2023/03/28(火)のゾンビ論文
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件を「zombie -firm -company」として、四件がヒットした。四件中、心理学、測量学、映画感想、植物学(菌類学)が一件ずつだった。
また、差分を見るために「zombie」の条件でもアラートを設定しており、こちらでは追加で三件がヒットしていた。
検索キーワード「zombie -firm -company」
Gamification of an n-back working memory task–is it worth the effort? An EEG and eye-tracking study
一件目。タイトルを直訳すると「Nバックワーキングメモリタスクのゲーミフィケーション – 努力の価値あり?脳波とアイトラッキングの研究」。掲載誌はBiological Psychology。執筆者はChristian Scharingerを筆頭著者として4名。
Nバックタスク、あるいはNバック課題というものがあるらしい。初めて聞いた。
Wikipediaによれば心理学実験のツールのひとつらしいが、検索結果からすると脳トレにも使えるらしい。
zombieの単語が出てくるのは、ゾンビを使った実験で脳の働きを調べるから。であればジャンルは脳科学か。掲載誌名はBiological Psychologyで生物心理学だが。
心理学と脳科学はどう違うのだろうか?調べてみると、結構間違えられがちらしい。読んでもピンとこないが、今回は掲載誌にしたがって心理学としておこう。
Amusing Research in Surveying and Spatial Science
二件目。タイトルの直訳は「測量と空間科学の面白い研究」。26th Association of Public Authority Surveyors Conference (APAS2023)で報告された。執筆者はVolker Janssen。
アブストラクトにとてもいい文章があったので引用する。
身近な例としてゾンビを使えば科学研究に対してみんなが興味を持ってくれるはずだ…という期待のこもったとてもいい文章だ。
ただ、肝心のゾンビ研究の内容はほかの論文から引用してきたものだ。しかも私が別の記事でレビュー中のものだった。
(前編を書き終えて一年以上経ったのでそろそろ後編を書かなければならない…あるいは、初めから書き直すべきかもしれない)
この論文を読んだとしても、私が新しい知見を手に入れられるわけではない。だが私の望むゾンビ論文の一端が書かれていることは間違いない。しかも丁寧に吸血鬼との比較までついている。私がゾンビ論文の収集を始めたきっかけが、『フリークス・シティ』においてゾンビと人間と吸血鬼がバランスよく生存できる環境を定量的に再現したかったからということを考慮すると、この論文は私の求めているもので間違いない。
この論文をもって、今日のアラートチェックは大当たりだったこととする。
ジャンルは、測量学?
“I am not at all afraid of being classified as a Class B director, in fact, that would be an honor”. Interview with the filmmaker Martín Basterretche
三件目。タイトルの直訳は「「私はB級監督に分類されることをまったく恐れていません。実際、それは名誉なことです」.映画監督マルティン・バステレッチェへのインタビュー」。Amerika. Mémoires, identités, territoiresに掲載されたインタビュー記事。聞き手はNéstor Ponce。
Martín Basterretcheというアルゼンチン出身の映画監督がいて、作品に『El Ultimo Zombi』(最後のゾンビ)というゾンビ映画?があるらしいのだが…。
監督の名前も『El Ultimo Zombi』という映画も聞いたことがない。2022年公開らしいので、待っていればそのうち日本でもリリースされるだろうか。待っても良いのだろうか。いやむしろ、待っているだけで良いのだろうか。『Ojuju』もこのままでは日本でリリースされないだろうし…。
ジャンルは…映画関連のインタビュー記事であるから、無理やりだが映画感想としておく。
'The Last of Us': How Likely Is a Fungal Apocalypse?
四件目。タイトルの直訳は「「The Last of Us」: 真菌による黙示録の可能性は?」。掲載誌はConsumer Health News。著者はDennis Thompson。
zombieの単語が出てくるのは次の一文。
という可能性から話を広げるドラマ『The Last of Us』を切り口に、様々な菌類が人間にもたらすリスクについて報告している。途中までしか読めないが、どうやら冬虫夏草について詳しい説明があるようだ。ちょっと読んでみたい。
ジャンルは植物学とする。ゾンビキノコに関する話は全て植物学にするつもりだ。(2023/5/22追記:ゾンビキノコに関する話は菌類学)
検索キーワード「zombie」(差分のみ紹介)
3月からはアラートのキーワードをzombieだけではなく、-firmと-companyも追加した。各単語の前のハイフンは”含まない”を意味するため、『zombieという単語を含み、かつfirmとcompanyという単語は含まない』という検索条件になっている。この節では差分を見ることを目的とするため、各論文の内容には立ち入らない。
Administrative reform and the disposal of zombie enterprises: evidence from China
一件目。タイトルの直訳は「行政改革とゾンビ企業の処分:中国からの証拠」。掲載誌はSmall Business Economics。著者はLinlin FanとTingfeng Tang、Gongyan Yangの三名。
ゾンビ企業だが英語では"zombie enterprises"だ。firm、companyに続いてこの単語も気にしないといけないのか。この論文自体はfirmとcompanyのどちらにも引っかかっている。
'They say we are all zombies': Rethinking the role of audiences in a mediatized international conflict
二件目。タイトルの直訳は「「彼らは私たち全員がゾンビだと言っている」: メディア化された国際紛争における観客の役割を再考する」。掲載誌はGlobal Media and Communication。著者はTriin VihalemmとJānis Juzefovičs。
国際学の論文らしく、会社が出てくるためcompanyが引っかかっている。もちろんねらいの論文ではないと思うが、自分のゾンビ論文に対する知見を広げうる論文ではあると思う。companyでは広範囲にひっかけすぎるため、やはり見直す必要があるかもしれない。
Predicting the Probability of Default for Banks' Expected Credit Loss Provisions
三件目。タイトルの直訳は「銀行の予想信用損失引当金のデフォルト確率の予測」。National Institute of Bank Managementに掲載された。著者はArindam Bandyopadhyay。
"zombie lending"や"zombie loan"という文字列が出てくるため、ねらってひっかけた論文である。しかしfirmの単語は出てこないし、companyも一度しか出てこない。
まとめ
「zombie -firm -company」では、四件中、心理学、測量学、映画感想、植物学(菌類学)が一件ずつだった。
差分として「zombie」では、追加で三件だった。
今回はねらいの論文も見つかったし、外国の見知らぬゾンビ映画の存在にも気づけたし、なかなかよい結果となった。ねらいではない論文も中々歯ごたえがあったので、毎日このくらいの結果が得られるととてもうれしいのだが。
ということで、今日はヒットあり。大当たりだ。
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