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マイナ免許証 雑感

マイナ免許証、それに先立ち、マイナンバーシステム全般に対する個人的な雑感をいろいろまとめた。

行政システムの専門家でもなければ詳しいわけでもない、一般人によるつぶやきと捉えていただきたい。


マイナンバーシステム全般

マイナンバーシステムがらみの将来の展望は、デジタル社会推進会議を見ていると方向性が分かる。本来は、国が広報を、メディアが報道をしていくべきと思うところ、残念ながらどちらも期待できない。公共放送の体をなしていないNHKを解体し、国営放送を用意し、国の広報を国営放送が担えばいいのだと思っている。

運転免許証との統合は、第1回デジタル社会推進会議(令和3年(2021年)9月6日)の会議録にはすでに記載がある。突然湧いて出た話でも、あるいは健康保険証のどさくさで出た話でもない。突然という印象を持っている人もいるだろうところ、今更な話である。政府の監視役であるメディアが仕事をしていないだけである。あるいは、メディアは知っていながら直前まで情報を伏せておいて、直前で報道することで煽っているだけである。

以下、運転免許証絡みの部分を少し抜粋してみる。

第1回デジタル社会推進会議(2021年9月6日)

運転免許証との一体化よりも、隣に並んでいる在留カードとの一体化のが荒れそうな気がする。しかし個人的には、在留カードの一体化は生活に直接関与する話ではないので、関心度は運転免許証よりも下がる。

当面のデジタル改革における主な項目(案)
……
運転免許証・在留カードとの一体化を推進する。 <令和6年度末・7年度>

第1回デジタル社会推進会議(2021年9月6日
資料5 今後のデジタル改革の進め方について

第2回デジタル社会推進会議(2021年12月24日)

一般国民に直接関わる部分しか見ていない人も多くいるだろうところ、裏では都道府県別に分かれていたシステムを共通基盤に集約するということを行っていたりする。こういったことは、最終的には行政コストの削減に向かっていく話である。こういう機会でもないとなかなか変更できないのだろう。

② マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現
 令和6年度(2024年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する。

第2回デジタル社会推進会議(2021年12月24日)
資料1-3:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)

[No.5-4] 運転免許証とマイナンバーカードの一体化
・一部の免許手続については、住所変更等の際、市区町村の窓口で手続を行った後、警察署等に別途届け出る必要があるなど、国民に手続面で一定の負担が生じていた。
・令和3年度(2021年度)は、運転免許証とマイナンバーカードの一体化に係る具体的な手続を含む制度の在り方等について、関係機関と調整を進める。また、令和6年度(2024年度)末までに、各都道府県警察が個別に整備しているシステムを、警察共通基盤上に集約する
・これにより、住所変更手続のワンストップ化、居住地外での迅速な運転免許証更新及びオンラインによる更新時講習受講を可能とする。

KPI(進捗):
運転免許証とマイナンバーカードの一体化の実現(令和6年度(2024年度)末)
KPI(効果):
一体化した免許証の交付枚数

第2回デジタル社会推進会議(2021年12月24日)
資料1-4:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)別冊

「KPI(効果):一体化した免許証の交付枚数」とある。これを以って効果を図るということのようだ。そのために、一体化が推し進められているということのように見える。

第3回デジタル社会推進会議(2022年6月6日)

資料1-1の138ページに工程表が掲載されている。システム改修の進捗状況は確認しようがない。

第3回デジタル社会推進会議(2022年6月6日)
資料1-1:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)p.138

第4回デジタル社会推進会議(2023年6月6日)

資料1-1の3ページに工程表がある。赤字は新規の部分だと、表外にコメントがある。マイナ免許証一体化が、令和8年度の部分に工程が延びている。それ以外は変わりがない様子である。

第4回デジタル社会推進会議(2023年6月6日)
資料1-1:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)説明資料 p.3

