泥中に咲く一輪の白い花(21)
シャブ
桜子が家を出て、竜崎の家に居着いて数カ月。世の中はクリスマスや正月を過ぎ、もうすぐ春と言う頃。竜崎の分も、時々夕食を準備するが、いつも遅く帰り、ビールのあてにおかずを食べるくらい。それでも、桜子は報われた気持ちになる。
「おい、桜子。お前、これからどうする。働くか、、、それともここにいるか。」竜崎が話し始める。
「分かりません、、、働こうにも何も出来ないし、、、頭悪いし、、、」桜子、どうすれば良いか分からない。
「俺の店で働くか?キャバレーだ。」
「あ、ハイ。……働きます。」
「じゃここを出て、アパートへ移れ。店の子の寮だ。4月から行け。」
「……はい、、、分かりました。」
と、桜子は返事をしてみたものの、本当は出たくなかった。
出来ればこのまま居て、いつかは竜崎に抱かれてみたいと思っていた。
連れて帰る女性たちの声は、普通じゃない。いつかは私もあんな声を出しながら、してみたい。と考えていた。
【竜崎さんに抱いて貰おう。そう、、、、今夜にでも、、、、】
竜崎は、自室に居る。
桜子は自分の部屋を出て、竜崎の部屋に向かう。ドアをノックする。「何だ?」反応が有ったので、思い切ってドアを空ける。
「何か用事か?、、、」竜崎は机に向かい、ノートパソコンで何やらしていた。
「あ、あの~、、、、、私も、、あの、、、あの人たちみたいに、、、、あの、、、してください、、、私にも、、、」部屋に入り、ドアを閉め、その場に立ち下を向いたまま、桜子は頼んだ。
「あ~?、、、、やって欲しいのか、、、、、、フ~、、、ちょっと待ってろ。」竜崎の顔が少し笑っている。
竜崎は立ち上がり、ベッド横にあるチェストの座面を持ち上げると、中から取っ手付きの箱を出した。
その箱の中から、白いものが入った小袋と、飴やチョコが入っていた様な小さな金属の箱から、茶色く変色した棒の様なものを出し、袋を破ると粉の様なものを棒の様なものへと移している。
「なんですか?それ、、、」
「薬だ。」
「何の、、薬ですか?」
「楽しむ為の薬だ。」竜崎はその棒をライターであぶり始めた。女の人を連れ帰って来た時、必ず嗅ぐ匂いと同じ物だと桜子は思った。竜崎はそれを鼻へと持って行く。ス~っと深く吸い込む。2,3度繰り返すと、
「お前もやってみるか?」差し出されたままの形で顔をその棒へと持って行き、同じように吸い込んだ。
”ガツンっ”と衝撃が走った様な気がした。しかしだんだんと頭が冴えてくるような気もしてきた、、、心臓の鼓動が激しくなってくる、、、息が荒くなる、、、
竜崎がその棒を金属の箱へと戻すと、桜子の後ろ頭に手をやり、自分の顔へと引き寄せる。
桜子は半開きの口のまま、竜崎の口へと持って行く。
竜崎は桜子の頭を両手で抱え、そのままベッドへと倒した。
桜子が叫んでいる。喘いでいる。むしゃぶりついている。何度も、、、何時間も、、、。
いつの間にか、天井の端から見ている桜子。黙ったまま、下を見ている。
【こんな事、初めて、、、パパの時って、優しくゆっくりとだった、、、、何?これって、、、、、】
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