【通勤電車の詩 vol.81】時間を支配する人
ホームのベンチに一人座るおじいさんがいる。
電車待ちの列に並ぶわけでなく、周りに通勤の乗客が群がるように歩いているが、悠々と座っている。
傘を杖のようにして両掌を載せて少し猫背だ。
私服を着ていてどう見てもサラリーマンじゃない。
こんな一日で最も電車が混む時間帯に、じっとベンチに座って何をしているのだろう。
孫に会いに行くのかな、買い物かな、一人で遠出?
ホームには通勤、通学の人たちがせかせかと歩き回っている。
ぼくもその一人だ。
時間に追い回され、時間を追い越そうと足掻く、一日の始まり。
だけどそのおじいさんが座るベンチの周りだけ、時間がゆっくり流れているように見える。
このおじいさんの方が、ぼくより余程時間を支配している。
時間に追われまくっているようじゃダメだ。
自分を取り戻さなきゃ、と思えた。
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