マイナ免許証の話からは少し外れるところ、自動車登録にマイナンバーを絡めるらしい。Nシステムと連動させることで、無車検車の検出や摘発を頑張ってほしい。

マイナンバーの利用範囲の追加等を含む「マイナンバー法等の一部を改正する法律」が成立。これにより、理念として社会保障制度、税制、災害対策分野以外の行政手続においてもマイナンバーの利用の推進を図る。具体的には、国家資格等や自動車登録、在留資格に係る許可に関する事務等でマイナンバーを利用することにより、各種行政手続における添付書類の省略等を可能とする。

第4回デジタル社会推進会議(2023年6月6日)
資料1-2:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)概要資料 p.19

第5回デジタル社会推進会議(2024年6月21日)

工程表は付いていないように思う。自動運転の話が大きくなってきている。マイナ免許証の部分では、モバイル免許証の話が出てきた。

d 運転免許証とマイナンバーカードの一体化
 2024 年度末までの少しでも早い時期に運転免許証とマイナンバーカードとの一体化の運用を開始する。スマートフォンに免許情報を記録するモバイル運転免許証については、デジタル庁が整備中の各種資格者証の情報を格納できる汎用的なシステムの活用を前提に検討を進め、デジタル庁と連携して当該システムの整備状況を踏まえつつ、一体化の運用開始後、極力早期の実現を目指す。

第5回デジタル社会推進会議(2024年6月21日)
資料1-3:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案) p.47

[No.1-18] 運転免許証との一体化
・警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約するとともに、一体化に必要な改修を行い、2024年度末までの少しでも早い時期に運転免許証とマイナンバーカードとの一体化の運用を開始する。また、一体化に伴う相当の行政コストの削減効果を踏まえ、マイナンバーカードと一体化した運転免許の更新手数料の引下げなどを検討し、利用者負担の軽減を図るための措置を講ずる。スマートフォンに免許情報を記録するモバイル運転免許証については、デジタル庁が整備中の各種資格者証の情報を格納できる汎用的なシステムの活用を前提に検討を進め、デジタル庁と連携して当該システムの整備状況を踏まえつつ、一体化の運用開始後、極力早期の実現を目指す。

具体的な目標: 2025年3月中の少しでも早い時期を目処に運転免許証とマイナンバーカードの一体化を開始するとともに、一体化の実現による行政コストの削減を踏まえた利用者負担の軽減措置を実現することを目指す。

主担当省庁: 警察庁

第5回デジタル社会推進会議(2024年6月21日)
資料1-3:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案) p.47

ついにこれが来たか。ここは推し進めてほしいところのひとつである。今年の5月の事件も、「対面でもマイナンバーカード等のICチップ情報の読み取りを犯収法及び携帯電話不正利用防止法の本人確認において義務付ける」という部分が進んでいれば、防げた事件のはずである。

○[No.1-36] 犯収法等における非対面本人確認方法のJPKI一本化
・犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。対面でもマイナンバーカード等のICチップ情報の読み取りを犯収法及び携帯電話不正利用防止法の本人確認において義務付ける。また、そのために必要なICチップ読み取りアプリ等の開発を検討する。加えて、公的個人認証による本人確認を進めるなどし、本人確認書類のコピーは取らないこととする。

具体的な目標: 犯収法、携帯電話不正利用防止法における本人確認方法の見直し

主担当省庁: デジタル庁、警察庁、総務省

第5回デジタル社会推進会議(2024年6月21日)
資料1-3:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案) p.50

マイナ運転免許証の統合

カードの統合(一本化)、カードシステムの統合、マイナンバーシステムと運転免許システムの統合あるいは情報横断、こういった各要素を分けて考える必要があると思う。それぞれについて思うところを記していく。

カードの統合(一体化)

