泥中に咲く一輪の白い花(36)
生き方
近くのコーヒーショップへと入る。
桜子は介護施設で働いている事。幸太郎とは一方的な好意を貰い、行為で応える仲と話す。
亜里沙は、近くのマンションを一棟購入し、その一階にある食堂とコンビニのオーナーと話した。3階から上を女性専用マンションとして貸しているそうだ。
ご主人はその2階で、金融業を営んでいる人。
夜職の女性や、DVやハラスメントから逃げてきた女性を優先に入居させていると言う。不動産屋は通さずSNSの口コミで相談を受け、敷金や礼金は取らない。
仕事面は昼職なら自分で探すか、無ければ食堂やコンビニで雇い入れる。
夜職しか出来ないと言えば、ご主人がつてを頼り、斡旋するらしい。その筋の方がたは、夜職関係に顔が利く。
もう一つしている事があると話した。
逃げてきた時に、妊娠に気付かず中絶できなかった場合、里親への斡旋をしていると言う。
「 女衒 だね。でもね、、、お金は取らないの。実親、里親両方から、、、、一銭も貰わないの。受け取らないの。信念なの。」
主に海外との縁組中心と言う。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの団体とコンタクトしている。国内の場合もあり、児童相談所と連携もする。
ネットの時代になり、相手の顔や団体の評判などを入手できるのは有難い。信用できて実績のある団体と提携しているそうだ。
国内の手続きは、昔の”太客”、弁護士さんや司法、行政書士、数名に依頼している。その都度、チームが結成されると笑って言う亜里沙。
それぞれ連絡先を交換し、その日はまた会う事を約束し別れた。
数日後、亜里沙から一本の電話。
「桜子、あんた里親になってみない?」
「えっ?、、、里親?、、、産んだ人の代わりに赤ちゃんとか子供、育てるの?」
「まあ、平たく言えばそうね、、、親権は実親のままで養育するとか、実親が親権放棄して、養親に養子として迎えて貰うか、、、、
後ねぇ、、、特別養子縁組もあるわ。実親との縁を切るの。養親が実親になるの。実親の意思と裁判所が決めるわ。」
「え~、、、私は無理よ。親の愛情って知らないもん。どうすりゃ良いか分かんないもん、、、」
「う~ん、、、、でもね、桜子って自分より相手ファーストだったじゃない。泡姫時代、相手を手玉に取る事しないでさ、、、自分の出来る範囲で尽くしてさ、、、ちょっと暗いのが玉に 瑕。くらいだったし、、、」
「うん、、、そうだったかも、、、」
「詳しい事はさぁ、今度事務所に来てよ。それからでも良いよ、決めるの。……じゃあね。あ、そうそう、彼氏にも相談してね。夫婦でないと里親には難しくって、認めて貰えないかも知れないから。」
【夫婦?、幸太郎君と?、、、
無いわね、この話。無かった事にしよ、、、】