踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望の感想。
2016年にpixivに上げた感想を、こちらにも上げてみるの第三弾。
2016年に見返してから8年。
2024年にまた見返してみて、こういう15年を過ごしてきたんだなぁと何だかしみじみしてしまいました。
15年前、湾岸署にやってきた緑のコートの新人刑事。
彼にとってすみれさんは、「気が強くて意地っ張りで食いしん坊な女の子」って感じだっただろうなぁ。
すみれさんにとっては、「むちゃくちゃやるけど間違ってはない、手のかかる後輩」って感じで、お互い特に意識はしてなさそうだなって思いました。
青島くんは、すみれさんがまた野口に襲われたとき、「自分が彼女を守る、逮捕してやる」っていうよりも、これから先も彼女が刑事の仕事を続けていけるように彼女自身に逮捕させる、という「刑事であるすみれさん」を尊重したり、犯人をわざと逃がしたんじゃないかと疑いがかかったことですみれさんが警察に絶望したときも、「自分たちには自分たちの警察があるから」と、具体的に引き止めるような言葉ではないけど、『どうなっても自分たち仲間が傍にいるから、一人でじゃなくて一緒に歩いていこうよ』と、周りに甘えること、頼りにすることを伝えてきた。
一方ですみれさんは、つまづきそうになる青島くんの背中をぽんっとを押したり見守ったり、時には叱ったり、迷ったときの道しるべになってきた。
でも道を示してあげるだけじゃなく、彼に道を照らされた。
自分自身辛い思いをしながらもそれを誰にも打ち明けられず、突っ張って一人で頑張ってきたけれど、彼が来たことで少しずつ心にあった氷が溶けていって、仕事にやりがいを感じていくようになって…
こうして、支えて支えられて過ごしてきた15年。
ただの同僚というわけではないし、かといって恋人ってわけでもないし、言葉で表すには難しい関係。
恋愛よりも先に、強い絆で結ばれた二人。
こういう関係って、なかなかなれるものではないよね。
でも先に好きになったのは、すみれさんっぽい気がする。
傷を負ったからといって腫れ物みたいに接するんじゃなくて、あくまでも対等に、刑事としての自分を尊重してくれて、ちょうどいい距離で支えてくれて、彼の真っ直ぐさに惹かれていったのかな、なんて。
でも恋愛よりもずっと大きいもので繋がってるから、恋愛だと自覚はしてるようなしてないような…みたいな。
青島くんは、すみれさんが撃たれたあのときに初めて自覚してそうだなぁ。
でもこの関係が居心地良くてズルズル来て、結果また居なくなってから気づくっていう。
傍に居てくれることが当たり前だなんて、誰が決めた?
って言ってやりたい。笑
冒頭の唐揚げ屋さん
夢オチかな?と思ったのですが、すぐ和久くんが出てきたので、「あ、捜査だな」ってなりました。
事件かな?違うかな?って思わせるような始まり方なのは、昔から変わらないですね。
二人の「俊ちゃん」「すみれ」呼びに悶えました。
「人情だけじゃ食ってけないんだよ!」の江戸っ子みたいな言い方めっちゃ好き。
これDVDのコメンタリーで知ったけど、このシーンは山田洋次監督作品のオマージュらしいね。確かに言われてみれば、それっぽい。
張り込みのため、二週間六畳間で寝泊りしていた三人。
和久君もいるとはいえ、二週間も同じ屋根の下で…これは妄想のしがいが(やめろ)
この間、すみれさんはどんな思いで青島くんと捜査してたんだろうと思うとすごく切なくなる。ちょっとは、気持ちが揺らぐこともあったかもしれないよね。
青島くんとこのままずっと一緒に仕事がしたい。
本当は、辛いことを全部吐き出したいって。
ああ辛い…
唐揚げ屋からOPへの流れが良すぎる
最初CXが流れたので、OD3のOPっぽくなるのかなって思ったんですが、RAPに変わって安心。
かーなーり、鳥肌立ちました。
15年分の映像が詰まっていて、ファンにはたまらないOP。DVD出たらスローで一つずつ確認しようって誓いました。
映画館にこの曲が響き渡るのがこれで最後だと思うと、ほんと寂しかったなぁ。未だにDVD見返しても、映画館で見たときに感じたこととか思い出す。
「一度でいいからミニスカポリスを!」
ここのやり取り好き。数字苦手な青島くんって…もうまんまのイメージすぎてかわいい。笑
「一度でいいからミニスカポリスを!」
「すみれさんは暴力犯係の応援」
「ええっ」
「合ってると思う」
ミニスカポリスに憧れるすみれさん可愛すぎでしょ。私も見たかったよ、すみれさんのミニスカポリス。連ドラの頃ちょくちょく着てたけど!あれも可愛かったけど!今着たら絶対その倍可愛いから早く!