マイナ運転免許証との統合、つまりカードの一本化には疑問を感じる。カードを一本化すること自体にはそれほどメリットとは思わない。

これは、健康保険証などと比べて利用シーンが大きく異なるためである。

健康保険証は、他者に提示を強制される機会が思いつかない。医療機関に提示するときは病院にかかるときであり、どちらかといえば自主的に提示するときである。また、読み取り機に差し出すだけであって、他者に渡す必要がないという病院も多いと思う。そして、他者に渡したとして返してもらえないということも考えにくい。

他方、運転免許証はどうかといえば、他者に提示を強制されるシーンがある。

(免許証の携帯及び提示義務)
第九十五条
2 免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項又は第二項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

道路交通法95条2項

(危険防止の措置)
第六十七条 警察官は、車両等の運転者が第六十四条第一項、第六十五条第一項、第六十六条、第七十一条の四第四項から第七項まで又は第八十五条第五項から第七項(第二号を除く。)までの規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証又は第百七条の二の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。
2 前項に定めるもののほか、警察官は、車両等の運転者が車両等の運転に関しこの法律(第六十四条第一項、第六十五条第一項、第六十六条、第七十一条の四第四項から第七項まで及び第八十五条第五項から第七項(第二号を除く。)までを除く。)若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこの法律の規定に基づく処分に違反し、又は車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊(以下「交通事故」という。)を起こした場合において、当該車両等の運転者に引き続き当該車両等を運転させることができるかどうかを確認するため必要があると認めるときは、当該車両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証又は第百七条の二の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。

※ 1項は、無免許運転、酒気帯び運転、過労運転等が対象
※ 2項は、1項以外の違反、交通事故が対象

道路交通法67条1項、2項

提示は見せるだけでよく、提出の義務はないという話もあるところ、実際のところは提出することも多いだろうし、返してもらえない、人質的に扱われることもあると聞く。

他のケースには、赤切符が公布されるような場合には、運転免許証が没収され、赤切符(免許証保管証)が運転免許証の代わりになるとも聞く。こういった場合に、マイナ統合された免許証が没収されるシーンが想定されるのではないかという懸念もある。

これら、提示義務や没収のシーンが想定されるということが、健康保険証などとは異なる点である。

警察以外の場面では、勤務先に運転免許証を提示するシーンが考えられる。これは義務というわけではないものの、運転業務への従事や通勤手当の申請を考えれば提示を拒む理由はない。自賠責や任意保険の加入状況もあわせて提示を求める会社も多いと思う。

しかしこちらのシーンでは、従来ならカード表面に刻印されていた有効期限を、マイナ統合された後にどうやって確認できるのかという問題がある。

これらを考えると、マイナ免許証の統合、一本化にはやや疑問が残る。

マイナ免許証アプリ

これに対して、アプリで対応するという話がある。これはひとつの考えではある。しかし個人的には、マイナカードのサブ機能カードという形式でも対応してほしいという考えがある。

マイナカードとは別にアプリで仮想的にカードを持てることから分かるように、マイナンバーシステムはもともと、カードに相当する部分を複数持つことが可能な仕組みになっている。どの物理カード/仮想カードとどの読み取り機の組合せでどの範囲にアクセスできるか、それを変えられるのだから、運転免許に特化した情報に限定してアクセスできる物理カードにすることも、技術的には可能だと思う。

アプリは、高齢者、機種変更、バッテリー切れ、水没、これらの場面を考えると、必ずしも物理カードよりも優位な場合とは限らず、物理カードが優位な場合もしばしばあるように思う。併用できないものかと思う。

カードシステムの統合

カードを一体化しないのであれば、ICチップも搭載していることだし、そもそもマイナカードに寄せなくてもいいのではという考えもあるかもしれない。そこには否定的意見である。

カードの基幹システムが別ということは、カードの発行システムや認証システムが複数あり、それらが並行で稼働することを意味する。並行稼働中はコストをダブルで掛けることを意味する。

行政コストをどのように考えるか。一時的にはコストを掛けることがあっても、将来的には質を落とさずにコストを下げるようにしていく。それが、人口減少、少子化の流れにある社会で必要なことだと思っている。そのためには、システム統合できるところはシステム統合を目指していくのが望ましいと思う。

