子育てをスペックで語るんじゃねーよ
えー毎度つまらない話でございますが。
アタシが経験した「中学受検」の話をします。
「中学受験」ではなくて「中学受検」の話。
何が違うかって?
アタシもその違いがわかるまで、数年かかりました。
昭和の佐賀県に生まれ育ったアタシにとって、「中学受験」と「中学受検」の違いを理解するのは、『2001年宇宙の旅』に出てくる「モノリス」(注1)ぐらいにわかりにくい難しさがありました。
はて。
『2001年宇宙の旅』に出てくる「モノリス」とは。
ごめんねごめんねー。「わかる奴だけわかればいい」みたいな表現をしてしまって。モノリスはこの話にはほぼ関係ないのでスルーしてください。
さて。話を戻して。「受験」と「受検」の違いとは。
このnoteでは何回も繰り返し言ってますけど、アタシは佐賀県出身の昭和の人間でして。小中高校を全部公立学校に行っているし「中学受験」「中学受検」とは無縁の人間でした。
トーキョーにはじめて「上陸」して(九州の人間にとって本州に渡ることは「上陸」である)、トーキョーにはたくさんの「私立中学」というものがあり、更には「中高一貫校」というものがあり、学校は「選べる」のだ、という事を知った時の衝撃といったらもう。
マジで「モノリス」でしたよ(ごめんねわからない例えで)。
そんなのがあったのかこの大都会は!という驚きです。
どんだけチンパンジーだったんだよ、アタシは。
いや、でもチンパンジーで良かったな、と思うこともあるんですよね。
アタシ、チンパンジーだからさ。って視点になるとですね。
ニンゲンが「馬鹿」に見えることがある。
くっだらない事で張り合ったりさ。
3人いる子どもの真ん中の子の話です。
その子は、小学校で10番ぐらいの成績でした。
1番でもなく2番でもなく。10番。
中途半端に頭がイイ、とか言われる存在。
トーキョーの小学校では、学年で50番以内に入るような成績の子どもたちは、大体「中学受験・受検」をする。
そして学年でトップクラスの成績の子どもたちは、男の子だったら開成・麻布・武蔵、女の子だったら桜蔭・女子学院・雙葉という「御三家」ルートというエリートコースを目指す。
それらはすべて私立の学校なので「受験」と呼ぶことを、その時知ったんですよね。
そして、その「受験」を勝ち抜いた超エリートの子どもたちを東大へ導く鉄緑会(注2)ルートというものが存在するということを。
「受験」というのは私立学校を指すので当然のごとく「受験料」もお高いし、当然のごとく学費が目ん玉が飛び出るほど高い。一年で100まんえんかかる私立の中学校・高校に6年間通わせたら、家計が終わる。
いやぁウチでは無理無理無理無理。となる。
しかし、それとは別の公立中学校の「受検」というルートがあることを、アタシは子どもが小学生になって初めて知ったんですよね。
トーキョーでは、公立の「中高一貫校」があり、「中学受検」をすることにより、その「中高一貫校」への入学をすることができる、というルートがある。公立学校と同じ学費で、ハイレベルの公立「中高一貫校」に入れたら、お金をかけずにハイレベルの教育を受けることができるんじゃね?
という希望があったんです。ですが。
残念ながら、学校で10番だった子どもは不合格でした。
その後、その子は不合格だったその中高一貫校よりもだいぶ偏差値の高い公立高校に合格しました。
だけど、高校2年の時に不登校になり、最低の成績でギリギリで卒業しました。
それもまた、人生。
人生は、成績とは関係ないよね。
急に話が変わりますけど。「トロフィーワイフ」という言葉があります。
「トロフィーワイフ」とは(以下ググれ~コピれ~)。
それと同じような意味で「トロフィーチルドレン」と、言いたくなるような子どもたちを実際に見てきました。
親から「愛情」と称して与えられる過剰な「期待」と「負荷」を背負って、中学受験・受検という戦場に向かっていく小学生たち。
ここ12年ぐらい小学生の育成ボランティアにずっと関わってきた中で、見てきた子どもたちは、みんなお育ちがよくてイイ子たちばかりでした。
そんなお育ちがよくてイイ子たちが、模試の度にゲロを吐いたり、お腹を痛くしたり、顔が引きつったりするのを見てきたんです。
彼ら・彼女らが、ゲロ吐かずに、お腹痛くならずに、暮らせる社会になってほしい。
アタシはそれだけを願っています。
注1.モノリス
SF作品『2001年宇宙の旅』シリーズに登場する、石柱状の謎の物体。
注2.鉄緑会
鉄緑会(てつりょくかい)は、日本の学習塾・予備校。
主に中高一貫校の生徒を対象とした東京大学の受験指導を専門とする。
2007年12月3日、ベネッセコーポレーション(現ベネッセホールディングス)の傘下となった。
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