ビールを隠す強行犯係
お茶を頼まなきゃいけないのに、間違ってビールを頼んでしまった王さん。税金でお酒を買ったなんてバレたらクビになってしまうと考えた青島くんは、強行犯係のメンバーと一緒に隠そうとします。この必死に隠そうとする感じが面白かった。チームワークばっちりじゃん。笑
真下くんに「それ何?」って言われたとき、和久くんがパサッと何か(のぼり?)を落とすのがいい。
一線引いてるすみれさん
捜査のことを何も教えてもらえない、署長なんてこんなもんか、交渉課にいたときのほうがやりがいがあった、とこぼす真下くん。
そんな真下くんが、廊下にある大きい荷物を見て「あれ何?」とまた言います。ビールがついに見つかりそうに…!
そこで青島くんが「頑張れ署長!」と突然立ち上がり、手拍子をしながら真下くんを応援します。
「頑張れ頑張れ署長!」
それに課のみんながノッて応援。このノリは湾岸署ならではですね。みんなからの激励を受けた真下くんは、素直に喜んで去っていきます。
さすが青島くん、真下くんの扱いをわかってる。笑
単純だよねぇ。そこがいいところなんだけど。
このとき、ビールを隠そうとする強行犯係だけでなく、事情を知らないほかのメンバーも一緒になって立ち上がって応援しますが、すみれさん一人だけが座ったままなんよね。
今までなら、楽しく一緒にノッてただろうになぁ。
LAST TV見たときも思ったんだけど、あの辺りからすみれさんが湾岸署のみんなとちょっと距離置いてる感じなのが、ほんと辛かった。別れるときつらくないように、いつ消えてもいいように準備してるみたいで…
和久くんグッジョブ
実はすみれさんが刑事を辞めようとしていることを知っていた和久くん。
内緒にしてほしいと頼まれていたから黙っていたけど、青島くんに問い詰められます。
これ、何で青島くんは和久くんなら何か知ってるって思ったんだろ?
すみれさんと和久くんって飲みに行ったみたいだし(そこで酔っぱらって肩の後遺症のこと話しちゃったって言ってた)、二人が飲みに行ってたことを知ってたからなのかな?
和久くんは青島くんに詰められてついに吐き、青島くんに説教します。
「僕は怒ってます!こんな大事なこと、青島さんが聞くべきだ!いつも傍にいたんだから…」
そ れ な!!激しく共感したよね!!!
青島くんは事件と自分のことでいっぱいで、すみれさんに対しても甘えてたんだろうな。
ずっと一緒に好きな仕事ができる。
ずっと一緒に並んで歩ける。
辛いことがあっても、自分にだけは相談してもらえるって。
バカだね。すみれさんが自分の弱さを吐くような人じゃないってわかってんでしょ。何年一緒にいるの!気づけないけど言ってほしいなんて甘えだよ!
…あくまで、私の意見ですが。笑
和久ノートの「大切なものから目を離していると、真実にはたどり着けない」っていう言葉は、ほんと青島くんには最後まで聞いてほしかった。笑
椅子シャーからの屋上シーン
和久くんからすみれさんの体のことを聞いた青島くんは、すみれさんを屋上へ誘います。
はい来ました椅子シャー!!
前作はなかったからテンション上がりました。席が離れてもやるんですねあれ好きなんですどうもありがとう。
「弱音吐きゃいいだろ!」
「言えるか、バカ亭主に!」
いつもの軽いやり取りだけど、言ってることは本音。
もしかして二人が恋人だったら、すみれさんは相談してたんじゃないかなぁって思うのよね。
怪我の後遺症があることも、そのせいで仕事を続けるのが辛いことも。
まぁでも相談されてたとしても、あの「辞めないよね?」が「辞めないでくれ」になってたかというと、たぶんならないかなぁとも思ったり。
散々悩んで決めたのに、自分が引き止めたらまた悩ませるし苦しませることになるからって青島くんなら考えそう。
誰にも相談しなかったのは、弱い自分を見せるのが嫌だからってのもあるだろうけど、怪我をして刑事としての仕事ができない自分には、もうここには居場所はないと思ったのかなぁ。
刑事じゃなかったら、自分は受け入れてもらえないと。
確かに仕事面では難しいかもしれないけど、刑事だからとか刑事じゃないからとか抜きで、すみれさんっていう人そのものがみんな好きなのに。。
切ない後姿
荷物をまとめ、雨の中湾岸署を去っていくすみれさん。
傘も差さないし、振り向きもしない。
後姿がせつな過ぎました…
鳥飼という男
前作からの新しい登場人物。
彼は6年前のとある事件で、犯人から大きな傷を負わされ、警察という組織に絶望します。そして、犯人を…というか犯罪者を憎み、報復という道を選ぶ。
犯人から大きな傷を受けた、という点では青島くんとすみれさん、真下くんもそうです。真下くんは連ドラで撃たれ、青島くんはMOVIE1で腰を刺され、すみれさんはMOVIE2で撃たれますね。その傷のせいで青島くんは、終盤で走ってるときに痛み出して転んだり、すみれさんは刑事を辞めようとします。真下くんは今まで痛そうにしている描写はなかったですが、実はありそうだよね。みんな身体的にも精神的にも傷を負い、ずっと苦しんでいるわけです。
