映画鑑賞備忘録『セプテンバー5』

個人的評価:2.5/5.0

感想:この映画は事件を撮影するテレビクルーたちを通して、何を言いたかったのだろうか?
主人公はジェフだと思うが、特に彼の変化は描かれない。
主人公の葛藤が描かれるのは、最初に中継をするかどうかを決める時だけだ。
その後は、中継を犯人が見ていたせいで警察の作戦が失敗したのでは? というシーンがあっても特に葛藤が描かれることもなく中継は続けられ、警察が乗り込んできて中継を止めざるをえなくなっても、上司の許可が取れると葛藤もなくあっさりと中継を再開する。
人質解放という裏の取れていない情報を流すかどうかというシーンも、反対する人間に対して「噂では」と付けて曖昧にしとけば問題ないだろと葛藤なく報道に踏みきる。
ラストに人質の写真が貼られたパネルを前に何かを思う主人公が映されるが、その結果彼の内面にどのような変化があったのかは描かれないまま映画は終わる。
変化を描写してこそ、映画なのではないか?
これがドキュメンタリーであるならいい。でも、サスペンスをうたっておいてこれはどうなのか。
最後まで観て、第二幕で終わってしまった感が否めない。
作中に緊迫感が流れてはいるが、結局テレビクルーたちが安全な場所から視聴率と手柄が欲しいってだけでやっていることを考えると、途端に茶番じみてくる。
何とも味気ない映画、というのが正直な感想。

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