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A BETTER TOMORROW

先日、『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』を観劇した


香港映画の『男たちの挽歌』を舞台化したもの。今回は元の映画を未履修の状態で観劇した。

実際に観劇してみて、原作未履修でも楽しむことができた。
多分ここは詳細を端折ったんだろうなと思うところはあったけれど…
喜怒哀楽以上にさまざまな感情が動いていく、各登場人物の人間模様に惹き込まれた。

(以降ネタバレ要素あり)



キット
「純真無垢」
その言葉がぴったりなほどの好青年だった。
…真実を知るまでは。

兄の真実を知ってしまったと同時に、彼は大切な父を失った。その時の怒りと哀しみがぶつかり合い、やがて兄に対する憎悪に代わる様は圧倒された。

そんな憎悪の中に、頭では兄が“家族のために”動いてくれていたこともわかっている、わかってはいるけれど…葛藤も見える。
憎悪と葛藤の中で溺れそうになって、暴走して。どんどん危険領域にも入っていく。

物語の最後にはそういった感情からようやく解放され、晴れやかな顔になっていた。未来に向かって前を向いて。


マーク
実力があって強いけれど、冒頭のシーンからして夢見がちのお調子者かと思った。「アニキ~~~」とホーを呼ぶ声はまさしく(笑)
でもマークもマークで色々な感情を抱き、葛藤しながらも生きていた。

ホーとは兄弟のような関係性だけど本当の兄弟ではない、という葛藤が時に見え隠れしたり。ただよりよい明日を夢見て、がむしゃらに。

ホーを慕う気持ちは純粋で。ホーを裏切った者に、本気で怒り憎み、敵地に単身でも乗り込んでいく。敵討ちのために足が不自由となり、落ちぶれても捨てなかった嘘偽りのない感情。

ある意味一途で、かっこいい。

ホー
最初から最後までぶれない。芯のある強い人。
大切な家族のため、
慕ってくれる大切な弟分のため。
最初から最後までその思いが、彼の根底にずっとあり続けたと思う。

大切な人のために、と進んで進んで、とにかく進む。
でも裏切りにあったことで、気がつけば、思い描いた未来とは全く違う状況になってしまって。それに絶望して。

1幕最後の「Where is my hope?」
彼からでるその言葉がもの悲しく感じた。

それでも、大切な人が幸せでいてほしい、そのためなら。その思いが最後の最後まで彼を突き動かして、大切な弟も弟分のことも救った。
もっと良いやり方もあったかもしれない。
でも、最後までぶれることのないあの姿勢がすごかった。かっこいい男だった。


キット、マーク、ホー。
この主要な3人は特にタイトルのA BETTER TOMORROWをずっと信じて追い求め続けた。
今日よりも明日はきっと良い日に。
その明日(=未来)を目指して。

まさにこのタイトルが最初から最後まで一貫して主題として存在していたんだと、カーテンコールを迎えて強く思った。

素敵な作品を見ることができた。
私も、私なりのA BETTER TOMORROW を信じて、これからも進んでいきたい。

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