ただ、彼と三人との違いは、犯人に傷を負わされても、警察という組織に絶望しても、一緒に乗り越えようとする仲間がいる、自分たちには自分たちの「警察」があると考えて仕事をしているというとこかなぁ、なんて考えました。
だから青島くんもすみれさんも、一歩間違えれば、もしかしたら鳥飼のような道を選んでいたかもしれない。
彼の傍にも、そういう人たちがいたらな。どんどん歪んだ正義へと向かっていくのを、気づいて止めてあげられるような…
もっと早くに室井さんや青島くんたちに出会っていたら、何か違っていたのかも。たらればの話してもしょうがないんだけど。どういう人と出会って、どんな話をして、どんな関係を築いていくのかって、本当に大事なんだなって思いました。それによって、自分の人生が大きく変わることもあるんだなって。
バスドーンからの告白
いろいろすっ飛ばして、クライマックス。笑
倉庫で、手錠も何も持っていない青島くんは、銃を持った犯人と対峙し、ピンチに陥ります。そこへ突然突っ込んでくるバス!!ここらへんは、でかい音続きですごいビクビクしてました。
バスはものすごいスピードのまま外へ飛び出して、横転してしまいます。運転していたのは、何とすみれさん。
…初めて見たときはポカーン状態でした。
体が辛いはずなのにあんなことできる!?場所は和久君から聞いて分かるとして、正確な位置まで分かる!?轢き殺すかもしれないのに!?
てか、警察手帳持ってないのにどうやってバス借りたの!?
みたいな。
後からDVD見て、警察手帳は持ってないけど名刺とかはまだ持っててそれ見せたのかなとか、青島くんのためにって無我夢中だったからもう痛さとかなかったのかなとか、自分なりに解釈しましたが。笑
刑事としてではなく、一人の女性として駆けつけたすみれさんは、横転したバスの割れたフロントガラスからヨロヨロと出てきて、腕を押さえながら青島くんの傍まで駆けつけ、倒れそうになりますが、青島くんに支えられます。
「何でこんな無茶するんだよ!」
「青島くんのことが!…心配だったから…」
身の回りの整理をしていたのを知っていた。夏美さんに借りていたDVDを、見ていないのに返していたのも知っていた。気づくと机が綺麗になっていた。気になりながらも捜査に出ていた。そんな中で彼女が現れて、素直な気持ちを伝えられた青島くんは、すみれさんを抱き寄せて…
「すみれさん、辞めないよね…辞めないでくれ」
精一杯の素直な気持ちを伝えました。
そして彼の言葉に、腕の中でただただうなずくすみれさん…
きたー!!
これはもう、傍にいて下さいっていう意味ってことでいいね?いいよね!?(誰に聞いてる)
このときの青島くんの声のトーンとか表情とか、もうほんと悲痛さが伝わってくるんです。好きとか愛してるとかそういう直接的な表現でなくても、しっかり伝わってきました。お互い傍に居たいと思ってるんだなって。
すみれさんと、二人のその後はどうなったのか?
バスドーンからの抱擁のあとから、すみれさんは一切登場しません。初めて見たときは「え、すみれさんは?すみれさんはどうなったの?」ってずっと思いながらそわそわしてた。
警察を辞めたのか、続けているのか。
結末は、観る人に委ねるって感じでした。
とりあえず、青島くんとは恋人になってるでしょう。(断言)
すみれさんは退職して、青島くんと結婚して唐揚げ屋さんやって、たまに青島くんが手伝ってる、なんて考え方もありですよね。
エンドロールにそういう写真あったし。
考え直して、何とか内勤に回してもらって、警察を続けているという考え方もあり。昔みたいに一緒に走ったり、現場に出ることはないけど、見ている先は同じというか。形は違えど、同じ場所で歩き続けていたりして。
…すごく体辛そうにしてたし、難しいかもしれないけど。
私は後者であってほしいなぁ、なんて思いますが。
まとめ
今まで書かなかったまとめ。笑
初めて見たときは、唐揚げさんよかったしOP最高すぎたし話の内容も構成(回想シーンが入ったりとか)も面白いなと思ったんだけど、すみれさんの描き方がなかなか受け入れられませんでした。今も受け入れてないけどね!
何やその演出…15年も描き続けて、最後がそれ…?
青島くんとの結婚式で、でも実はそれは張り込みで…みたいな終わり方もあったって聞いたんだけど!そのほうが良くない!?ってなりました。
腕に傷を負い、肩にも傷を負い、そのせいで大好きな刑事の仕事を辞めようとするんだもん。
すみれさんには本当に幸せになってほしいと思うから…あの描き方は許せん。
続編をするなら、すみれさんのその後をぜひお願いしたい…!