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2023年読んでよかった本

ことしもたくさん読みました!合計61冊!わーい!
来年はどんな本が読めるか楽しみです!

小説編

夏物語

とてつもない本でした。偶然図書館で手にとって、とてつもなかったのですぐ買ってしまった。2023年2月の自分は全部この本に持ってかれたと思う。特に、精子提供で生まれ父から虐待を受けた「善百合子(ぜん ゆりこ)」という登場人物が反出生主義をかかげ、主人公と対話するシーンは身につまされる。川上未映子さんと永井均さんの河出書房のwebメディアの対談記事も面白いのでこちらもどうぞ。

川上:善百合子は、出産は賭けだと言います。ただ、その賭けは誰のための何の賭けなんですか、という胸の底からの倫理的な問いかけです。子どもがいたらいいだろう、人間ってそういうもの、自分の子どもに会ってみたい、人生が楽しくなるだろう……そういった、自分の快楽が達成されるほうに賭けているのだと。そしてその賭けには、じつは親は、親自身の何をも賭けていないのだと指摘します。それは責任をとるとか、成人まで面倒みるとか、愛するとかそういうことじゃない。たとえば重篤な疾患をもって生まれ、苦痛そのものとして生きる子どもがいたとして、その痛みを親が味わうことはありません。

生まれることは悪いことか? では産むことは?【特別対談】川上未映子×永井均

黄色い家

夏物語で衝撃を受けたので、今年の川上未映子さんの新刊にも早々に手をだしてしまいました。わたしが忘れられない台詞はこれ→「いっくらでも言ってあげるよ。あんたくらい苦労した人はいないよね、すごいよね、あんたにくらべたら、わたしらみんなぬるま湯バカすぎ温室育ちでごめんなさーいってね、あははははっ」

本日は、お日柄もよく

広報や発信をなりわいとしている人にぜひ読んでほしいお仕事エンタメ小説。ここで紹介している他の本に比べると圧倒的に読みやすいので、本が苦手な方も手にとってもらえたら。主人公が結婚式のスピーチからプロのスピーチライターの仕事に進んでいくのだけど、合間合間のスピーチがとんでもなくよく出来てて、これだから広報の仕事って好きなんだよ、と思う。

歌われなかった海賊へ

『同志少女よ敵を撃て』の逢坂冬馬さんの新刊。
ナチスドイツはユダヤ人を迫害・虐殺したことで有名ですが、実は同性愛者とされる方や当時において障害を持つ方も虐殺していました。この本に出てくるナチスやヒトラーユーゲントに反抗する若者グループ「エーデルヴァイス海賊団」は実在したグループであり、戦傷者が多かったといいます。史実を踏まえつつそこに令和の今の時代から見たエッセンスを多いに足しまくって再解釈した物語、ものすごくよくできてます。泣いちゃう…。

エッセイ編

田辺聖子 十八歳の日の記録

作家である田辺聖子さん。1945年から47年の、戦中から戦後の激動期に、10代最後の時期を過ごした聖子さんの日々の記録です。これはほんとに読んでよかった本of the year. ちょうど個人的にもストーカー被害案件がひとだんらくして発信を再開した時期だったので、ログの必要性を改めて実感しました。

くもをさがす

カナダでがんの治療をした西加奈子さんのエッセイなんですが、エッセイでも癌闘病記でもない、その枠にはおさまらないような何かでした。簡単に泣くことを許されないような、でも脳みそが揺さぶられる、素敵な文章だった。お守りに近い本。
特設サイトで試し読みもできるのでよかったら。


実務書編

急成長を導くマネージャーの型

何度もnoteで紹介してる気がしますが、「小さい組織の中間管理職の仕事」の全体像を俯瞰して見渡すことができるとてもいい本。マネジャーの成長は当然ながら「やってみて、結果を見て、振り返って、改善する」を何度も繰り返すしかないけれど、「型」のあるなしで振り返りもしやすいので。ちなみに著者ご本人のエピソードや価値観が表れる文章の書きっぷりは「ん?」と思うこともあるけど、それも含めて正直ですごくいいです。

CFO思考

朝倉さんの「ファイナンス思考」以来の財務周りのよかった本です。CFO(最高財務責任者)って何する人なのかの全体増がわかる。特に、p258のリスク・資本・収益の三位一体の△の図はわかりやすく、自分のなかで不明点が合体した感があってよかった〜!来年はもっと財務本に出会いたい。


漫画編

ハコヅメ

数年前にドラマになってたのは見てたんですが、原作が小ネタのラッシュでほんとーーに面白い。何度読んでも味が出てくるスルメ漫画。警察の方には個人的にはいい思い出がないんですが「あの警察官からの行動はこういう背景からだったのかな」と想いを馳せられるようになった。

付き合ってあげてもいいかな

長年追いかけてるGL漫画なんですが、ひとりひとりがもがいて僅かながらも成長していくので、今年はずっと読み続けて良かった…と思う瞬間が多かったです。「付き合っているのにどうしようもないラインで相容れない」のが本当にかなしく愛しい…。人間ってなんでこうさあ…はい…

私がわたしを売る理由

パパ活女子漫画なんですが、ほんとにひとりひとりの生活や背景にフォーカスしていて、かつ救いもあるすごくいい作品。(すごい悲しいしつらいけど…)ディティールが「あるある」でほんとにすごいのですが、作者さんは何者なんだろう。最後の椿さんと彼氏のお母さんの対話シーンでは、「NPO」という言葉が出てきて、わー!!ありがとうございます!ってなった。お話してみたい…。

過去の選書note

2022年の選書note

2021年の選書note

今年もありがとうございました!
年末年始も本読むぞ〜!


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入谷佐知さっちん
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