運転免許システム全体を他と統合するというのは無謀な話と思う。他方、運転免許証発行システムをマイナカード発行システムと統合していくのは、現実的な話と思う。そして上に記したとおり、システム統合できるところはシステム統合するのが望ましいと思う。

ただし懸念事項もある。一番は再発行に掛かる期間だと思う。新規の免許取得や免許更新は、すでに持っているマイナカードに紐付けするだけだろうから、オンライン処理だけで済む。即日処理だろう。問題は、マイナカード紛失時や盗難時の再発行である。

現状の免許証は即日発行である。車が必須の田舎では、即日発行であることは重要な要素である。これがどのようになるのかという点が懸念点である。

前項、マイナ免許証アプリなら即日再発行できそうである。それ以外の方法を考えると、以下のようなくらいだろうか。

① 前述のサブ機能マイナカードの直接発行
② マイナカードの到着までの代替の証明を発行あるいは交付
 A 免許証仮カードを発行
 B 赤切符の免許証保管証のような、カード以外の証明書を交付

①だと、サブ機能とはいえマイナカードの発行を各運転免許センターにも置くことになるので、偽造等を考えればあまりよくないかもしれない。発行システムは一元化できているほうが良いような気がする。

②であれば、即日発行も可能だと思う。期間限定の一時利用のものに対してカード型にこだわる必要はなさそうであり、②Bでもいいのではと思う。

サブカード

前項①に、サブ機能マイナカードと書いた。以下サブカードと記す。想定されるサブカードの話には2種類ある。

ひとつは、通常のマイナカードの予備となるフルセットのマイナカードである。もうひとつは、機能限定のサブカードである。

前者は、普段は持ち歩かず、自宅に保管しておく扱いを想定したものである。再発行手数料程度を事前に支払って、再発行に要する期間を短縮するといった形である。デメリットは、更新手数料も2枚分となるだろうことだが、ひとつの方法ではないかと思う。実現してくれないものかと願う。

顔写真があるから、使いまわしや拾ったカードの悪用は容易でない。また、「対面でもマイナンバーカード等のICチップ情報の読み取りを犯収法及び携帯電話不正利用防止法の本人確認において義務付ける」(第5回デジタル社会推進会議)という部分が進めば、悪用しようという気も失せると思う。

カードから顔写真データを読むことはできるようである(参考)。本人確認を行おうとしている従業員が、本人の顔を確認するときに、「券面の顔写真」「カード内の顔写真データ」「マイナンバーシステムに登録された顔写真データ」の3種を確認すれば、悪用はほぼなくなるのではと思う。

後者は、現状話題になっている範囲なら、健康保険証や運転免許証の機能に限定したサブカードを意味する。機能限定であるため、機能それぞれに保険者番号や運転免許証番号などを刻印するカードデザインとしておけば、以下のようなデメリットに耐えられるのではと思う。

健康保険証
・意識のない救急患者の保険者番号を、マイナカードのカード面で確認できない。

運転免許証
・運転業務への従事や通勤申請のために、運転免許証番号、区分(第一種等)、種類(運転可能な車種)、有効期限を、マイナカードのカード面で確認できない。

マイナ保険証では、停電等でオンライン認証ができないことがあるという問題があった。保険者番号が記載されていないので従来システムを用いるという運用カバーができなかったことが問題だったのではと感じる。それは、マイナカードのカード面で保険者番号が記載されていれば解決するように思う。

認知症の高齢者等を対象に、暗証番号の設定が不要なマイナ保険証とする話がある。これなども、マイナカードのカード面で保険者番号が記載されていれば、従来型の運用にすることができるわけであり、暗証番号不要にする必要はないのではと感じる。むしろ、暗証番号不要マイナカードをベースに写真を張り替えた偽装マイナカードが横行しないかというのが不安である。

