親父の好きだった手の組み方
子供の頃の記憶だ。
親父がよく体操座りでテレビを観ていた。
小さかったぼくは、親父のほふく全身で親父の両足の間から懐の中に進入し、親父の両手両足に囲まれていっしょにテレビを観ていた。
親父は両腕の肘の裏側を両膝に当てて、その両手を組んでいた。
その両手の組み方が二通りあった。
一通り目は、片手でもう片方の手を捕まえる組み方。
二通り目は、両手のそれぞれの指をクロスさせるような組み方。
ぼくは何故か二通り目の組み方が好きだった。
しかし、何故か親父は一通り目の組み方が楽なのか、いつもその組み方だった。
親父が一通り目の組み方をしていると、ぼくは組み直してくれとお願いをした。
しかし、いつの間にが戻ってしまう。
ぼくはまた二通り目に戻らないかと、テレビより親父の手をずっと見ていた。
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