休職日記(去年)
ちょうど1年前の今頃、私は仕事を休んでいた。
あれから、部署が変わり、住まいも変わり、いろいろ変化があった。今はありがたいことに日々楽しく仕事をさせてもらっているし、自分にもできることがあると思えている。
けどふとした時に、自分を終わらせたいと思ったあの日のことを思いだす。
自分のための備忘録、そして休みたいけど休めない、休職ってどんな感じか知りたい人に向けて、記録を残しておこうと思った。
※センシティブな表現もあるので、気をつけてください。
経緯
去年は2つの部署を兼部していた。2つのうち1つの部署は、詳細は言えないけど相談援助業務の最前線で、差し迫った現場も多く、自分という人間の本質を日々問われるような、そして自分の無力さを感じることが多い現場だった。
経緯とは書いたけど、何が始まりだったのかは今でもわかっていない。人の人生やこれからの生活に大きく関わる仕事だった(今もだけど)。自分がやりたい仕事をやっていると思っていたし、頑張っているつもりだった。でもいつからか、全部が空回って何も自信を持ってできることがなくなって、息継ぎができず溺れるように、静かに沈んでいった。
当時のことを思い出そうとすると、記憶に靄がかかっているような感覚がある。
でも、はっきりと覚えているのは、いつからか同僚は私が仕事ができないことに対して怒ってるのでは、と思うようになったこと(別に何か言われたわけではないです)。
夜みんなが帰って1人残った職場で、なんの涙か分からない涙が止まらなくなって泣き続けたこと。
休みの日にも関わらず、仕事のことを考えることを止めることができなくて、仕事関係のいろんな人が怒ってるんじゃないかという妄想が頭から離れなくなったこと。
関係ない小さな喧嘩を発端に一気にメンタルが落ちて、パートナーに向かって「死にたい、こんな自分と生きていきたくない」と言ったこと。崩れる時は自分でもびっくりするぐらい、あっという間だった。
翌日心療内科に行った。幸いに予約を取らなくても行ける病院があって、3時間待って診察してもらった。診察中も泣けてきて、何が不安なのかもわからなくて、心臓がずっと鉛のように重かった。初めて抗不安薬というものをもらった。
休んだ期間はだいたい1ヶ月。
最初は週明けだけ休むつもりが、あれよあれよという間に1種間、2週間、そして1ヶ月になった。
最初の1週間はひたすら寝ていた。人間ってこんなに寝ることができるんだ、というぐらい寝た。というか横になるぐらいしかできなかった。感情を動かして、体を動かすのがしんどかった。基本ずっとベッドの上にいた。
そんなことを1週間ほどやって、少し元気になってきた。なんだかひまだな…と思って、ひまという感覚は元気じゃないと実感できないんだな、と思った。ハンターハンターを読んだ。
生活リズムは崩れなかった。というか元々が朝型人間だからか、朝は普通に起きていた。だから朝起きて、普通にみんなが出勤する時間になって、でも自分は何もすることがない、そのことに最初は戸惑っていた。でも夜になると自然に眠れて、人間って生きてるだけで日々時間は流れていくんだなと知った。
休職してからも、なかなか休職している自分を認められなかった。早く職場復帰しないと、仕事をしていない自分には価値がない、そんなふうに思っていた。
そんなことを思いながらも、当時シェアハウスに住んでいたので、同居人や近所の友人たちとご飯を食べることはやめなかった。なんか分からないけど食べたいと思ったし、人に会いたいと思った。人と関わらない、ということができない自分の性格が結果的に自分を救ったと思う。
友人たちから、普段の感じで最近どう?と言われるたびに、実は仕事休んでいて…と返答することに、最初はなかなか言葉が出なかった。でも別にみんなへぇ〜という感じで普通に関わってくれて、案外驚かれないと分かってくると安心して事実を言えるようになった。
1週間経った時点の私は、早く復帰しないと、と焦っていた。でも自分が元の職場に戻りたいのか、これからどうしたいのか、そんなことを考える段階にすら、まだ至っていないことに気づかず、働くものだ、と思っていた。
