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次の暴落を預言する2つの事実

本文が長くなってしまったので結論から先に書くと、暴落リスクが増大している背景として、現状の株式市場は「借金した金で少数銘柄に集中投資してる状態」になっています。以下、なぜそうなってしまっているのかについて見ていきたいと思います。


少数の銘柄が全体を動かす世界

ウォーレン・バフェットの投資哲学のひとつに「わからないものには投資するな」という言葉があります。

Never invest in a business you cannot understand.

Warren Buffett

インデックス投資のデメリット

個別株と違ってインデックス型の投信やETFは「全世界連動型」や「市場平均」の名称で、具体的に何の銘柄を買っているのかが分かりにくく、自分がどの銘柄のリスクをどの程度取っているのかが把握しにくくなります。

例えば、日経平均はその約10%がファーストリテイリングの株に影響されます。ということは、日経平均のインデックス投資をしている人はその1割をユニクロの上下に賭けているということになります。

同じく「全世界分散投資」 であるオルカンは先進国への投資割合が約90%、米国株は60%以上を占めています。先進国は米国市場と連動しやすいことを考えると「ヘッジ付き米国株投資」※ともいえるわけです。(※アセットクラスが分散されてない点ではヘッジも弱いですが…)

米国株のインデックス指数

その米国株のインデックスには代表的なものにダウ平均株価とS&P 500がありますが、単純算術平均のダウ平均株価(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)はこれまた偏っていて、ダウ平均株価を作ったウォールストリートジャーナル自身が「時代遅れでプロの投資家からは見捨てられ、知識不足なメディアに愛されているだけの指標」と自己批判する始末…。

After 120 years, the venerable Dow Jones Industrial Average is an embarrassing anachronism, abandoned by professionals and beloved only by a media that mostly knows no better. It needs to be updated or, better, replaced.
The Dow was invented by a founder of this newspaper.

THE WALL STREET JOURNAL

そしてダウ平均株価よりも米国株式市場全体を反映している、時価総額加重平均のS&P 500ですら、トップ10銘柄が全体の37%のウェイトを占めています。(500分の10=)2%の銘柄のゆくえが指数全体を動かす力を持っているということです。

つまり、現在の世界は少数銘柄に投資が集中して時価総額が膨れ上がってる状態といえるわけです。

この現状でインデックス投資をする人は、AI 銘柄を中心としたテック株の将来性が今の(すでに高い)期待を越えてさらに上がるかに賭けているということを意識しなければなりません。

テック株が支配する時価総額世界トップ50

このように、自分が今、何のリスクを取っているのかを明確にすることがリスク管理上、非常に重要になります。

Risk comes from not knowing what you are doing.

Warren Buffett

レバレッジという借金

この点、アセット構成銘柄に加えてインデックス指数の上下に影響を与えているのがレバレッジの存在です。

変貌するS&P 500のエコシステム

現代の金融市場で、レバレッジはかつてないほど重要な役割を果たしていて、その中心に位置するのがS&P 500です。

1995年当時、S&P 500は普通のインデックス指数としての取引対象※でした(※インデックスは直接取引できないのでファンドやETFや先物で取引される)。

SPYのETFが上場されたのが1993年、バフェットがインデックス投資対ヘッジファンドの100万ドルの賭けを最初に提案したのは2006年なので、1995年はインデックス投資が芽生え始める黎明期よりも前といえるでしょう。

1995年のS&P 500及び関連デリバティブ

が、現在では以下のように変貌して市場への影響も大きくなっています。中央銀行が紙幣を刷りまくってインフレが続いているので 、時価総額自体がその分増えていることについては問題ありませんが、問題なのはレバレッジによって実体経済以上に出来高が膨れ上がっているという点です。

2023年のS&P 500及び関連デリバティブ

今や、S&P 500はレバレッジをかけた取引の中心地となり、これまで以上に多くの投資家がこの指数を利用しています。特に、S&P 500に関連する先物やオプション取引が活発化し、指数全体がレバレッジ取引の主戦場となりました。

レバレッジが市場に与える影響

レバレッジとは、自己資本に加えて借入金を使い、その総資本で投資を行う手法です。これにより、投資家はより大きなリターンを期待できますが、同時にリスクも増加します。特に、(キャリートレードを含む)低金利環境や金融商品の多様化により、レバレッジを利用する投資家が急増しました。

レバレッジの増加は市場のボラティリティを大きく変動させる要因となっています。市場が安定している時は、レバレッジによって利益を得やすくなりますが、逆に市場が急落すると、レバレッジを利用している投資家はマージンコールにかかり、損失を避けるために大量の売却を余儀なくされます。この現象が、突然の暴落を引き起こす原因につながります。

記憶に新しいのが2018年2月のVIXショックで、英語圏ではボルマゲドン(Volmageddon)と呼ばれています。膨れ上がったショートボラティリティが売りに売りを呼んでダウは史上最大の下げを記録、当時若かった自分も(今では絶対に取引しないであろう)XIVに手を出して5万5千ドルを吹き飛ばしました。

早期償還条項に該当してポシャったXIV

そして現在、レバレッジは過去最大規模に膨れ上がっています。

どれだけ借金をしてS&P 500が買われているか

これら2つのリスクを合わせて言えることは、マネーが大量に一部の銘柄に集中投下されているということ。「卵を一つのかごに盛るな」の逆を行っています。

いわば、「みんなで借金して少数の銘柄を買いまくってる状態」

背筋がゾっとするような寒さを感じるのは私だけでしょうか…。

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