マイナカード以外の公的カードを
① マイナカードに一体化すること
② マイナカードベースのカードシステムで扱えるようにすること
これら①②を別に考えてもいいのではないか。その方法には、マイナシステムベースのカードシステムを共通して使うという方法があるのではないか。そのように感じた。

バックエンドシステムの連動

これは表には出てこない話なので、あまり意識するところではない部分である。マイナンバーシステムと運転免許システムの統合あるいは情報横断という話である。ただし個人的には関心がある。

当方の理解では、マイナンバーの新規付与は、住民基本台帳に住民コードを記録するときというのが一番根本的なきっかけだと思う。これは生誕のタイミングになると思う。

他の市町村ですでに住民票コードが付いている人は、マイナンバー法7条「住民基本台帳法第三十条の三第二項の規定により住民票に住民票コードを記載した」の条件を満たさないので、マイナンバーの再生成は行われない。引越しなどがこれになると思う。

(指定及び通知)
第七条 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、住民基本台帳法第三十条の三第二項の規定により住民票に住民票コードを記載したときは、政令で定めるところにより、速やかに、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、その者に対し、当該個人番号を通知しなければならない

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)7条

(住民票コードの記載等)
第三十条の三 市町村長は、次項に規定する場合を除き、住民票の記載をする場合には、当該記載に係る者につき直近に住民票の記載をした市町村長が当該住民票に直近に記載した住民票コードを記載するものとする。
2 市町村長は、新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者につき住民票の記載をする場合において、その者がいずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者であるときは、その者に係る住民票に前条第一項の規定により機構から指定された住民票コードのうちから選択するいずれか一の住民票コードを記載するものとする。この場合において、市町村長は、当該記載に係る者以外の者に係る住民票に記載した住民票コードと異なる住民票コードを選択して記載するものとする。

住民基本台帳法30条の3第2項

生成の仕組みは、マイナンバー法8条にいろいろ規定されている。

(個人番号とすべき番号の生成)
第八条 市町村長は、前条第一項又は第二項の規定により個人番号を指定するときは、あらかじめ機構に対し、当該指定しようとする者に係る住民票に記載された住民票コードを通知するとともに、個人番号とすべき番号の生成を求めるものとする。
2 機構は、前項の規定により市町村長から個人番号とすべき番号の生成を求められたときは、政令で定めるところにより、次項の規定により設置される電子情報処理組織を使用して、次に掲げる要件に該当する番号を生成し、速やかに、当該市町村長に対し、通知するものとする。
一 他のいずれの個人番号(前条第二項の従前の個人番号を含む。)とも異なること。
二 前項の住民票コードを変換して得られるものであること。
三 前号の住民票コードを復元することのできる規則性を備えるものでないこと。
3 機構は、前項の規定により個人番号とすべき番号を生成し、並びに当該番号の生成及び市町村長に対する通知について管理するための電子情報処理組織を設置するものとする。

マイナンバー法8条

(定義)
第二条
14 この法律において「情報提供ネットワークシステム」とは、行政機関の長等(行政機関の長、地方公共団体の機関、独立行政法人等、地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)及び地方公共団体情報システム機構(以下「機構」という。)並びに第十九条第八号に規定する情報照会者及び情報提供者並びに同条第九号に規定する条例事務関係情報照会者及び条例事務関係情報提供者をいう。第七章を除き、以下同じ。)の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、暗号その他その内容を容易に復元することができない通信の方法を用いて行われる第十九条第八号又は第九号の規定による利用特定個人情報の提供を管理するために、第二十一条第一項の規定に基づき内閣総理大臣が設置し、及び管理するものをいう。