そんな時、近所の友人に言われた。
人生の先輩でもあり、友人でもある人からもらったこの言葉に、なんだか肩の力が抜けた。
まだ仕事したいと思えていないことにきづいた。
まだ休もうと思った。
そこからの3週間は、朝起きてその日自分がやりたいと思ったことをした。
眼科の検査に行ったり、行きたかったカフェに行ったり、地域のイベントのボランティアをしたり、近所の学童で小学生とたわむれたりしながら、自分がこれから何をしたいのか、ひとつひとつ感じていった。
そして、職場の人といろんな話をして調整をして、今の場所にたどり着いていた。
部署を異動してから、半年が経った。今の自分は目指す姿があっても、その姿と今の自分のギャップに落ち込んだりしない。このままできることを増やし続ければ、いつか到達できると思っているから。
振り返って今思うこと
・自分の体はヘルプサインを出していた
実は6月頃から数ヶ月不眠傾向があった。今まで睡眠で悩んだことなんてなかったのに、唐突に眠れなくなった。1日ちゃんと寝れたら、次の日は朝5時ぐらいまで寝れない、そんな日がゆるゆると続いていた。最初はどうにか自分でできる方法はないか、と湯船に毎日浸かるようにしたり、ホットミルクを飲んだりしていたけど、自力でどうにかしようとするのを諦めて、心療内科に行って睡眠薬をもらうようになってから、寝れるようになった。最初は薬を飲むことに抵抗はあったけど、「眠れる」という成功体験をまずは積むことが大事だったと後から気づいた。回復したと思っていたけれど、この後休職することになった。不眠はサインの1つだったのかな、と今になって思う。
・仕事に依存していた
こうなるまで休まなかったのは、いろんな要因があるけれど、結構大きい理由の1つは私自身が仕事に依存していたからだと思う。両親が日付が変わるギリギリまで働く姿を見てきた。仕事とはそういうものだと思っていたし、身を粉にしてなんぼだと思っていた。そして、何もしないと24時間は割と長い。何かを頑張ると言うのは自分が生きている意味を感じるのに手っ取り早かった。仕事をしていたら自分に価値があるとされることに、甘えていた。
・自分に合った休み方が分かっていなかった
休職してからしばらくして、この本を買った。
この本がとってもよかった。自分にとって、休むとは睡眠を確保するとかただ「体」のことだけでなく、気を許せる人とご飯に行くこと、映画を見たり、美術館に行ったり、自然の中でぼーっとすること。回復の仕方を知れたことが大きかった。
最近のこと
最近もある出来事で強い不安に駆られることがあった。涙が出てきて、一瞬にしてあの頃に戻ったような気持ちになった。
でも、その不安な気持ちをチームの人に伝えて、客観的な評価をもらうことができた。少し仕事を続けたけど、気持ちが上がらないので仕事を切り上げて休んだ。家族に相談をすることができた。
数日経って、念の為と思ってカウンセリングを受けた。カウンセラーの先生から、一連の流れについてうまく対処できていますねと言われた。
落ち込んだ時の自分にとっての適切な処置がわかってきたことが嬉しかった。
ここまで書いてみても、本当にいつもまわりの人たちに支えられていると思う。しんどい気持ちを分け合ってもらったり、気を紛らわすために美味しいご飯を一緒に食べてもらったり、ケアしてもらっている。(みんなありがとう)
多分、結構長い間自分を自分で否定して生きてきた。それが爆発したのが去年のあの出来事だった。こんなめんどくさくて、価値のない自分と生きていくなんて無理だと思った。
休職は自分にとっての転機になった。
できない自分を認められるようになった。頼れるようになった。等身大の自分という人間を否定せずとも生きられるようになった。そして、これから目指したいところも見えるようになった。
あの時の自分に、本当に自分ってめんどくさいよね、でも案外悪くはないと思える時もあるよ、と言いたいなと思う。
きっとこれからも落ち込むことはあるのだろうけど、一度休んで復活した経験がある自分は、少ししぶとくなったのではないかなと思う。これを未来の自分へのエールとしたい。