道迷い遭難をしないために
道迷い遭難をしないために
今年も高山・低山を問わず、中高年の方の遭難が目につきます。
その半分が道迷いや道迷いによる滑落事故です。
誰も自分が遭難するなんて思ってませんよね。
遭難は誰にとっても想定外です。
では、道迷い遭難を防ぐためにはどうすればいいか。
長野県警山岳安全対策課は3つのポイントを挙げています。
①登山に出かける前に地図を読み込んで、コース上の通過点となる分岐点や危険な場所をあらかじめ把握しておく。
②登山中は地図をこまめに開いて現在地を確認する。
③「道を間違えた」「道に迷った」と気がついたら元の道に引き返す。
この3つのポイントをクリアするためには、まず地形図を読めるようになることが必要です。
最近はスマホやGPS機器が普及し登山でも使えて便利になりました。もちろん私もその恩恵に与ってる1人です。
そのせいか地図を持たずに山に行く方も増えているようです。
しかし、スマホやGPS機器は電池が切れたら役に立たず、谷筋ではGPS電波も届きにくく正確な位置が表示されない場合もあります。
また、スマホやGPSの小さな画面では広域の情報を見ることができないので、目印になる遠くの山や目標物が把握できません。
最後は紙の地図とコンパスが自分を守ってくれる命綱になります。
写真は昨年秋に山仲間を集めて地図読み講習会をしたときの資料です。
「山と高原地図」「1/50000地形図」「1/25000地形図」の同じ場所を示したものです。
各地図を比較してみると、それぞれの地図によりそこから得られる情報が大きく異なることがわかるでしょうか。
特に顕著な点は白滝山からワサビ大滝への下り道に表れています。
1/25000地形図ではジグザグの急な下りであることがわかります。また、道がワサビ大滝を左岸から巻いていることも読み取れますが、1/50000地形図ではわかりません。
山域全体を俯瞰的に見るには1/50000地形図が有用ですし、歩行時間や周辺情報を見るには「山と高原地図」のような登山地図が役に立ちます。
いずれの地図にも利点はありますが、私が長年山に登ってきて一番いいと思ってる方法は「山と高原地図」やガイドブックの情報を1/25000地形図に書き写し、あらかじめ地図上で登山のシミュレーションしておくことです。
そうしておくことで道迷い遭難のリスクは相当低くなるはずです。