マイナンバー法2条14号

住民票コードから生成とあるが、マイナンバー法7条2項で番号の再生成ができるようであり、別の番号が返ってくるようである。

(個人番号とすべき番号の生成)
第八条
2 機構は、前項の規定により市町村長から個人番号とすべき番号の生成を求められたときは、政令で定めるところにより、次項の規定により設置される電子情報処理組織を使用して、次に掲げる要件に該当する番号を生成し、速やかに、当該市町村長に対し、通知するものとする。
一 他のいずれの個人番号(前条第二項の従前の個人番号を含む。)とも異なること
二 前項の住民票コードを変換して得られるものであること。
三 前号の住民票コードを復元することのできる規則性を備えるものでないこと。

マイナンバー法8条2号

(指定及び通知)
第七条
2 市町村長は、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)が備える住民基本台帳に記録されている者の個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その者の請求又は職権により、その者の従前の個人番号に代えて、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、速やかに、その者に対し、当該個人番号を通知しなければならない。

マイナンバー法7条2号

そのため、一方向関数というよりは、ランダム生成して紐付けという方式のように思う。既存番号と被らない、ランダムな新規生成番号、あるいは事前生成されてキャッシュされた番号から選択、そして住民票コードと結び付けて管理という形だろうか。

このようにして、住民基本台帳に名前が載るのと時期を同じくして、マイナンバーは付与される。そしてバックエンドの公的なシステム間は、マイナンバーによって連結される。マイナカードの申請や利用や返却とは無関係に。

こういった、バックエンドまわりの事情は推測するしかない部分がある。そんな中、警察の運転免許のシステムの改修が気になるところである。記事冒頭で紹介した以下の部分である。

[No.5-4] 運転免許証とマイナンバーカードの一体化
・一部の免許手続については、住所変更等の際、市区町村の窓口で手続を行った後、警察署等に別途届け出る必要があるなど、国民に手続面で一定の負担が生じていた。
・令和3年度(2021年度)は、運転免許証とマイナンバーカードの一体化に係る具体的な手続を含む制度の在り方等について、関係機関と調整を進める。また、令和6年度(2024年度)末までに、各都道府県警察が個別に整備しているシステムを、警察共通基盤上に集約する
・これにより、住所変更手続のワンストップ化、居住地外での迅速な運転免許証更新及びオンラインによる更新時講習受講を可能とする。

KPI(進捗):
運転免許証とマイナンバーカードの一体化の実現(令和6年度(2024年度)末)
KPI(効果):
一体化した免許証の交付枚数

第2回デジタル社会推進会議(2021年12月24日)
資料1-4:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)別冊

これまで、運転免許絡みの情報を各都道府県警察が個別にシステム整備していたという点が驚きである。このあたり、興味深いところであるが、これまた表に出ることはないのであろう。

オンライン講習

世間でメリットと言われているものにあったので、これについて思うところを。

視力検査などの適格検査を受ける必要があるので、完全にオンラインで完結するわけではないので、現状でメリットになるのかといえば、そこまでは思わない。

将来的に行政コストを下げるためには必要なのだとは思うので、段階的にやっていく中のひとつという感じだろうか。

以前、台湾では免許更新手続きがないとつぶやいたことがある。他の諸外国の免許システムも調べてみたいところである。

世間で言われるメリット

ここは微々たるものだと思う。上に記したとおり、カードの一本化やオンライン講習には疑問を感じるが、それ以外の部分はどんどん進めてほしいところである。

個人的なメリット・デメリットの観点で捉えているのではなく、社会の仕組みとして将来的な行政コスト削減が期待できるかという観点で捉えているので、世間で言われるメリットの観点はあまり響かない。

まとめ

マイナ免許証、それに先立ち、マイナンバーシステム全般に対する個人的な雑感をいろいろまとめた。

マイナンバーといえば、チェックデジットの生成方法が雑という話を思い出す。もう少し何とかならなかったのかとは思う。こういったあり得ないミスがあるので、信頼されないのだと思う。

チェックデジットの生成方法は「総務省令」の令和6年5月24日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則等の一部を改正する命令 (令和6年デジタル庁・総務省令第10号)」にある。

下記の記事中で説明されている。書籍でいうISBN10の末尾にXが来るものがある理由である。


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