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座右の銘はなんですか

履歴書を書いたり、自己紹介をしたり、さまざまな場所で『座右の銘は何ですか』と聞かれるたびに困っていた。名言やいい言葉のようなものは、出会ったときには「なるほど」と思うのだが、なかなか心にとどまらない。あとで、あの時何かいい言葉聞いたんだけどなぁ…と思っても、思い出せない。

思い出せないということは、座右の銘になるほど感銘を受けたわけでないわけだ。そのときちょっといいと思っても、心を通り過ぎて行ってしまっている。座右の銘といったら、自分の軸になる言葉と言い換えてもいいだろう。人生の指針にしていきたいということだと思う。

実は、先の先の先を考えて人生の段取りをし過ぎて、逆に問題を抱えてしまうということになっていた時期がある。あまり先読みしすぎて保険をかけても、その通りに人生が進んでいくわけがないのだ。先読みをしたせいで、今が窮屈になってしまうような生き方は、何のための我慢なんだろう…。
そのことに気が付いて、私の座右の銘は『明日できることは明日やる』になっていたことがある。それもずいぶん極端な話だが。

そんなあやふやな、その場しのぎの感じできたのだが。少し前にとあるサイト用の自己紹介文を作っていた時のこと。唐突に言葉が出てきた。それも目新しい言葉ではなくて、もう長いこと『好きな言葉』のひとつにあげてきた言葉だ。

『Pay it forward』という言葉で、日本語だと『恩送り』。誰かから善意を受けた時に、その恩をどこか別のところで善意として渡していくことで、善意の輪が広がって社会全体で幸せになっていく、というような意味の言葉だ。これまでの人生で、大小さまざまな善意に支えられ生きてきたことを思うと、この考え方は自然に誰かのために動くことができて、とても心地よい。その結果みんなが支え合える世の中になるなら、こんな素敵なことはないと思う。

ずっと好きだった言葉が今になって座右の銘として思い浮かんだのは、きっと様々な経験をして、たくさんの人と関わり合って、自分の生き方がその言葉に近づいてきたからなのかもしれない。フィットする言葉が見つかって本当に嬉しい。これからの人生をどう生きていくかの、ひとつの道筋が見えたような気がする。

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