見出し画像

人生を救ってくれた、アイドル

何度も何度も心に身体がついてこなくなった人生を送ってきた。

1回目は大学受験のとき。
センター試験1週間後(センターっていうと年齢がバレますね)の私大受験の電車の中、突然身体が動かなくなって呼吸ができなくなった。
こみ上げる吐き気とともに電車から飛び降りてトイレに向かった。
すべて吐き出せば良くなるかと考えたのだけれど、何も身体から出ることはなく、合わせて受験会場に行くこともできなかった。

この年の大学受験は何もできずに高校生活を終えた。


2回目は大学2年生のとき。
週のほとんどを1-5限というフルで授業を受けながら、親の扶養ギリギリまでバイトをしていた。すごく楽しかった。
しかし、医療学生の授業、課題、実習はギリギリの綱渡りだった。
平日は1時に帰宅して、6時起きで大学に通う毎日。どう考えても詰め込み過ぎだった。
それでも、自分の子どもからの夢を叶えるためには、すべてを両立しないといけない、そんな気持ちで毎日通っていた。

また、電車に乗れなくなった。
都会の大学の1限は、通勤と通学生で満員。
ホームに並ぶだけで呼吸ができない。すでに超満員の電車に今ホームにいるこれだけの人が電車に乗るの?

忘れもしない6月2日、ホームの隅で過呼吸を起こしたわたしは、命がけで家に帰った。


3回目は今からちょうど2年前、念願の看護師になって4年目の夏だった。
春過ぎから身体は壊れて始めていた。
夜勤中に突然のふわふわしためまい、耳閉感、吐き気が襲ってきた。忘れもしない、朝7時30分のことだった。
仕事を終えて何事もない顔をして家に帰った。疲れのまま仮眠をとったけれど、目が覚めてもめまいも耳もなにも治っていなかった。


耳鼻科に駆け込んで、めまい止めの注射を打ってもらいながら働き続けた。

その1か月後には頭を激痛に締め付けられる毎日を送っていた。
看護師の端くれだからわかる、これは身体の悲鳴だ。放っておいたら今までのように壊れてしまうだろう。
もうひとりの自分は「今までだってなんとかなって、ここまできているから大丈夫だ。頑張れる。」
MRIを撮ってもなにもなかった、大したことはない、そう思って働き続けていた。

季節は移って、初夏。わたしの嫌いな6月がやってくる。
仕事を終えて帰宅すると毎日涙が止まらなかった。なんで泣いているのかもわからなかった。

食べ物も喉を通らなくなった。ペットボトル1本の麦茶と、こんにゃくゼリー1パックがわたしの1日の食事になった。
体重が5キロ落ちて、仕事着がブカブカになり、周りの誰がみても異様な痩せ方をしていた。

2022年の8月、仕事に行けなくなった。適応障害と診断された。
そのまま休職、改善の見込みがみられないまま退職した。
現在も、無職のまま時が進んでいる。


わたしは、好きになるものは狭かったけれど、ハマると長く長く好きでいられた。

毎日が真っ暗で、身体が動かない、食べられない、外出もできない、生きるだけでギリギリだった頃のわたしの目の前に、人生初めての女の子のアイドル、しかも韓国のアイドルが落ちてきた。
LE SSERAFIMだ。

あのとき見たのは30秒にも満たない切り抜き動画だった。ファンが作ったであろう非公式の動画。

ここを見て、一瞬にしてファンになった。
バラエティ番組から入ったわたしは、彼女たちの曲を探して、聴いた。

彼女たちは、自分たちの人生の経験を曲にして、歌って、踊っていた。
他人の人生をまざまざと見せつけられた気持ちになった。
それと同時に心から救われたと思った。

療養のため実家に帰り、でも身体は動かずなにもできない、そんな毎日に降ってきたひとつの光だった。

멋진 결말에 닿게
내 흉짐도 나의 일부라면
겁이 난 없지 없지

FEARLESS-LE SSERAFIM

ああ、いまのわたしもわたしの一部だ。偽る必要も怖がる必要もない。
人生、休憩が必要になるときもあるのかもしれない。

初めて自分で自分のことを受け入れられた気がした。

その後も彼女たちの歌う曲はわたしの味方になってくれた。
今も、そしてこれからもそうだろう。

LE SSERAFIMが新曲で8月30日に新曲をリリースする。K-POPアイドルのカムバック。

彼女たちの新しいチャレンジにまたひとつ勇気をもらって、わたしも進んでいこうと思う。