しているためです。この部分を「理系」というのであれば、大学で学びながらこれらのスキルを身に着けることができるというのも、理系のメリットなのかもしれません。
あまり理系文系といったカテゴリーで仕事を捉えていないのですが、いわゆる専門性の高い職場カルチャーや現場の実態を体感として知っていることは、会社や仕事全体を理解する上で、役に立っているのではないかと感じます。理系文系に関わらず、色んな職種を経験することは仕事をする上で役に立つので、理系を選ばなければ経験することのできなかった職場を経験できたことはメリットと思います。また、理系から文系職場には行けますが、その逆はレアだと思うので、理系専攻の方が就職時の選択肢は広いのではないかと感じています。

社会人の基礎的な部分が結果的に理系での学びを通して鍛えられるという部分も、理系選択から得られるアドバンテージなのかもしれませんね。

「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてもらえますか?

世の中を捉える時の切り口が、物理だったり、文学だったり、哲学だったりの専門分野だと思っています。その捉え方の幅が広い方が、人生きっとおもしろい。

理系を学んだことは私にとって特別なことではなくただの結果ですが、学生の時に理系を専攻したのはよかったと思っています。社会人になってからは、理系文系関わりなく、幅広い知識が求められる時が多いので、理系的な土台があることは強みになります。理系の専門分野を社会人になって教養として一から学ぶのは、非常にエネルギーを使うと思うので、少しでも気になるのであれば、理系を選んでみるのもおススメです。

捉え方の一つとして、理系を選ぶということは、専門的知識を得ること以上に社会人としての土台を作ることができるという部分は、とても共感しました。

最後にこれからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします

今現時点で、やりたいことや、興味のある分野があるのであれば、迷わずそこに進んでいくのが一番だと思います。ただ、何がやりたいのか見つからないという時は、理系は選択肢を広げることになると思います。

理系学部で学んでいる方も、これから先の仕事を考える時に、自分の専門分野に囚われず、文系であったとしても、自分の興味のあること、やってみたいことを選択してみたらいいかと思います。

最後に

自然体で理系の道を選び、大学での学びや気づきに率直に向き合った結果、ご自身が叶えたい夢に近づくことができるキャリアを見つけられて、すべてが今につながっているというお話がとても印象的でした。次回はYaalaさんのお話も詳しく聞きたいなと思いました。

貴重なお話ありがとうございました。井上さんの更なる活躍を応援しています!

あとがき

いかがでしたか?
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