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シノイキスモス短編小説集

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2020年8月の記事一覧

短編小説|109の世界

 寝過ごしてあわててたどり着いた渋谷。待ち合わせたレストランはつぶれてなかった。それはおかしい。本当はあるはずだった。

 しばらくレストランの前で待ってみても、彼女から連絡はなかった。スクランブル交差点まで戻ってきて、信号が変わって人々が歩き出した。駅の方に渡ると、いつものようにハチ公前に待ち合わせの人がたまっていたけれど、ハチ公の両耳がピンと立っていて、どことなく雰囲気が変わっている気がした。

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