短歌:糸電話
ひょんなことから「糸電話」を題材にちょっぴり短歌を拵えたので、紛れて消えるまえに保存しておくなり。
あ、どこかで夏井いつき先生が「俳句は出した17文字がすべて」みたいなことを言っておられたが、短歌もたぶんそうで、いろんな含意を込めてこちらは詠むしそのように歌意も書くけど、実際どのように読み解いたかは読み手の自由なので、「これが正解だったんですよ」っていう話じゃないです念のため。
ログ
糸電話なれば向こうにきみがいる たしかにいると見て取れるのに
世界5分前仮説じゃないんだけれど、1人で長く活動して孤独感をこじらせると、「ネット越しとか電話越しのだれもかれもがbotなのではないか?」「世界には実はわたししか存在しないのではないか?」という妄想にとらわれることがある。あるよね?
そんなときの不安感をフックにして、糸電話の強い身体感覚をなつかしんで詠んでみました。
糸電話 向こう側にいた 想い人 いまは直接 耳に届くよ
昔やらかした恋愛関係のヤラカシをずっとネタにされる。今もテーブルの向こうでゲラゲラ笑ってる。
――的な文章がどこかにありましたが、それをイメージ。恋愛成就。
あのときに 君に糸電話の片方 渡せる自分だったらよかった
いま自分にはなにもないのだー
陰キャだから誰も自分を愛してくれないのだー
どこで差がついたのか…。
的な自省シーンをイメージしながらこしらえた。
番外:指輪
結婚をするのと指輪をするのとは 別の話といつも言うわね
そのあと流れで作ったので、主題がぜんぜんちがうんだけど載っけておく。
これは実話で、わたしが指輪してない方。人によっては「お前クソデカ不義を働く気じゃねえか」と読み解くのかなぁ、などと邪念を働かせながら拵えた。
ちゃうねん。
両親とも指輪してない家だったし、家事するとき邪魔だし…。
新規
せっかくエントリつくったのに既存のやつばっかりじゃ芸ががないから、なにか新しいのを作ろうとおもって、ちょっぴり新作もひねりだしておきます。
昔日を思いコップを耳に当て 伝う子の声 ひとり微笑む
みてーおかーさーん今日学校でつくったのー
的なシーンをイメージして拵えました。子のかわいさと微笑ましさと懐かしさの合わせ技で頬の緩みが倍率ドン みたいな。
光もて高速通信してるのに 糸と音とをなつかしむのね
いま私たちは糸電話なんか目じゃないハイテクでもっと高度なコミュニケーションをとっているのに、糸電話が妙に懐かしくて楽しいという有様が妙に滑稽だったので。
張り詰めた糸のようなる心持ち 紙コップ手にきみの声待つ
「糸電話」と言わないで糸電話の要素を盛り込めるかなというチャレンジ。兼、糸電話でお話したい立場でなく、糸電話をパッシブな道具として使えないかなというチャレンジ。
あんまり上手くいったきはしないよ。